平凡な日々
〜ご褒美な休日・4〜
電話の相手は、さっき私が勝手に電話を終わらせた事を少しも怒っていなかった。自分が先ほどまで会っていた人物たちとは懐の大きさが違うらしい
本当、変な知り合いしかいないと思っていたけれど、中にはこんな風な普通な知り合いがいて良かったと思う
って言うか、普通の知り合いがいなかったら今頃私生きていけないから
「ごめんね、さっきは地獄とも思える場所に居て、つい自分を見失っちゃったみたいなんだ」
『地獄って・・・・・大丈夫なのかよ?』
「もう大丈夫だから!それで、今日はどうしたの?」
『あぁ。午前中久しぶりに家に帰ったら姉貴が、チェリーパイ作ってくれたんだけどさ、
俺一人じゃ食べきれないし、ケーキ好きだろ?だから、一緒に喰わないか?』
「えぇっ?!本当良いの?(本当、この子は神様だよ・・・・!)」
『おう。それで、今俺学校で部活してるから、学校まで来てくんねぇかな?』
「行く行く!すぐ行くよ!」
『すぐ来られても部活終わってねぇから。うん、じゃあ、後でな』
電話の切れた携帯を握り締めて、私はあまりの嬉しさに少しだけ涙が出そうになった。さっきとは、まるで違う
地獄のような場所から、一気に天国に来た気分だ。嬉しさをかみ締めながら、私は電車に乗り込み、東京へと戻っていった
途中背中に来た悪寒は何かの勘違いだと思いたい(・・・・もしかして、幸村さんが何か念じてんじゃないの?)
東京へと再び戻れたことを神様に感謝しながら電車を降りて、目的の学校へと向う。見えてきた学校はミッション系の学校
門に書いてある学校の名前を見れば、そこには私立聖ルドルフ学院中学校と書いていた。
さすがに私服で学校内に入るのには気が引けたけれど、目的の人物に会うためにはテニスコートまで行かなければならない。
私は覚悟を決めて学校内へと足を踏み入れた
・・・・・・居づらっ!!
やっぱり他校に私服なんかで入るものじゃないな。
先ほどから見かける生徒は私のことを痛い子を見るような目で見てくるし、な、泣いても良いかな?(いや、頑張れ私!
まぁ、だけど制服でここに来ていたとしても氷帝って結構有名な学校だし目立ったことに間違いないだろう。
氷帝と言えば金持ち校みたいなイメージがあるみたいだし、結構有名な学校らしい(はは、だけど私は庶民だよ・・・!)
見えてきたテニスコートの周りには女子があまりいない。その光景を見て、私はとてもうらやましい気持ちになった。
私はどうせやるならこんなところのマネージャーがしたかった。きっと、呼び出しとかファンクラブとかないんだろう。
転校しちゃおっかな・・・・・・・
いやいや、転校したらテニス部のマネージャーなんかしないから。絶っ対、しないから!
いや、だけどこんな静かなテニスコートってすごいうらやましいな
そう思いながら、テニスコートに近付けば先ほどの電話の相手が、一生懸命にテニスをしているのが見えた。
しばらく見ていれば、どうやらゲームが終わったらしく私の方に気付いた。
本当はゲームが終わったばかりで疲れているはずなのに走ってこちらにまで来てくれるなんて、なんて良い子なんだろう!
どっかのテニス部の奴らにも見習って欲しいぐらいだ。
とりあえず、氷帝のレギュラー陣には見習って欲しい謙虚さであることは間違いない
「!」
「裕太、久しぶり。」
そう、何を隠そう(別に隠してたつもりはまったくないけど)私をあの危機から救ってくれたのは、裕太だったのだ。
裕太からの電話は、私の今後の生死を左右するほどの重要な電話であった。本当に心から感謝する。
私、裕太がいなかったらきっと死んでたから・・・・!
「もう少しで、部活終わるか「なんだーね、裕太の彼女だーね?!」」
「クスクス、裕太もなかなかすみにおけないね」
「ちょ、ちょっと、はそんなのじゃありませんよ!!」
いきなり現れた人物に、少し驚く。まずは、一人。髪型とかいろいろツッコミたいところ満載なんだけど、これってどうすればよいんだろう。
さすがに初対面の人に、髪型どうなされたんですか?なんていえる訳が無いし、もしかしたら何かつらい過去があって彼にこの髪型をさせたのかもしれないし。
そして、次に現れた人は別に見た目は全然普通で(むしろ、かっこ良いに分類される人だと思う)可笑しいところは一つも無いのだけど、
少しだけ、アッチ属性の気がしてならない。なんだかすっごく笑顔が恐いと思えて仕方が無いのだ。
・・・・・それに私が裕太の彼女なんて、ありえるわけが無い
何だかんだいって、裕太はとてもまともな人だけど美形だし、私が彼女なんて申し訳なさ過ぎて涙がでそうになるよ
本当ごめんね、裕太。私なんかが彼女と間違われたりして・・・・!
そうだ私なんかより、よっぽど、「彼女は裕太くんの知り合いですよ」新たな声の出現に、私はその声のした方をみた。
そうだ、この人のほうがよっぽど私なんかより、綺麗で、裕太の彼女と言われても納得できる
「観月だーね」
まぁ、男だから彼女になるのは無理だと思うけどね!!
だけど、観月さんは男にしとくのはもったいないくらい美人な人だ(初めて見たときは、本当に女の人かと思ったしね!)
物静かなで良い人だし、それに、私は美形は好きじゃないけど美人系の美形さんにはとことん弱いんだよ!!
「・・・・・・まぁ、僕の知り合いでもありますがね。お久しぶりです、」
「お、お久しぶりです!」
「そうですよ、、柳沢先輩!俺とは、純ケーキ仲間ですよ!!」
「「「(純ケーキ仲間って・・・・)」」」
「だけど、なんで裕太の純ケーキ仲間が観月と知り合いなの?」
アッチ属性(まだ決まったわけじゃないけど、仮だよ。仮)の人が裕太に聞いて、私は、観月さんと初めて会った時の事を思い出した。
確か、観月さんと初めてあったのは裕太とケーキを食べに喫茶店に行ったときだった。裕太とは裕太が青学にいる時からの友達だけで、
あの日はいつものように裕太とケーキ屋めぐりをしていた。そして、そこで観月さんと出会った。正直、まさか男だなんて思いもしなかった
裕太に紹介されて、初めて制服を着ていることに気付き、男だと知った時は少なからずショックだった。
「裕太くんと一緒にいる時に偶然見かけたんですよ」
「へぇ、そうなんだ。あ、俺木更津淳って言うんだ。よろしく」
「えっと、あの、と言います」
「俺は柳沢慎也だーね!ところで、はどこの学校なんだーね?!」
「(・・・・早速、呼び捨てかよ!って言うか、だーねって口癖?ツッコミたくてたまらないんだけど・・・!)氷帝学園ですが」
「そして、は氷帝のマネージャーですよ」
観月さんが言えば、周りの人たちは驚いた顔をしていた。あれ、裕太も驚いた顔してるんだけど、私言ってなかったけ・・・・?
だけど、もし裕太に言ってなかったとしたらなんで観月さんは知ってるんだろう。と考えれば答えはすぐにでた。
あぁ、そう言えば忘れてたけど観月さんも乾先輩属性なんだっけ。
お、思い出したく無かったよ、そんな事実!!
「お前ら、なにやってんだ?」
「バ、バカ澤・・・・おっと、僕としたことが、「お前わざとだろ?それで、この女子は誰だ?」
「部長、彼女は俺の友達で、」
「あ、えっと、氷帝学園2年のと申します。」
「そうか、裕太の友達か。俺は赤澤吉朗だ。一応、この部の部長だ」
なんで、一応なんだと(それもあきらかにそこだけ強調していた)思ってみてみれば、確かに赤澤さんよりも観月さんのほうが強いらしい
2人の会話を聞いていればそんな感じがしてきて、少しだけ赤澤さんに同情した。部長なのに、この扱い。可哀想すぎるじゃないか!
「だが、部活はまだ終わってないぞ?」
「そうですね。すみませんが、。もう少し待っていただけますか?」
「悪ぃな、」
「いやいや、全然かまいませんから!」
「じゃあ、あちらのベンチで座って見てて下さい」
「あ、はい」
言われた通りにベンチに座り、練習風景を見ていた。
だけど、今考えれば私って他校のテニス部のマネージャーだし、こんなところで座って見てても良いんだろうか、
と思ったりもしたけど正直私はあんまり見ても分かんないことのほうが多いし、まぁ、大丈夫だろうと自分に言い聞かせた。
それにしても、本当に最近私テニス部の知り合いが増えているような気がしてならない。それも、氷帝のマネージャーになってから、だ
「(もしかして、私、今年厄年なのかな・・・・・?)」
ふと、不安になる。まぁ、ルドルフの人たちはまともそうな人だから良いんだけど、立海とかはいただけないよなぁ。
美形だし、可笑しい人いるし、アッチ属性の人いるし、あの中でまともな人が二人しかいないなんてどれだけぇぇぇ!!
柳生さんにジャッカルさん、なんで今日、お二人だけいなかったんですか?私が会いたいと思うのは、立海では貴方たち二人だけなんですよ。
あ、なんか自分があまりにも可哀想で泣きそうかも
いやいや、泣くなよ、自分。と少しだけポジティブになって自分を励ましていればいつの間にか部活が終わったのか裕太がこちらに来ていた
私はベンチから立ち上がり、裕太の方へと向う
「先輩達が、ともっと話したいみたいなんだよ」
「えぇぇ!!私と話しても面白いことなんて無いよ・・・!(それに嫌な予感するし!)」
「まぁ、ケーキもたくさんあるし、観月さんが紅茶入れてくれ「ほら、早く行くよ!裕太!観月さんの紅茶が冷めちゃうから!」」
「・・・・・・・・(単純だな)」
走って私が行こうとすれば、裕太がハァと呆れたように息を吐くのが聞こえた。
だけど、そんな事言われても観月さんが入れてくれる紅茶はすごく美味しいんだから!
単純って思われても、別に観月さんの紅茶が飲めるんなら私、あんまり怒らないよ!それに裕太は一応命の恩人だし、単純って言っても怒らないであげるさ!
「ちょっと、待てって!まだ先輩達着替え中だから」
「私、気にしないから!」
「いやいや、お願いだからそれは気にしてくれ・・・・!!」
・・・・・・さ、さすがに着替えてるのにそこに乱入なんてしたら、私変態かと思われちゃうか。
観月さんの紅茶が飲めると思ったらいつの間にかキャラを見失ってしまっていた。変態だなんてそんな吾郎じゃあるまいし、私はそんな称号もらっても嬉しくも無い。
むしろ、変態って言われて嬉しい人がいるのも疑問だ(い、いないに決まってるよね!)あ、吾郎は前に変態って言ったら嬉しそうに微笑んでたっけ
「・・・・・ねぇ、裕太」
「なんだ?」
「変態って褒め言葉?」
「それは絶対にねぇ!!・・・・・あ、いや、吾郎さんなら喜ぶかもな」
すごいや、裕太。大正解だよ。吾郎は変態って言ったら喜んでたよ。自分の兄がどれだけ回りの人に変な目で見られているのか再認識してしまい、
とても悲しくなった。あいつの悪行はどれだけの人に知れ渡っているんだろう。お願いだから、私まで変な目で見られないことを願っている
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(2007・12・13)