平凡な日々
〜平凡な部活初日・3〜
「ねぇ、なんで男なのにセーラー服着てるの〜?」
ジロー先輩が首をかしげながら吾郎に聞いた
その仕草でテニスコートの外にいる女子から感嘆の息がもれる
なんだろう、この違和感・・・・
ジロー先輩の仕草が計算に見えてきた
いやいや、そんなの私の勘違いだよ。
ジロー先輩がまさか計算してこんな事・・・・・
ありえそうで怖い(ガタブル
もしかしたら私って人間不信になっているのかもしれない。
これも全て周りの美形が変人のせいだな!!
吾郎はキョトンとした顔になったがすぐ笑顔に戻して
親指を立てながら言った
「そんなの似合うからに決まってんじゃん!!」
うん、死んでしまえ(激笑顔
似合うからって着て良い訳じゃないと思うんだ!!
ほら、宍戸先輩なんてツッコミたくてたまんないって顔してるし・・・他の人たちも何ともいえない顔をしている
たった1人を除いて
「まぁ、ええやん。可愛い子は大歓迎やで」
そう言った忍足先輩はまっすぐと吾郎の方を見て微笑んでいた
妖艶といった雰囲気がぴったりな忍足先輩に私は眉を歪ませてしまった
可愛かったら男でも良いととらえたのは私だけでしょうか・・・・?
でも忍足先輩の隣にいた岳人先輩はちょっと怯えた感じで忍足先輩を見てるし、宍戸先輩はあきらかにひいていた
私以外でもそういう意味でとらえた人は少なくないらしい
「俺・・・・なんで侑士とダブルス組んでるんだろ・・・」
「激ダサだな・・・・」
「・・・頑張ってください」
血の気のない青い顔で岳人先輩が呟いたのを宍戸先輩と日吉が慰めてた
日吉が慰めるなんてとても珍しいことだと思う
そのぐらい今の忍足先輩の発言は気持ちの悪い衝撃的な一言だったらしい
しかし、今までこんな事は良くあった。吾郎が男だと分かっていても告白する男は普通にいたし
私に言い寄るふりをして吾郎に近付く男だっていた。その時は確かに悲しいと思ったこともあったけど、
今となっては何も感じない。むしろ、またかと思うだけである。
「あはは、忍足先輩少し・・・・いや、かなり変態っぽいですね?」
「かなりってなんやねん。それにそんな笑顔で言うなや、鳳」
「すいません。本当のことを言ったまでだったんですけどね?」
どんまいです、忍足先輩
でも忍足先輩の発言にも否があると思います。あの言い方じゃ誰でも勘違いしてしまう
もしかしたら勘違いじゃないかもしれないけれど
ていうか、鳳には逆らっちゃいけないということを早く知ってください
「勘違いするなや?俺は・・・・」
気付いた時には忍足先輩が私に近付いてきて
そっと私の後ろ側に回ったと思ったら後ろから抱きつかれてしまった
「?!」
驚く私を無視して忍足先輩は言葉を続けた
「ちゃんの方が可愛いと思ってるんやから」
息が耳にかかるぐらいのところで言われた。なんていうか、エロイ。声がエロイ
普通の女の子ならここで一発KOだ。でも私は普通の女の子じゃない
・・・・あれ?
ちょっ、私なんで自分で自分のこと普通じゃないって言ってんだよ!!(激汗
私は普通。私は普通
そう自分に言い聞かせながらはぁ、と息を吐くとなんとか落ち着いてきた
未だ忍足先輩は私に抱きついたままで、私はどうすることも出来ない
「離れろよ、侑士!!」
「アーン、なにやってんだ忍足?」
「セクハラだC〜」
「あんたには言われたくないでしょう、芥川さん」
「いい加減気持ち悪いんで離してください。てか、むしろ離せ?」
「気持ち悪いって酷いわ・・・」
だって本当のことなんだからしょうがないじゃないですか?
なんだかさっき鳳が言った事と同じような気がするが気にして入られない
私は早く離して欲しいんだ!!
「これは何かの拷問ですか?」
「ちゃうにきまってるやん!!ちゃん俺に冷たすぎるやろ?!」
「ソンナコトナイデスヨ?」
「その割には片言なんだな」
宍戸先輩そんなところでツッコミしないで私を助けてくださいよ
テニスコートの周りにいる女子は羨ましそうに私を見ていますが、私にとったら
本当に拷問のようなものなんです
それに、そろそろ外の女子が般若に変わってきていることに気付いて欲しい
てか、気付いてやってるでしょ、忍足先輩?
「から離れてくれるかな?」
そう言ったのはニコニコとした笑顔をうかべる吾郎だった
吾郎は私の目の前に来ると忍足先輩の肩に手を乗っけてそう言ったのだ。
まさか吾郎がそんなこと言うとは思ってなかった私は少なからず驚いてしまった。
その後すぐに忍足先輩からは解放されて、後ろを見て忍足先輩を睨みつけると忍足先輩は顔を真っ青にしていた
なにをしたんだよ、吾郎・・・・
でも、忍足先輩が悪いからしょうがないよね(笑顔
ふと時計を見れば休憩が始まって15分ぐらいは経っていた。
練習やりましょうよ!!
私はマネージャーの仕事に戻ろうと、テニスコートから出て行こうとした
しかし、それは急に手を掴まれたせいでできなかった
その手は跡部部長の手だったけれど、昼休みに女子に強く掴まれていたところと同じところで不覚にも眉を歪めてしまった
それを見た跡部部長の顔は明らかに機嫌の悪そうな顔になった
「なんだ、その顔は?」
「顔ですか。なんですか、気持ち悪いとでも言いたいんですか?」
「そうじゃねぇ。俺が掴んだ瞬間嫌な顔しただろうが」
「勘違いじゃないですか?」
「テメー」
「もしかして、手怪我してんじゃねぇの?」
そう言うと岳人先輩が跡部部長の手をのけて私の長袖のジャージをまくった。
これが忍足先輩だったらセクハラで訴えるのに
ジャージの下から出てきたのは手の形がはっきりとついた青黒い痣
それを見て私の周りにいた人達が息をのむのが分かった
「どうしたんだよ、これ・・・?」
「痛そうだC〜」
「痛いに決まっとるやろ」
そうですね。これが痛くないといったら私はそうとうのMになってしまう可能性がありますよ
「もしかしてこれ昼休みにつけられたのか?」
日吉があまりに睨んで聞いてくるものだから思わず頷いてしまった
そして、むしろ言ってしまいたかった
これはあんた達の親衛隊に付けられたんだと・・・!!(涙
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(2007・04・25)