日吉に渡された新聞を見れば、確かにあの3人の名前があった。しかし、誰に殺害されたかは分かっていないらしく今でもとは言っても、もう何十年も前の記事だけど、犯人は捕まっていないらしい。そしておかしなことに4人目の被害者になっていると思っていた、崎元の名前が新聞のどこを見てもないのだ。
















「崎元は殺されてない・・・?」









「あぁ、その代わりここを見てみろ」




















日吉に言われた場所を見る。最後の被害者である、穂高沙希の記事から2日後、加害者であるはずの青木裕子の記事が載っていた。音楽室の窓から運悪く落ちてしまったと書かれた記事に私は驚きを隠せない。





















「つまり、青木裕子がこの日記の持ち主であり、3人を殺した犯人って事か」
















「跡部の言うとおりやな。それに、俺達がこんな目にあっとるのとも何か関係あるかもしれん」













「もしかして、私の名前が関係あるんでしょうか?」





















考えてみれば、青木裕子に会う度に彼女は「
」と言う名前を呼ぶ。それに、トイレでは彼女に殺されそうにまでなった。このメンバーの中で一番、命を狙われているのは誰でもない私なのだ。と言う事は、今回の事は私のせいでこのテニス部まで巻き込んでしまったと言う事になるのだろか。そう考えると、申し訳ない気持ちで一杯になった。





















「別に名前が一緒だからって関係あるとは限らねぇじゃん」














「そうだCー!!」

















「それに、崎元は全然別人だしな」














「宍戸さんの言うとおり。は気にする事はないよ」



























あぁ、何だかんだ言いつつこの部活の人は優しい人が多いんだよな。色々おかしいところはあるんだけど。しかし、そう言われてよくよく考えれば、確かに名前が同じと言う理由だけで(いや、まだ決まってないけど)こんな目に合うなんておかしいと思う。そうだ、私は別に悪くない!!と開き直った。























「とりあえず、ここでじっとしていても無駄ですから、音楽室にでも行きましょう」















「なんで、音楽室なんだよ?」













「向日さん、ちゃんと新聞を読みました?青木裕子は音楽室で死んだんですよ」
















「日吉の言うとおりやな・・・音楽室に行ったら何か分かるかもしれへん」
















「これ以上、図書室にいても意味はねぇ。行くぞ」





















跡部部長の声に、みんな図書室をでる。青木裕子が音楽室にいる。だけど、私はその前に崎元に会っておかなければならないような気がした。許さないと書かれた中で唯一、青木裕子に殺されなかった女の子。どうして彼女は殺されなかったのか。いや、それとも崎元を殺せなかった何かが音楽室で起きたのかもしれない。今も、青木裕子はこの学校で崎元を殺そうとしているのだろうか。





















図書室を出れば再び、静かな廊下が私達を出迎えてくれた。結局、図書室にいる間は幽霊に襲われなかった。一体、あの図書室には何があるのだろうか。
















「音楽室か」













「どうしたんや、ちゃん?」














「いや、まるで振り出しに戻ったような気が」













「確かに、音楽室って一番最初に行ったもんな」


















岳人先輩が言った言葉に頷く。もしかしたら、あそこの音楽室が初めから何か関係していたのかもしれない。音楽室から職員室への道でメリーさんからの電話もかかってきたし。だけど、音楽室が何で関係してくるんだろう。



















プルル















「も、もしかしてこの電話って・・・?」














鳳が少しだけ怯えたような声をだす。いや、実際みんな声にでてないだけで、怯えているのかも知れないけど。













「メリーさんみたいだな」











「メリーさんみたいだなって、日吉なんでそんな冷静なの?!」












「まぁ、良い。さっさ、でろ。














鳳の言葉を無視した日吉に言われ、私は通話ボタンを押す。どうせ、出なくても勝手に通話状態になるんだ。このさい、出ても出なくても一緒だ。



























、メ    ―――ガッシャン!!






















私の後ろで急に何か音がした。いや、それだけじゃない。まず、私の横を誰かが通り過ぎたと思ったら、何かが壁にぶつかる音が聞こえたのだ。そして、その何かというのは見なくても分かる。多分、メリーさんだろう。恐る恐る後ろを振り返れば、そこには日吉が壁にぶつかった、メリーさんを見下ろしている光景があった。















「も、も、もしかしてメリーさん蹴った?」











「あぁ、意外と簡単だった」











「日吉、すっげー!!かっちょEー!!」











「大丈夫なの?」











「お前、俺がこんな奴に負けると思ってるのか?」


















そう言うと、日吉はメリーさんの金色の髪を掴むと持ち上げた。少しだけ日吉を見る目が変りそうな気分である。こいつ天性のSだ!!とここにいる全員が思ったことだろう。少しだけ忍足先輩の顔も青ざめているような気がする。いつか、メリーさんのように忍足先輩がなりますように・・・って、違う違う。メリーさんみたいに忍足先輩がなりませんようにが、正しかったよね。あぁ、つい本音が出ちゃったよ。















「日吉をからかうのも命がけやな」







「命かけるぐらいならからかわなちゃ良いじゃないですか」




















  










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(2007・08・15)