平凡な日々
〜さよなら私の平凡スクールライフ・4〜
あの後滝先輩に手を引っぱられて遂にテニスコートにまでやってきていた。途中までは流石の私も抵抗をしていたんだけど
「いい加減にしようね、?」と微笑みながら言われた瞬間、無駄な抵抗は止めた。あの綺麗な笑顔が逆に恐かった
そして、今私の目の前にはあの泣きボクロが嫌な笑いを浮かべながら私のほうを見てきている。(だけど滝先輩の笑顔の方が断然恐く感じる
やっぱり今日の占いが12位だったのはこれのせいだ
昨日といい今日といい、テレビの占いの癖に当たりすぎだと思う
たかがテレビの占いだと思っていた私が馬鹿だった。これから毎日欠かさず見ることにしようと思う
まぁ、今からじゃ遅いとおもいますけどね・・・・
「アーン?手間取らせやがって。とりあえず、萩之助良くやったな」
「僕もにマネージャーやって欲しかったしね」
女の子のように柔らか微笑む滝先輩
だけど、そんな風に言われても私はやりたくなかった。今は滝先輩を信じていた自分を殺したいぐらいですよ
同じ図書委員でよい先輩だと思っていたのに、まさかテニス部だったなんて思いもしなかった。
テニス部だと分かっていたら、あそこで信用しなかったのに、と思いながら、ふと周りを見渡せばたくさんのテニス部員がこちらの様子を伺っているのが分かった
いや、それだけじゃないテニスコートの周りの女子がものすごい勢いで私を睨みつけている
泣きそうになるのを必死に絶えながら視線を帰れ見慣れた人がこちらを見ていた。
哀れんで見てないで助けろ日吉!!
そんな私の願いは日吉には届かず、日吉は私と目があうなり気まずそうな顔をして、顔をそらした
私は友達だと思っていた奴からも見放されてしまったらしい。
「フン。レギュラー集合!!」
泣きボクロが叫ぶとさっき私を追いかけてきた人たちが集まってきた。その中に日吉がいたことに少々驚いたのだけど
集まってくる人たち見れば、いわゆる美形に分類されると思われる人たちばかりの人たちばかりで
これは、もしかして先ほどの人たちは全てかの有名なテニス部のレギュラー陣だったんですか?
もし、本当にそうだとするなら―――
レギュラーならたかが小娘一人追っかける前に練習しましょうよ・・・!!
普通、小娘一人追っかけるぐらいなら平部員だけでも良いと思う(追いかけること自体しなくて良いと思うが
それにしても先ほどよりも視線が痛くなってきた。テニスコートの外にいる女子こちらをすごい顔で睨んできている
あぁ、そんな顔してたらせっかくの可愛い顔が台無しだと誰か言ってあげてください。
「こいつが今日からマネージャーになるだ」
なるとか一言もいってねぇよ!!!
心の中でそうツッコミながら泣きボクロに視線をうつせば、泣きボクロが私のほうを睨んでいた。
これはもしかしなくても自己紹介をしろって事なんだろうけど、私はテレパシーなんて使えないからちゃんと口で言って欲しい
睨んで済むとおもうなよ、この泣きボクロがと悪態をつきながら、私はしょうがなく低い声で言った
「・・・・2年のです。今すぐ辞めて良いですか?」
私のその一言を言えば、泣きボクロが思いっきり睨んできた。別に泣きボクロのお望みどおり自己紹介したんだから
睨むのは止めて欲しい。むしろ、褒めて欲しいくらいだと思う(いや、泣きボクロに褒められるのは気持ち悪いから遠慮しとく
「辞めるなんてダメに決まってるだろ」
「はぁ・・・・泣きボクロのくせに(ボソッ」
「聞こえてるぞ、テメー」
「あぁ、それは。スミマセンデシタ」
「・・・お前いい加減にしとけよ?」
「それはこっちのセリフですよ?」
「アーン?お前「どっちともいい加減にしようね?」
私と泣きボクロが言い合っていると、滝先輩が何やら威圧感たっぷりの顔で仲裁をしてきた。
私も泣きボクロもその笑顔が怖くて思わず黙ってしまう。どうやら泣きボクロも滝先輩には逆らえないらしい
「ほら、みんなも驚いちゃったでしょ?」
滝先輩にそう言われて見てみると、集められたレギュラーの皆さんが驚いた様子で私を見ていた
何をそんなに驚くところがあっただろうかと、考えてみるけれど別に驚くところなんてないと思うのだけど。うんうん、私に可笑しいところなんてないはずだ。
そう思っていると、目の前にあの下足箱で話しかけてきた丸眼鏡少年が目の前に立っていた
「俺は忍足侑士や」
胡散臭い笑顔をうかべて話しかけてきた丸眼鏡少年に一応引きつった笑顔を浮かべながら応える
私としては丸眼鏡少年の笑い方がすごくムカついてしょうがなかったけど、なにも言わなかった
自分で自分を褒めてあげたいと思ったのは言うまでもない。
「俺は向日岳人だぜ!!よろしく頼むな!!」
おかっぱ少年が下足箱であったときの様に丸眼鏡少年の後ろから飛びながら言ってきた。
無駄にとんでいるような気もするけれど、元気があってうらやましいと思う。もう、私に元気なんて残っていない
あ、でも
はっきり言ってよろしく頼まれても困る
「ったく、俺は宍戸だ」
「あ、鳳長太郎です!!」
宍戸?鳳?
テニス部とは無縁の私だけど、どこかで聞いたことのある名前と思い少しだけ考えてみれば答えはすぐにでた。
確かりりんが嬉しそうにテニス部のBL本を持って語ってきた人たちだ。
これがあの噂のテニス部の中では公式カップリ「へぇ、面白そうな話だね?俺にも聞かせて欲しいな?」
あれ、私声に出したっけ?
疑問に思いつつ声を出したか確かめようと思い、この中では唯一顔見知りである(まともな)日吉を見る。
しかし、日吉は少し浮かない顔をして首を横にふった。どうやら私の疑問が日吉には既に届いていたらしい。
だけど、声に出していないのに何故にあんな事を言われたのだろうか。
鳳さんのほうを見ればすごく爽やかな笑みを浮かべていた
「あ、別に同じ学年だから呼び捨てで良いよ」
「あ、じゃあ鳳で・・・・って、えぇぇぇぇぇぇ?!」
わ、わ、私声に出してなんですけど!!
「あはは、そんな事気にしない方が良いよ」
気にするなってほうが無理だ・・・・!!
私もうこのテニス部でやって行く自信がなくなりました。いや、最初からなかったけどさ
だって、読心術が出来る人がいるなんて聞いてないし。むしろ、読心術ができる人なんて本当にいたのかよ
少し放心状態の私を無視してどんどん自己紹介は進んでいく
「俺は別にいいだろ」
そりゃ、お隣さんの名前ぐらい覚えてるよ!!
日吉の顔を見れば、少しだけ同情できた。今までテニス部の愚痴を日吉から聞いていたけど
まさかここまで個性的なメンバーが揃っているとは思わなかった。ごめん、今まで真面目に聞いてなくて
「・・・樺地です」
なんだかすごく癒される人だ。もしかしたらテニス部の中では唯一私の癒しになるかもしれない
よし、この人とは絶対に仲良くなろうと思う。決めた。
「あっ、だC〜!!」
ドスッ
「っ〜!!」
言いようのない痛みが背中にはしる。痛すぎて少し涙がでそうなぐらいの痛さだ。
咄嗟に倒れそうになったのを樺地君が支えてくれた。あぁ、やっぱり私のよりどころはこの人しかいないのかもしれない
未だ抱きつたまま離れようとしない金髪少年を見る。お願いだからさっさと離してほしい。
「おい、慈郎。離してやれ」
「え〜」
泣きボクロに言われてやっと慈郎と言われる人が渋々ながら離してくれた(少しだけ泣きボクロに感謝だ
まだ突撃された背中が痛い。どれだけの勢いをつけてこの人は私の背中につっこんできたのだろうか
誰か彼に加減と言うものを教えてやってほしい。
「俺、芥川慈郎ね!!ジローって呼んで」
「えっ?」
な、な、何言ってるんですか?!
そんな事したらあのテニスコートを囲む女子という名の般若たちに血祭りに上げられるしまうじゃないですか!!
さぁっと顔が青ざめるのが自分でも分かった。無理だ。テニス部のレギュラーを名前で呼ぶなんて出来るわけがない
自分の命を大切にすると言うのは人として当たり前のことなんだ。しかし、そんな私の様子を見ても気付かないで金髪少年はこちらを見てくる
「だからジローって呼んでっていってるの!!」
そんな捨てられた子犬のような目で見ないで欲しい
一切、私は悪いことをしていないのにまるで私が悪いことをしているような気分に陥ってしまう
私は、はぁと息を吐き出して自分の行く末に絶望した。
「わ、分かりました・・・」
私の答えに満足したのかジロー先輩はスゴク笑顔になった。それに比べて私は今にも死にそうな顔をしていると思う
そりゃ、自分から命を投げ出したものなのだ。そんな顔になってしまうのは仕方がない。
最後の一人である、泣きボクロの方を見ればジャージを脱いで上へと投げる
指をパチンとならし、髪の毛をかきあげた。その姿に思わず、開いた口が閉まらない
「俺様が部長の跡部景吾だ」
ジャージを脱ぎ捨てる意味はあるんですか?!
てか、俺様って・・・
「「「キャー、跡部様ー!!」」」
テニスコートの周りから聞こえてくる女子の歓声。その歓声に酔いしれる泣きボクロ(かるく殺意が芽生えた
どうやら女子たちには効果抜群らしい。まってくもって最近の女の子の趣味が私には理解できませんよ・・・
まぁ、理解したくもないですけどね
「まぁ、よろしく頼むぜ。マネージャー」
ニヤリと微笑む泣きボクロにそう言われて私は改めてテニス部のレギュラーを見わたした
自分が思っていた以上に美形で個性的はテニス部のメンバー。伊達に、ホスト部といわれていないと思う
しかし、残念な事に今までの経験上美形にほとんどまともな奴は少ない
私はこの中でうまくやっていけるのだろうか、思い首を振った。
いや、普通に無理だろ
こうして私の平凡スクールライフは1年とちょっとで終わりを告げてしまった
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(2007・04・14)
加筆修正
(2007・09・15)