平凡な日々


〜非一般論的な花見の考え・2〜












鳳とやってきた跡部部長の家は言いようもないぐらいでかかった










本気でこんな家がこの地球上に存在するなんて思っても見なかった私は鳳に連れて行かれている間ずっとキョロキョロしていた

窓の外に見えたのは、まだ春だから使われてないはずのプール

学校のプールはプール開きまでは濁った緑色の汚い水が入っているのに、この家のプールはとても綺麗だった









あぁ、私、金持ちって嫌いだ。










鳳に続いて、ずっと歩いていくと鳳がある一つの部屋の前で足をとめた

装飾のほどこされたドアとキィィと開けば、そこは・・・・・












ま さ に 戦 場 で し た










この家に似合う大きいテレビ、そしてこの家には似つかわしくないテレビゲーム

そして盛り上がりすぎだろってぐらい盛り上がっている氷帝テニス部レギュラー陣













誰一人として私が来たことに気付かないことに少しイラッとしそうだが







気付かれたら気付かれたらうるさそうなのでもう少しこのままでいようかと思う















部屋の中を見渡せば、やはり言いようのないぐらい豪華な部屋で




少し離れたところにあるソファーではジロー先輩が寝ている

こんな所でも寝るのかって、ジロー先輩はどこでも寝るか。なんて思っていると、ジロー先輩が起き上がった













まだ寝ぼけているのか、ぼんやりとこちらを見ていると思ったら急に起き上がって叫んだ










だCー!!」









その声に今までゲームに集中していた人たちもこちらに気付いて振り向く












ジロー先輩、余計なことを










そんな事を考えても時は既に遅し

みなさん、ゲームを途中で中断してだんだんと私のほうによってきました














あらためてみなさんの姿を見れば、鳳のように私服に身を包んでいた

確かに今日は休日だから当たり前のことなんだけれど、私にとっては初めて見る皆さんの私服姿






あぁ、最近、馬鹿な発言が多すぎてこの人たちがカッコよいってことを忘れていた

目の前にいるこの人たちはやっぱり美形だとあらためて感じる。だからと言って、別にどうって事ないんだけど



















・・・この私服姿の写真売ったらいくらになるかな

















そう思ってしまうのは、私が美形にもう慣れてしまったということなのだろうか

それとも汚い人間に育ってしまっただけなのか、







無性に泣きたい気分になった













じゃん!!来てるんなら言えよな!!」





「私服姿のちゃんも可愛い「黙れ、忍足。お前が言うと変態くせぇ」・・・うっさいわ、跡部!!」




「ったく、激ダサだな、忍足」



「おはよう」








「あ、おはよう、樺地」










樺地に挨拶をして、未だ煩い忍足先輩と跡部部長を一瞥してから部屋の中を見渡すと、既に疲れきっている日吉もいた

まさか、日吉がこんな人たちに付き合って、跡部部長の家に居るとは思わなかったので少なからず驚いた








「日吉、何で?」






「俺が自分からここに来たと思うか?」






「全然そんな事思うわけない」








私は思いっきり首を横に振る。はっきり言って日吉も私属性の人間である

何てたってツッコミ担当だし(ここ重要)、テニス部の三大苦労人の1人。ちなみにあと2人は、宍戸先輩に、樺地だと私は思っている







「朝、向日さんと忍足さんが家におしかけて来たんだよ」





「・・・・」







あまりにも可哀想でかける言葉もみつからない

なんで、こんなにもツッコミ担当は可哀想な役どころが多いんだろう










はぁ、と出てくるため息を何とかおさえていると肩を叩かれた









「じゃあ、よろしく頼むわ」










私には首を横に振る元気なんてもう、残っていなかった

































案内されてキッチンも、これまたすごく大きかった

正直、こんなに大きくても使いにくいだけじゃないのかと思ったのは跡部部長に秘密だけど



目の前に用意された材料の山に今日何回目かのとため息がでる













ってか、私一人で作るのかよ!!











誰か一人でも良いから、手伝ってくれても良いんじゃないかと思うんですけど・・・

あぁ、だけどあの人たちに料理が出来るとは思わない。それなら私一人で作った方がましなのかもしれないな









音のしない静かな空間の中で、再び私のため息だけが響く

たくさんの食材の横にある大きな重箱は未だ何も入っていなくて空っぽのままで












とりあえず私は近くの食材に手をつけた

















?」













呼ばれて声に振り返ると、ドアを開けてこちらをうかがう日吉が立っていた

その顔は先ほどよりも疲れ果てていて、跡部部長の部屋で何が行なわれているのかは一目瞭然だった










「どうしたの、日吉?」





「・・・・手伝いに来た」







「あ、うん。先輩達から逃げてきたんだね」










私がにっこりと笑顔で言えば、日吉は具合が悪そうに頷いた

けれど、手伝ってくれるならそれにこしたことはない。確かに私は料理は得意な方だけど、あんな大勢の人数分作った事なんてないし

日吉になら安心して手伝ってもらえる。








私達は黙々と2人で料理を作り上げていく







「日吉、結構うまいね」




「あぁ、よく手伝わされるからな」























「なんや、2人っきりでなにしよるん?」









新たな声の登場に、振り返ればそこにはニンマリと気持ちの悪い笑いをうかべる忍足先輩がいた

いや、気持ちが悪いと感じたのは私だけで、実際他の女の子が見たら感嘆の息がもれていたと思う







私の目はなんとも都合の悪い目みたいらしい








「あはは、まじ殺しても良いですか?





「やめとけ、忍足さんのせいで自分の人生、棒に振る必要も無いだろう











「え、ちょ、絶対2人とも俺の事嫌いやろ?」










私と日吉は落ち込む忍足先輩を無視して、再び料理に取り掛かる

急いで作らないと、お昼までに間に合わない。もしも、間に合わないなんてことになったら私は今日無事、家に帰れる気がしない














あぁ、これは死んででも作らないと











あ、いや、死ぬのは困るから、ここは"死ぬ思いでつくらないと"にしておこうと思う








そんなくだらない事を考えていると隣のまな板の上にのった包丁に手が伸びてきた

どうやら、いつの間にか復活してしまったらしい忍足先輩が鼻歌を歌いながら軽やかな手さばきで野菜を切っていく












「忍足先輩、意外とすごいですね」







「意外とは余計や!!・・・・一人暮らしやし、こんぐらいできんとなぁ」















新 事 実 発 覚 で す



忍足先輩はなんと中学生のくせに一人暮らしらしいです。まぁ、別に私には関係ないからどうでも良いんですけどね

だけど、忍足先輩のファンが知ったら、ストーカー行為にはしりそうな気もしない事もないです













最近の女のこって、とても恐いですから。気をつけたほうが良いと思いますよ、忍足先輩










「今度、遊びに「あ、ごめん、日吉。そこのコショウとって」・・・・」













私は忍足先輩の声を遮るかのように日吉にコショウを取ってもらうようにお願いした

え、ちょっと本当に私はコショウが欲しかっただけなんですから、そんな恨めしそうに見るのはやめてください忍足先輩



















私と日吉と忍足先輩






みんなの満足するようなお弁当を完成させる事はできるのでしょうか?

そもそも跡部部長はお弁当なんか食べるんでしょうかね?作らせておいて、まずいとか言われたら、

















私自分を抑えられる気がしませんよ













  













(2007・06・23)