平凡な日々
〜集え、氷帝探偵団!!・3〜
今日は水曜日。部活の休みの為、放課後すぐに私達は猫の捜索にとりかかった
今日の捜査ではすこし遠くを捜す事にした私は、山吹の方まで歩いていっていた
「(・・・ミーコちゃんいない)」
たくさんの人が行き交う道を私は下を向いてミーコちゃんを探す
たまに猫をみかけても、ミーコちゃんらしき猫はなかなか見つからない
「ねぇ、そこの可愛い子何やってるの?」
あぁ、ミーコちゃんは一体どこに行ってしまったんだろうと考えても考えても答えは出てこない
初めて見た外の世界はミーコちゃんにとってとてもキラキラした魅力的な世界だったにちがいない
「え、ちょっと、聞いてる?」
ポンッと肩に手を置かれた私はビックリして振り返った
そこには山吹の白い学ランを来た、オレンジの髪の少年が立っていた
少年は私と目があうとニッコリと笑顔をうかべる。私はつくづく美形にからまれてしまうらしい
「何か御用ですか?」
「いやいや、一人で何やってるのかなーって思って。何回話かけても無視するし」
「・・・私、何回も話しかけられていたんですか?」
「うん。そこの可愛い子何やってるの?って」
「私が可愛く見えるなんて目大丈夫ですか?もし良かったら、良い眼科を紹介しますよ」
「俺の目は良すぎるくらい良いから!!」
焦ったように言う目の前の少年。私にはこんな所で話している暇なんてないのに
そんな私の気持ちに気付かずにこの少年はどんどん話を進めていく
「俺、山吹中3年、千石清純って言うんだ。ちなみにせいじゅんって書いてキヨスミね」
「私は・・・・貴方に告げるような名はありません。では、私は猫探しで忙しいので失礼します!!」
そういって私はすぐにその場を去ろうとしたのに、少年は私を呼び止めて、私はしょうがなく立ち止まった
少年・・・もとい千石さんはなにやら考え込むと、ハッとなにか思い浮かんだかのような顔をした
「猫ってどんな猫だい?」
「こんな猫ですけど、それがどうかしましたか?」
私は鞄の中に入っていた写真を取り出すと、千石さんに見せた
千石さんはその写真を見ると少し驚いたような顔をした後、笑ってみせた
「俺、この猫知ってるよ!!」
「ほ、本当ですか?!嘘だったら殴り飛ばしますよ?!」
「え、うん。(殴り飛ばす?!)本当だよ。最近、学校の近くでこの首輪をした猫を良く見るんだ」
まさか、この人とミーコちゃんが繋がっているとは思ってもいなかった
千石さんの顔を見る限り嘘には聞こえないし、これは急いでその場所に連れて行ってもらわなければいけない
「もし良かったら俺が案内しよっか?」
「お、おねがいします!!」
「じゃあ、その代わり君の名前教えてよ♪」
「は?」
別に私の名前とか、猫の場所に連れて行ってもらう上に必要ないと思うんですけど
だけど千石さんは私が名前を言わない限り、連れて行ってはくれなさそうだ。なんて、最悪な男なんだ!!
「・・・・です」
「その制服は氷帝だよね?何年生?」
「2年ですが」
「そっか、こんな可愛い子の探し物を知っているなんて俺ってラッキー!!」
私 は ア ン ラ ッ キ ー な ん で す が ね ! !
そんな私の心の声は千石さんに届かず、ほとんど引っぱられる形で連れて行かれた
「まさかちゃんがテニス部のマネージャーだったなんて、これって運命「じゃないですからね」」
あの後、あれよあれよという間に千石さんから色々聞かれて私がテニス部のマネージャーという事が知られてしまった
そしてなんと、千石さんもテニス部だったらしい。私はやっぱりテニス部に美形が多いんだと確信した瞬間でもあった
「跡部くんもこんな可愛い子がマネージャーだなんて羨ましいな」
「・・・・」
この人、天性の女好きに違いない。お願いだから、
私なんかを口説こうとしないで顔は良いんだから、他の可愛い子を口説いて欲しい
「で、ミーコちゃんがいる場所はまだなんですか?」
「うーん、もうそろそろ着くと思うよ」
千石さんの言葉にあたりをキョロキョロ見渡せば、確かに先ほどより猫の姿は多い
それでもその中にミーコちゃんの姿は見当たらない。だけど、この近くにはいるはず
「あ、あの猫じゃない?」
「どこですか?!」
千石さんの指差す方向を見れば、確かにミーコちゃんらしき猫が見える
目を凝らして首元を見れば、ミーコちゃんと同じ首輪をしていた
「ミーコちゃん!!」
捜し求めていたミーコちゃんの姿に思わず私は涙がでそうになった
だけど、感動の再会(といっても初対面だけど)は果たせそうにない
なぜならミーコちゃんはたくさんの車が行き交う道路に今まさに足を踏みこもうとしているから
「ちゃん?!」
焦ったような千石さんの声が遠くで聞こえた
私の足はもつれそうになりながらもミーコちゃんのほうに駆け寄って行く
あと少し、あと少し、だけど確実に車がミーコちゃんのほうに近付いている
この猫に危機感という言葉は無いのかと思ったけど、初めての外の世界。車が怖いものなんて分らないんだろう
「うっ!」
「にゃっ!!」
ミーコちゃんを腕に抱えて、私は少し転がるかたちで道路から離れた
車が私達なんかを無視するかのようにスピードを上げて走り去っていた
私の腕の中に感じる、暖かい体温
良かったと息をはけば、一気に肩の力がぬけた
「大丈夫、ちゃん?!」
「あ、はい。何とか・・・」
千石さんが心配そうに急いで走り寄って来た。周りの人も何事かと私を横目に見ながら歩いていく
「ちゃん、心臓が止まるかと思ったんだけど」
ムッと少し怒った表情で言う千石さん。私はこの顔を知っている
女子に呼び出されたことがバレたときのレギュラー陣の顔と同じだ
「ご、ごめんなさい」
「うん。分ればよいんだよ」
「あれ、と千石さん?」
なんだか知っている人の声が聞こえたと思って、そちらを振り返ればそこにはジャージを着た桃城君と
妖怪がいた
あれ、鬼○郎って妖怪だったけ?
でも人間ではないはずだよね。じゃあ、妖怪だなと自己解決をしていると、
千石さんと桃城君と妖怪少年は知り合いなのか会話を進めていた
「あれ〜、桃城くんと神尾くんじゃないか」
「こんな所で何してるんですか、千石さん?」
「うん、ちゃんとデート・・・・って、ゴメン嘘だから。その振りかぶった手を下ろしてください。いや、マジで」
冷や汗を流しながら必死に謝ってくる、千石さんを横目に私は桃城君のほうに視線を移した
「おい、桃城。知り合いか?」
「あぁ。って言うんだ。吾郎先輩の妹で俺らと同い年なんだぜ」
「え、吾郎さんの?!」
妖怪少年の顔がさぁっと、青ざめる。どうやら私の知らないところで、いろんな人に吾郎は迷惑をかけているらしい
だけど、私まであんな変態と同じに見られては困る。
「です。兄はあんなにですが、私は普通ですから」
「あ、そっか!!俺、神尾アキラって言うんだ。よろしくな!!」
私が普通と言った瞬間に一気に青ざめていた顔が消えて、笑顔になった
なんだかすまない気持ちになった私がそこにいた
「ところでこんなところで何してんだよ?」
「猫探し」
私はそういって抱いていた猫を桃城君と神尾くん・・・いいや、神尾はなんだか呼び捨てって感じだから呼び捨てにしよう
を見せた。ミーコは私の腕の中で大人しく寝ている
「へぇ。って、お前すっげぇボロボロじゃん?!」
「神尾、これにはいろいろ訳があるんだよ・・・・って、学校に戻らないと!!」
そうだ、急いでミーコちゃんを鳳に渡さないといけない。レギュラー陣もまだ必死にこのいないはずの猫をさがしているはずだ
私は3人に急いで別れを言うと、千石さんが何か叫んでいるような気がする中、走って学校への道を急いだ
「あ、ちゃーん!!・・・俺、連絡先聞いてないのに」
「千石さん。にはすっげぇ、ボディーガードがついてるから気をつけた方が良いっすよ」
「あぁ、吾郎さんな・・・・・」
神尾は吾郎を思い出して、ため息をついた。
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(2007・07・22)