ジロー先輩の話の内容を頭に思い浮かべる

















ある二人の女の子が教室で二人きりで仲良く話していたところから夢は始まる。しかし、その他の人から見れば微笑ましい光景も長くは続かず急に片方の女の子が立ち上がったと思ったら、もう一人の女の子をきつく睨みつけるらしい。睨んでいる女の子の目にはうっすらと涙がうかんでいて今にも泣き出しそうな顔をしていた。そして、睨まれている女の子も泣くのをこらえているような顔をしている。そして、睨んでいたある言葉を発すると、その場から立ち去ってしまうらしい。
















「それのどこが嫌な夢なんだよ?確かに嫌な夢かもしんねぇけど、ジローがあんなに驚いて起きるような夢じゃねぇだろ?」

















確かに、と岳人先輩の言葉にみんな頷いた。嫌な夢ではあるかもしれない。だけど、あんなに寝汗をかいて焦って起きるような夢でもないと思う。だけど、どこか私が見たものと関係しているような気がして少し、心臓が
ドクンとした。だって、ジロー先輩の夢に出てきたのは女の子で、私が見たのも女の子だ。ただの偶然だと言ってしまえばそれまでだけど、ただの偶然ではないような気がしてならない。
















「睨んでた女の子が言ったんだ。『
許さない』、って」

















思わず私の言葉が重なる。いや、別に私も声に出したつもりはなかったんだけどいつの間にか声にでてしまっていたらしい。その瞬間、ジロー先輩に集まっていた視線が私に集まるのを感じた。















「ジロー先輩、その女の子達ってどんな子達でした?」












「えっと、一人は髪が長くて、もう一人は二つ結びだった」










「・・・そうですか」





















どうやらジロー先輩が夢で見た人物と、私が見た女の子は同一人物らしい。これで私が見た映像が私の想像だけでなく実際にあったことだという核心が持てた。しかしながら、その女の子がなぜ私だけに見えるのかが疑問である。まぁ、どんなに考えても答えはでない。今、何かを解く鍵はさっき二つ結びの女の子が指差した教室に行く事だと思う。そう思って考え込んでいると、跡部部長が私の方を忍足先輩いわくのチャームポイントである眉間のしわをいつも以上に寄せて私に声をかけた。


















「おい、。俺様に何か隠してる事あるだろ?」














「あ、あはは・・・いや、別に隠してるわけじゃ「言え」





















跡部部長があまりに恐い顔で睨むものだから思わずグッと息を飲んでしまう。いや、跡部部長だけじゃない。日吉もものすごい勢いで睨んでいる。私はしょうがなく腹をくくりこれまでにあった女の子の話を始めた。




































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「って訳で、女の子が殺してる映像が見えたんですよ」













「なるほどな。それで他にはに変わったことはないのかよ?」















「特にはありません」














「あっ、でも、トイレで首絞められてたじゃん!!」















「・・・どういうことだ、向日?」




























岳人先輩の言葉に跡部部長の眉間にさらにしわがより、私は思わずため息を吐いた。見れば必死に岳人先輩が跡部部長に何かを言っている様子だったけれど、自分から巻き込まれるつもりはまったくないので私はそれを無視して、立ち上がった。
















「二つ結びの女の子がなぜ教室を指差していたのか気になるんです。それにこのままここにいても何の解決にもなりません」













「もしかしたら罠かもしれねぇぞ?」













「そんなのやってみなちゃ分かりませんよ」





















跡部部長に言えば、ハァと息を吐きだし、それ以上何も言わなかった。図書室に沈黙が訪れ、誰も何も話そうとはしない。だけど、私はあそこに行かなければならないと思ったのだ。これは私の予想でしかないがあそこに何かここから抜け出せる方法を知る鍵があるような気がする。それに、私は早くここから抜け出して、また、みんなで・・・・























「分かった。この俺様が一緒に行ってやる。他の奴らは引き続きここで何か方法がないか捜せ」


















跡部部長が立ち上がる。私がどれだけ真剣なのか分かってくれたのか、それとも私が言い出したらとことんやる主義だと言う事が分かっての事だかどちらかは分からないが、私について来てくれるらしい。少しだけ跡部部長に心の中で感謝しつつ、私はホッと安心した。これであの教室に行く事が出来る。あの女の子が伝えたかった事が分かる。岳人先輩が元気よく立ち上がると親指を立てながら、跡部部長に向っていった。















「まかせろよ!!」













「向日さん、さっき遊んでばかりだったじゃないですか」













「俺だってやる時はやるんだぜ?」














「そのやる気をもっと早く出してくれたら俺も別に何も言わないんですけどね」
















「なんだよ、日吉!!」













「ほら、日吉もがっくんもやめり。跡部こっちは任せとき」















「あぁ。すぐ戻ってくる」















そういって、跡部部長と私は図書室をでた。どうやら今回は樺地は連れて行かないらしい。











「で、その教室はどこにあるんだ?」









「えっと、3年の教室ですよ。この階でしたから」




























  










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(2007・08・15)