やっと一日が終わった。そう思いながら、私はベッドに突っ伏した。あの後、すぐにリボーンから電話がかかってきて私はやっとのことで並盛中から解放してもらうことができた。折角の休みがこんなことで終わってしまうとは思いもしなかったけど、まぁ、あの焼きそばパンが食べれたんなら良しとしよう(それにしても、あの焼きソバパンすごく美味しかったなぁ)(今度、草壁さんに頼んで一緒に購買に行ってもらおう。さすがに他校生だから堂々と購買にはいけないし)
「今度、ツナ達にお礼言っておかないと」
獄寺に会ったときは言い忘れていたけれど、ツナ達は私のために儚い犠牲になってしまった。まぁ、結局ツナ達がはかない犠牲になってくれたにもかかわらず、私は雲雀さんに見つかってはしまったんだけど!どうせすぐにリボーンからまた呼び出されるだろうし、そのときにお礼を言おう。ちゃんと忘れないようにおぼえておかないと、と思い私はあくびを一つした。
段々とうつらうつらになる意識。携帯を握り締めた手も段々と力が抜けて、携帯が自分の手から離れる。
しかし突如鳴り出す携帯。まどろんでいた意識が、一気に現実に引き戻された。
「えっ、えっ、何事?!」
バッと体を起こして携帯の画面を開く。届いたメールを見れば、それは山本からだった。どうやら私が今日みーくんのお兄さんを探しているのを山本はグランドの中から見ていたらしい。ヒバリからは逃げられたみたいだな!と書かれている文はここでは無視しておこう。
ごめん、君たちの犠牲は無駄になったんだ本当は。結局バレちゃったんだよ。
なんてさすがに言えるわけもない。この事が獄寺にバレたら「あ゛ぁ゛?俺が折角逃がしてやったのに何やってんだ?」とか言われると思うし、ぶっちゃけ相手にするのも面倒くさいしね。そして、さらに文を読みすすめれば今週の日曜日に試合があるから見に来てほしいというものだった。みんな来るらしく、それならと思い私は、了解、とメールを返した。それにリボーンがいる限り私の参加は絶対なんだと言うことはもう分かりきっている。
パタン、と携帯を閉じて再びベッドに倒れこむ。もうこのまま寝てしまおうか。しかし、視線に入ってきた並中の制服に自然と体を起こした「あれも今度、返しに行かないと……」だけど、リボーンの奴この制服をどこで仕入れてきたんだろう。
リボーンにもそんな趣味があるとか?いやいやいや、確かにリボーン変装大好きみたいだけど、別に女装が好きってわけじゃないよね。うん、多分。
いや、だけどリボーンたまに女装して……よし、この件については考えるのをやめることにしよう。出てくる答えに期待はできそうにないから。
「(明日にでも返しに行こうかな)」
あんまり自分が持っておいたらまるで私が本当にコスプレにはまった人みたいになりそうだし、そもそもこんなもの吾郎に見られたときのことを考えると怖い。そう考えて私は制服を紙袋へと綺麗にたたんでいれた。明日、学校が終わったらすぐにでも返しに行こう。変な勘違いをされないように気をつけながら(本当はもっと厳重警備にしてリボーンに送り返してやりたいんだけどね!)
並中の制服を紙袋にしまいいれ、明日の学校の準備をすればもう寝る準備もできた。山本から返ってきていたメールにさらに返事をかえし、電気を消して眠りにつく。
暗い部屋で目を閉じれば、さらに暗い世界が自分の目の前に広がった気分になる。いつもこのとき思い出すのはあの時の骸さんや千種くんや犬くんの表情なのに、今日は何故か違った。
「おかえり、か」
再び目を開け、言葉を紡ぐ。おかえりなんて、一日に一回は誰でも口にするであろう言葉だ。でも、今の私にとってはそんな軽い一言ではない。この一言を骸さん達に言える日がくるかもしれない。そんな日がくるなんて思ってもいなかったのに。でも、そう思うだけで、嬉しくなって、私の口端は僅かに上がる。ゆっくりと閉じていく瞼の裏にうつる骸さん達は、いつか見た笑顔だった。今日はなんだか良い夢が見れそう。過去の夢なんかではなく、近い未来の夢を。
「おや、ここで会えるとは思いませんでしたよ」
(久しぶりに見た夢で骸さんは以前の笑顔を浮かべていたような気がする)
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あとがき
(2008・06・01)
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