平凡な日々


〜平凡な部活初日・2〜







渡されたジャージに着替えて初仕事が始まりました

洗濯やらドリンク作り・・・加えてテニスコートの外からの女子の視線











はやくも帰りたくてたまりません。











そんな気持ちの私を無視してか、遠くの方で跡部部長の休憩の声が響いた








私は急いでレギュラー陣のほうに用意していたタオルとドリンクを持っていく

なんだか私がレギュラーに近付くに連れて女子たちはより一層殺気をかもしだしている様な気がする









「タオルとドリンクですよー」







タオルとドリンクをベンチに置きながら叫んだ

私は早くここから立ち去ろうとしたのに名前を呼ばれてそれは出来なかった










〜!!」










ここで名前を呼ばないで下さい、ジロー先輩!!


ジロー先輩の肩越しに見える女子がとても怖い。そんな目で私を睨まれても私はどうすることもできないのに













テニス部のレギュラーはあの視線に気付いてないのでしょうか?










「今日も皆さん、女の子とは思えない目ですね。宍戸さん」




「あぁ。見てて怖いな・・・」








言ってる事はかなり酷いな・・・・


しかし、今日と言うことはマネージャーがいなかった間もあんな風にテニス部を見てたって事か・・・

私だったら確実に女性不信になっていそうだ。恋する乙女は加減を知らないらしい







「ところで、なぁ〜?」






「(名前呼びかよ!!)なんですか、向日先輩?」





「あ、別に岳人で良いぜ!!・・・って、今はそんな事どうでも良いん
「ところでこの前、飛び蹴りした美少女とどんな関係なん?」





「クソクソ侑士っ!!今それを聞こうとしたのに!!」






「はぁ・・・」









これはなんと答えれば良いんだろう。
てか、いつのまに皆さん私の周りに来たんですか?





気付かないうちにレギュラー陣が私を囲み、興味津々のようすで私を見ている

何か答えないといけないと言う事は分かっているけれど、兄ですなんて死んでも答えたくない










「あ、あれは友達ですよ!!」




「お前、友達に飛び蹴りするのかよ?」




「あの子は特別なんです」








さすがツッコミ担当の宍戸先輩・・・痛いところをついてきますね








「でも、俺あんな子学校で見たことありませんよ?」


「確かに鳳の言うとおりだぜ!!あれだけ可愛かったら目立ってそうなのになー」









そりゃこの学校の生徒じゃありませんからね。
逆に見たことあったら私が吃驚ですよ


疲れきっている体からはぁ、とため息がもれる

そのため息を打ち消すかのようにどこからともなく声が聞こえてきた











ー!!!!」







私の名前がテニスコート中に響いていた。

この声はもしかして・・・・









そう思ってテニスコートの外に目をやれば、荒れ狂う猛獣の中に一人












セ ー ラ ー 服 を 着 た 吾 郎 が い た







えぇぇぇぇぇぇ!!!!

な、な、な、な、なんでいるの?!あれですか?!









噂をすればなんとやらって事ですか?!(涙








吾郎は自分に注がれた(主に怖い女子の)視線に気付いていないのか、堂々とテニスコートに入ってきた








「なんや、この前の子やないの」



「てか、あれ青学の制服じゃね?」



ー、家に帰ったら誰もいないからびっくりしたじゃん!!」









そういえば、いつもはこの時間はもう家でテレビを見ている時間だ。

でも吾郎は部活があるから帰りは遅いはずなのに










「今日は部活休みだったから、とケーキでも食べに行こうと思ったのに〜」










うわ、普通に行きたい。

吾郎と出かけるのは嫌だけどケーキ食べたいなぁ。そういえば、駅前に新しい喫茶店出来たんだっけ

行きたいな〜。生クリームも良いけど、チョコレートも捨てがたいな









「おい、。戻ってこい」










ハッと我に戻ると日吉が呆れた顔をして此方を見ていた。

他の人たちはというと、吾郎の周りに集まっている。









「ねぇ、日吉」



「なんだ?」



「私帰っちゃダメかな?」



「・・・・・駄目だろ」








この光景を見ているともう本当に帰りたくなってくる。

吾郎の周りにはテニス部レギュラーが集まっていて、何て言うんだっけ・・・・
あ、逆ハーって言うんだ











その光景をテニスコートの周りにいる女子が睨んでいて、すっごく怖い★(涙











あのレギュラーの何人が吾郎に
ドキドキ恋しちゃった!!みたいなことになるのかなと思った

今までの経験上、吾郎はとてもモテる。そのおかげで私は小さい頃から利用されてきた










惚れたら惚れたで面倒くさいな・・・








「な、お前とどういう関係なんだよ?」







岳人先輩、余計なこと聞かないでくださいよ!!








「私、の姉なんです」











い つ お 前 は 姉 に な っ た ん だ ? ! 










「へ〜、のお姉さんなんですか?」






私に姉がいた覚えはないです

確か前見た戸籍にも兄しかいなかったんですけどね!!






「全然似てないんだな」


「そうやなぁ」






似ているわけがない。私より吾郎のほうが何倍、何十倍も可愛いし

あー、もう気にしないと思ってたのに

吾郎がここに来るから私がこんな思いをしなくちゃいけないんだ






ふーん、君って女の子だったんだ



「た、滝先輩?!」





いつの間にか滝先輩が私の背後に立っていた。気配が全然なかったんですけど

ダメだ、気にしたら。そうだよ、滝先輩だもんね。







「それってどういう意味ですかぁ?」






はい、きました。吾郎の必殺技上目遣いです。

この技で今まで数々の男をおとしてきました。このままではテニス部の皆さんも餌食になりそうな予感です。










「君、男でしょ?」









ばれたーーー?!



な、なんで?!この状態の吾郎を見て男だと分かった人は今までにいない筈なのに

本気で、滝先輩は何者なんですか?!










「うわー、この俺を見て男だって分かったやつ初めてだよ!!」







って、普通に吾郎は感動してるし!!

周りのレギュラー陣を見れば固まってるし・・・あ、鳳だけはニコニコ笑ってる

あいつもしかして最初から分かってたのか?








うん、鳳だからあり得ちゃうかもね!










もさ、テニス部のマネージャーになったんなら教えてくれても良いのに」






いや、言うこと忘れてたんだからしょうがないじゃん?

吾郎が今日休みってこともしらなかったんだし









「で、お名前は何て言うんですか?」







まだ周りは固まっているというのに鳳は普通に吾郎に質問した

その言葉にやっと我を取り戻したのかテニス部の人たちも吾郎に注目している










「じゃあ、あらためまして。青学3年吾郎、性別は男。よろしく!!」










よろしくじゃないよ、と呟いた言葉はそこにいる誰にも届かなかった
















  











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(2007・04・21)