我らが氷帝探偵団、捜査開始!!














平凡な日々

〜集え、氷帝探偵団!!・2〜











私と日吉は今、鳳の家に向っている。隣で歩く、日吉は未だに不満そうにしているし

鳳は鳳で猫を探しながら帰っているのかキョロキョロしている













鳳が不審者に見えて仕方がないのは私だけだろうか











多分、昨日もこんな風に帰ったと思うんだけど、通報されていないところを見ると、そう感じるのは私だけらしい

これがもしも、美形じゃなくて不細工な男だったら即、警察に通報されていたと思う。だって明らかに怪しいもの



































そもそも、なぜ私と日吉が部活で疲れている体を押し殺して


鳳の家に向っているのかは、もう数十分前までさかのぼらなければならない















あの後、私達は岳人先輩を筆頭に猫を見つけるために作戦を立てていた














岳人先輩が言うには、聞き込み捜査が事件解明の鍵になるらしい


だから、と言う訳ではないけれど、とりあえず聞き込みをすることになったのだか
















「調査は下っ端の仕事だろう」
















跡部部長のその一言のせいで、私と日吉が鳳の家に行くことになってしまった

その瞬間の日吉の顔は、思い出すだけで恐ろしい。今までにないくらい、跡部部長を睨みつけていた















明日、跡部部長が古武術により殺されないことを心から祈る















別に跡部部長の心配をしているわけではない。氷帝から殺人者がでるのは何かと困るからである。


そして、気付いて欲しかった。鳳のお母さんに話を聞くだけなら



















別にその息子の、鳳だけで良かったんじゃないかと・・・!!(涙




























まぁ、ここまで来てしまったのだから諦めるとしよう。悲しい事に私が気付いたのも3分前ぐらいだったから













「はい、着いたよ」












鳳の声に我に返った私は目の前の家を見つめた

可愛い家というのはこんな家のことを言うんだと思う。確かにこの家は鳳に良く似合っていた











「ただいま、母さん」






「お帰りなさい・・・・あら、友達?」







「うん、同じ部活なんだ。それで、今日はミーコのことで来て貰ったんだ」







「ミーコの事?」







「さがすの手伝ってくれるんだって」







「それは、本当ご迷惑をおかけしちゃって。とりあえず、上がって貰いましょう」






「日吉、どうぞ」












「「おじゃまします」」











案内されたリビングで、テーブルの上にはオレンジジュースとクッキーがだされた

目の前には鳳のお母さんが寂しそうな顔をうかべている















鳳家で、居なくなった猫もといミーコはかなり大事に扱われていたらしいことがよく分かる













「あの、ミーコちゃんはいついなくなったのか分かりますか?」













私は跡部部長に貰ったノートを手に取り、何か手がかりになる事を聞き逃さないように耳をすませる










「一昨日の夜、7時ごろ餌をやろうと思ったときには既にいなかったの」







「普段、ミーコちゃんは家の中で飼われているんですか?」






「えぇ、外には出さないようにしているから」






「どこか窓か何か開いていました?」







「2階の窓が開いていたの。まさか、そんな所から逃げるなんて思っていなくて」

















そういって、顔を伏せる鳳のお母さん。自分のせいでミーコちゃんが脱走したんだと思っているんだろう

とりあえず岳人先輩から言われた事は全て聞いたので私はノートは閉じた














「あら、長太郎。友達?」













新たな声が聞こえたと思い、振り返ればそこには

リビングの入り口からこちらを見つめながらニッコリと微笑む綺麗な女性








鳳との会話を聞いている限り、多分鳳のお姉さんだと思う(だけど、鳳と違って腹黒くなさそうだ)

















「初めまして、長太郎の姉です」












花も恥らうなんて言葉、この人のためにあるんじゃないんだろうかってぐらい美人だ












「初めまして、です」










「へぇ、貴方がちゃんなのね!!」













貴方がちゃん?



まるでお姉さんの言い方は前から私のことを知っていたかのように聞こえる

いやいや、私と鳳のお姉さんは初対面だし、そんなことはないだろう
















私だったらこんな綺麗な人、一回見たら忘れないし!!

















「長太郎からよく話を聞くのよ」














・ ・ ・ ・ ? ! 




勝手に人のことを話すの早めてください、鳳少年

どうせ君の事だからろくでもないような事を話しているんだろう。うん、もう分かりきってるんだよ・・・!!(涙











「姉さん、ところでミーコの事なんか分かった?」







「それが全然」













お姉さんもミーコちゃんを探す為に奮闘しているらしい

この家族全員がミーコちゃんを必死に探している











そう思うと、早くミーコちゃんと発見してやらなければと言う気持ちがより一層大きくなった













「あ、最後に質問なんですが」














私は思い出したように、鳳のお母さんの方に振り返った
















「ミーコちゃんの好きな物ってなんですか?」





























****





















昨日、聞いた情報を手に、部室で会議を行なった。鳳は委員会で遅くなるらしく、この場にはいない
















「えっと、とりあえず昨日の調査の結果、いなくなった猫もといミーコちゃんは一昨日の午後7時前、家より逃走

 首輪がしているそうなので、誰かに飼われているということはないと考えられます」













「なぁ、もしかして、もう死んでる「宍戸先輩」・・・・わりぃ」













「保健所に問い合わせましたが、今のところそのような猫はいないらしいです。

死亡の連絡もないそうなので確実にミーコちゃんは生きてますよ」













「それで、その・・・ミーコの写真とかないのかよ?!」












「鳳に言って借りてきた写真です。部員分はコピーしているので、どうぞ」




















レギュラー陣は写真を手に取る。
あぁ、なんだか氷帝探偵団の中で自分が一番頑張っているような気がするよ


















「じゃあ、今日から部活終わったら各自、探そうぜ!!」







ちゃんは危ないから、止めとき」







「・・・は?」







「確かに、夜女の子が出歩くのは危ないからね」












「いやいや、私なんかより滝先輩のほうがよっぽど危ないですよ。




 
それに今の時代、男も危ない時代になってきてますから



















そうだ、美形なこの人たちのほうが私なんかより何倍も危険だ

それにそれなりに護身術なんかはできたりするから心配は無いと思う


















「アーン、なら吾郎と一緒に探せばよいだろ?」




















ア レ 、 こ の 人 何 言 っ ち ゃ っ て る ん で す か ★



そう言った跡部部長は私の言葉を待つことなく携帯を取り出して、どこかにかけ始めた



















「もしもし、お前、猫さがし手伝えやがれ。詳しくはから聞きな」
















ピッと言いたいことだけ言って、跡部部長は電話を切った

もしかして、と思っていると突如鳴り出す、私の携帯。独特の着信音に、携帯を見なくも誰か分かってしまった




















吾郎からだ・・・・


















やっぱり、さっきの電話は吾郎にかけていたのか。しかし、いつの間に繋がっていたのだろう

本当に私のプライバシーが保障される日は来るのだろうかと思ったら泣きたくなった




































結局、この日いやいやながら吾郎とミーコちゃんを捜したのだけど見つからなかった

明日は水曜日で部活が休みだからもう少し遠くまで探してみようと思う













  














なぜか、ネコの名前はミーコちゃんです

(2007・07・13)