平凡な日々

〜さよなら私の平凡スクールライフ・2〜









「あと、私の得意うおぉぉぉぉ?!







ズゴォォォォ






私はあのまま吾郎のところまで走っていくと思いっきり吾郎にとび蹴りを食らわせてやった。

吾郎はそのまま少し遠くまで飛び、ついでに吾郎がかぶっていた長い髪のカツラも宙を舞って地面へと落ちた









多分、当分は目を覚まさないと思う。というか、一生目を覚まさないで欲しい









はぁ、カツラまで準備してここに何をしにきたんだろうと思えば吾郎の倒れた近くに書類が落ちてあった。

もしかしてしなくても吾郎はこれを届けにきたらしい。だからって、氷帝の女子の制服やカツラまで準備しなくても良いだろうに。

それに、氷帝の女子の制服なんてどこで手に入れたのだろうか、と思って考えるのは止めた。コイツは普通じゃないんだ、考えるだけ無駄だ。










それにしても竜崎先生、吾郎に仕事なんか任せないでくださいよ・・・











「おい、?」








いきなり名前を呼ばれたと思って振り返ればそこには日吉がいた。なんでコイツがここにいるんだ?

そう思ってまわりを見渡せばテニス部の人たちとマネージャー希望の人が私を見ていたのがわかった。










「あっ・・・・」








そう言えばここテニスコートじゃないですか!!




忘れていたけど、ここは天下のテニスコート。や、やばいと思ってもとき既に遅し。

冷や汗が流れる私の目の前に誰か分からない人が立ってた。いわゆる、美形といわれる私が最も苦手とする部類の人間である

偉そうに目の前に立つ人間に少しだけ、背筋が冷たくなった(嫌な予感がする!








「アーン。誰だ、お前?」








あなたが誰ですか?




と、思った質問は飲み込んだ。それにしても人の名前を聞く時は自分の名前からって習わなかったんでしょうか。

小学生の時、いや幼稚園のときぐらいには習うとは思うのだけど。ま、言われてもこちらは言う気ないですけどね!!

そう思いつつ、考え込んでいると背中に思いっきり重みが加わった。その拍子にとても女とは思えない声が私の口から漏れる








「ぐおっ!!」





「マジマジ、すっげー!!今のすっごくかっこ良かったC−」








誰ですか、この金髪は?!急に抱きついてくるなんてどんな教育受けてるんだ・・・・てか、周りの人見すぎだから

自分に視線が集まっている事が嫌でもわかる。多分、いや絶対これ以上ここにいたら嫌でも目立ってしまうのは間違いない







しかし、この金髪少年は離れようとしてくれず、私は途方に暮れた。









「す、すいません!!」









一応謝りましたからね?!


心の中で呟いて、金髪少年を一本背負をして投げた。こんな時に限って昔習っていたものが役に立つなんて思っても見なかった

私は悪くない、悪くないと自分に言い聞かせながら金髪少年が飛んだ方向に目をやる







「っ?!」







もちろん地面に落すわけには行かないので日吉の方向に。日吉なら受け取ってくれると信じてる。

だって古武術を習ってるらしいし、都合が良い事に近くにいたし(明日日吉から嫌味を言われる事は覚悟しておかなければならないけど)










おぉ、ナイスキャッチ(拍手









見事に金髪少年を支えた日吉に拍手を送りながら、私は思い立ったように地面に落ちた書類に手を伸ばした

本当は吾郎をここに置いて帰りたくてたまらないのだけど、起きたら起きたで何をしでかすか分からないので

吾郎を背負い近くで見ていた榊先生のところに向かう









相変わらず先生に見えない先生だ







「榊先生、この書類、多分青学のテニス部からです!!」


「あ、あぁ」







何やら急に現れた私に驚いているみたいだったけど、すぐに真面目な顔に戻って書類を受け取ってくれた

私は書類がちゃんと榊先生が確認したのを見てからテニスコートから走り去った。吾郎は重くて仕方がないけど、そりゃ、もう本気で走った











結局家に帰るまで吾郎の目は覚めなくて、私は吾郎を家まで背負ったまま帰った(本当に自分は女子中学生かと疑いたくなる)











帰る途中にたくさんの人から白い目で見られたけど気にしないでおこうと思う。

家についてからはスーパーに行くほどの体力も残ってなかったので、残り物で夕飯をすませた

疲れきった私は、その日は早々と眠りについた。あのテニスコートでの事を早く忘れる為にも





























次の日、すっかり昨日の事も忘れていつもの様にお弁当を作っていると吾郎が起きてきた







セーラー服を着て







「なんでぇぇぇぇ?!昨日捨てたのに!!!」


「甘いなぁ、は。俺がスペアもってるって気付かないと」








気付くわけないだろ?!








「じゃあ、いってきま〜す」







私はただただセーラー服で学校へと向う吾郎の後ろ姿を見ていることしか出来なかった。







そう言えばさっき見た占い12位だったけ・・・?

どうやら今日の私は昨日よりもついていないらしい。私は重い足取りで学校へと向った。



















学校に着けば下足箱でりりんと会った。もうその時には既に私はつかれきっていたと思う。

なんだか周りの女子から見られているような気もしたけれど、私は特に気にせずにりりんのほうをみた。







「おはよう、!!朝からやつれてるわね!!」



「おはよう・・・りりんは朝から元気だね・・・ヘヘ」








私はそのまま教室まで朝から元気の良いりりんと話しながら向かった。話の内容のほとんどがテニス部のBL本についてだったけど。

それを大人しく聞いた私は偉いんじゃないかと、心の中で自分で自分を褒めたのはりりんには秘密だ









「日吉おはよう・・・」





か。おはよう」









教室に着いて、自分の席に向えば既に日吉がいた。私がため息をはきながら机につくと日吉がジッとこっちを見ているのに気がついた

なんだか、無視しようにもあまりに見てくるものだから、気になって仕方がない。日吉のことだから宿題を写させてくれ何ていうことはないだろう

って言うか、私のほうが今はうつさせて欲しい。今、昨日出された数学の宿題を思い出してしまった。










「どうかした、日吉?」




「い、いや」











さすがに我慢できなくなって日吉に聞いても、何も言ってはくれなかった。

それに、私の勘違いならいいんだがすごく哀れそうな目で見られているような気がする。









え、私なんかしたっけ・・・?









結局考えても答えは浮かばずに、時間はどんどん過ぎて待ちに待った昼休みになっていた

私がウキウキな気分で今日の朝頑張って作ったお弁当をあけていると、急に放送がかかった。その声に思わずお弁当を開けていた手が止まる。











「2年のは急いで音楽室の榊のところまで来なさい」







は・・・?






「あれ、呼ばれてるじゃない?」











目の前でエビフライを食べているりりんが言った。しかし、私としては放送で呼ばれた意味が分からない。それも榊先生にだ。

この前の音楽の課題はちゃんと出したはずなんだけどと考える。









「ほら。早く逝って来なさいよ」




「りりん、漢字変換が違うんだけど?」




「あら、本当?」









この際だから気にしないでおこう、と思いりりんの言葉の意味も特別に気にせずにいた。





いや、だけど友達に対して逝くなんて漢字を使うのは酷いと思う。これが私じゃなかったら相手は怒っていたんじゃないか。

私は意外と心が広いんだと思いながら席を立つと、朝の様にまたもや日吉が哀れそうな目で私を見ているのに気がついた









・・・頑張れよ」




「あ、うん」








とりあえず返事は返したけど何を頑張れば良いんだろう?























ノックをして音楽室に入ると、榊先生が優雅にコーヒーを飲んでいました。






教師ってうらやましいな・・・いや、この場合は榊先生だけの特権か。本当、なんでこの人が教師をやっているか不思議だ

聞いた噂によれば、榊先生は金持ちらしいし、この服装もすべてが不思議だ。この先生なら学校の七不思議のひとつにもなれそうな気がする









「あの、榊先生。何か?」




「うむ。は今、部活に入っているのか?」




「いえ、入っていませんけど」








先生の質問の意図が分からないけど、私は先生の質問に即座に応えた。私が部活なんて入っているわけがない。

だって面倒くさいし、私には吾郎の世話と言う、可哀想な役目もある。











「そうか、それではテニス部のマネージャーになってはくれないだろうか?」








は・・・?




あれ、今この人何言った?私がテニス部のマネージャーに?いやいや、私の聞き間違いか!!

私があまりにも驚いた顔をしていた為が再び榊先生が口をひらいた










「テニス部のマネージャーにな「なりませんよ」









私は榊先生が言っている途中だったけど気にせずに言い切った。全くもってこの人は何を言っているんだ!!

テニス部の言えばホスト部と言われて変人ぞろいと言われりりんの話によれば公式カップリン(以下略

いや、一番この部活が嫌な理由は熱狂的なファンが多いところだ。美形が揃っているばかりにこの部活はファンが多い











そんな部活のマネージャーなんて命がいくつあってもたらなくなってしまう。











「お話は以上ですか?昼食がまだなので戻らせていただきます」





「そうはさせないぜ、アーン?」








急に知らない声が聞こえてきたと思えば私が入ってきたドアの方に昨日の泣きボクロさんがいた。いつの間にそこにいたのだろうか。

私が気付かなかったなんてよっぽど影が薄いか、気配を消すのが上手いののどちらかである。







てか、アーンって何ですか?!










「そうはさせないってどういうことですか?」



「お前はテニス部のマネージャーになるしかねぇんだよ」










カチン、と思わず目の前にいるこの男の言い方が頭にきた。この人、ものすごくムカつきますね

それに、なるしかないって決定事項なのかよ!!咄嗟にツッコもうとしてしまった自分を抑え、相手を睨みつける

やっぱり、テニス部には変人ばかりだったらしいと思ったのは言うまでもない








「さぁ、どうするんだ?」









そう言いながら少しずつ泣きボクロ(呼び捨て)が近付いてきた。その顔はまるで悪役の顔だと誰か教えてあげた方が良い

まぁ、ここには私とあと変人二人しかいないからそれはできないんだと言う事はわかっているんだけど。

とりあえずここから離れなければと思い、私は覚悟を決めて、







窓から飛び降りました★







「お、おい?!」


「ここは2階だぞ?!」









泣きボクロと43(命名)の驚いた声が聞こえますが、気にしません。私、体は丈夫なんです





それに運動神経も自分で言うのは何だけど良い方だと思う。だてに吾郎を相手に生活していないし

下に見事に着地をした私は上を見上げて間抜けな顔をした変人2人を見ながら叫んだ










「絶対、マネージャーとかしませんからね!!!」








これ以上、平凡スクールライフを壊させはしない














    









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(2007・04.02)


加筆修正
(2007・09・15)