今日は豚肉の特売日だったのに!!
平凡な日々
〜さよなら私の平凡スクールライフ・1〜
今日も私は朝から二人分の朝食とお弁当を作っていた。両親は海外に出張しているため、家の家事は私がほとんどを担当している
はっきり言ってめんどくさい事この上ないが自分がしなければ誰もする人がいないから仕方がないことなのである
ドドドドドドドドドド バタン!!
「!!俺のセーラー服が無いんだけどぉぉぉぉぉぉぉ?!」
この朝から煩いのは一応私の1つ上の兄である吾郎。こいつのせいで私は人生を半分くらいそんしていると言っても過言ではない
あと、男の癖にセーラー服が無いとか言っちゃってるが多分変態ではない・・と信じたい
私ははぁ、と息を吐くと顔をあげパジャマ姿の吾郎を見て言った。パジャマがひよこってお前何歳だよ。
「今頃、焼却場じゃない?」
「あ、そうなんだ。って、はぁぁぁぁ?!」
私が言えば吾郎は驚いたような声をだした。
朝から叫ぶのは近所迷惑だからあれほど止めろって言ったのに(いや、朝なんて関係ない。家では叫ぶな)
吾郎を軽蔑したような目で見つつも、私はお弁当の中につくったおかずを詰めていった。ちなみに今日の卵焼きは自信作だ
「なんで捨てるんだよ!!俺には学ランよりセーラーのほうが似合うのに!!」
「はいはい、そうだね。吾郎にはセーラーの方が似合うね(棒読み」
「え、ちょ、棒読み?さすがの俺も傷ついちゃうよ?」
「・・・・・・」
「ひどい!!」
うぅぅぅ、とか言いながら吾郎が座り込んでしまった。ちょっとそこ本気で邪魔なんだけど、とは思いつつも口には出さない
なぜなら言ったら言ったで、これ以上ウザくなってしまうからだ。
それにしても朝からこんなテンションの高さで夜までもつのが本当に不思議で仕方がなく思う。
私ははっきり言ってついていけない。まぁ、ついていこうとも思っていないから別に良いんだけど(いや、良くもないけどね・・・!!
「てか、もう行かなくてよいの?」
私はあまりにも吾郎がうざかったので近くにあった時計を手にとって吾郎に見せた。
吾郎は座り込んだまま顔を上げて、時計を見た瞬間面白いぐらい固まった。
ちなみに時刻は午前7時
「うぉぉぉ?!手塚に走らされちゃうじゃん!!」
そういうと吾郎は今まで駄々をこねていたのが嘘みたいに素早く学ランに着替えて出て行った。
吾郎は青学男子テニス部のマネージャーだからこの時間に既に出ておかないと遅刻なのだ(むしろ手塚先輩に怒られろ
もちろん私が朝早く起きて作ったお弁当も忘れずに持っていく。
吾郎の学ラン姿を久しぶりに見た気がするな(遠い目
吾郎はそこらへんのアイドルよりもよっぽど可愛い顔をしている。まぁ、だからってセーラー服着なくても良いだろう。
いや、それ以前に学校の先生達が何も言ってこないのも不思議だ。学校の先生なら注意ぐらいしてほしいと私はいつも切実に願っている。
本人も自分が可愛いって自覚しているから尚更性質が悪い。まぁ、それに比べて私は本当に平凡な顔で
そのせいで今まで吾郎と比べられることなんてたくさんあった。そういう奴は片っ端から潰し・・・・ゴホンゲホン
とりあえず吾郎が青学に入ってから私の負担は大分減ってくれて助かっている。
吾郎は存在するだけで誰かを巻き込み迷惑をかけるから、その分青学のテニス部の人たちに迷惑がかかっているのだけど。
本当にごめんなさい。
でもそのおかげで私は平凡スクールライフをおくることができてるんです
私は吾郎とは違う学校に入りたかったからちょっと遠いけど、氷帝学園に入学した。もちろん青春学園って名前が嫌だったのも理由のひとつで
吾郎と違う学校というだけで肉体的にも精神的にも楽で、他の人にとったら普通の学校生活に感じるかもしれないが
私としてはこの上ないほど最高の学校生活を送れていると感じられている。これもすべて青学のテニス部のおかげ。いや、手塚先輩のおかげだ
「私も行くか」
無駄に大きな門をくぐり学校につけば、下足箱の近くで人が群がっていた。いや、正しく言うと女子だけ群がっている。
今日は何かあったか?とその女子達を横目に教室に向かうと、クラスの女子も何やら浮かれているように見えた。
私は自分の席に着くと隣の席にいるテニス部の日吉に声をかけた。
「おはよう、日吉」
「あぁ」
日吉を見れば、いつもよりなんだか疲れているように見えた。まぁ、テニス部の朝練があったからそう見えるのも仕方がないのかもしれないけど
それにしても疲れすぎているように見える。顔色が真っ青な日吉をみていると、流石に可哀想に思えてきた
「今日なんかあったけ?」
私が学校についてからずっと疑問に思っていたことを口にすれば日吉は大きなため息をついた。
どうやら、日吉はこの女子達の異常な雰囲気の理由を知っているらしい。もしかしたら、日吉が疲れきっているのと何か関係があるのだろうか。
そう思いながら、日吉の話に耳をすませば思っても見なかった言葉が返ってきた。
「今日・・・テニス部のマネージャーのテストをする」
あぁ、なるほど
それでこんなに女子たちが獲物を狩るような眼をしていて、可哀想なことにその餌食になったのが日吉だったわけか
ご愁傷様と心の中で呟きつつ、私は異常な雰囲気な女子達をもう一度見回した。みんな確かに恋する女の子★みたいな顔に見えないこともない
テニス部と言えば、別名ホスト部と言うぐらいの美形の集まりだし。まぁ、美形なのはレギュラーと準レギュラーだけらしいが(可哀想な平部員)
実際見たことのない私は何も知らない。興味もない。テニス部のマネージャー募集なんてどうでも良い
だって、吾郎を見てると美形にまともなのはいないと思うんだよね・・・・!!
「今日はテニス部のコートに女子がいつも以上に群がるわね」
急に声がすると思って振り返ればそこには親友のりりんが立っていた。いつの間に、と思う前にりりんの持っているものに視線が行く
りりんの事だから、手に持っているカバーがかかった本は多分BL本なんだろうね。
「なんでマネージャーなんて面倒くさいものになりたがるんだろ?」
私はいつの間にか声を出していた。まったくもって自分から面倒くさいことに頭をつっこむ人の考えがわからない
テニス部のマネージャーになって良い事なんてはっきり言ってないと思う。
女子からは苛められるし、ある意味、自分で自分の首を絞めて何が楽しいのだろうか
それなら遠くから見ているほうがよっぽど利口だと思う。私はテニス部に興味はないから遠くから見ることもしないのだけど
「マネージャーになったら彼女になれるとでも思ってるんじゃない?」
私はテニス部同士で絡んでくれた方が良いけど、といらないことを言い残しててりりんは自分の席に戻って行った。
確かにりりんが言っている事も一理あるかも知れないと思いつつ日吉の方を見れば固まっていた。
あぁ、りりんがBL好きって知らなかったんだね
こうして考えると私の知り合いは個性が強すぎるような気がする。
吾郎にりりんに・・・・一応青学のテニス部の人たちも入るのかな?
「じゃあね〜」
「ばいばい。また明日」
クラスの女子が浮き足立ったまま、遂にテニス部のマネージャーテストの放課後になり教室もだんだんと人が少なくなってきた
あえて言うならほとんどクラスの女子は終礼が終わった瞬間に教室から駆け出して出て行った。その様子に私だけでなく先生も驚いていた
日吉もため息をつきつつ部活に向ったし、私も早く帰らないと近くのスーパーの豚肉の特売に間に合わなくなってしまう
私は焦る気持ちをおさえつつ急いで下足箱に向かった
下足箱から外に出るとテニスコートにかなりの女子生徒がむらがっていているのが見えた
中には女子とは思えない鬼の形相をした女子も見える。本当にここは金持ち学校なのだろうか(先に言っておくけど私は庶民だ)
お嬢様のあの顔は犯罪だろう。本気でトラウマになりそうなぐらい怖い。
と、思うと同時に何やら嫌な予感が頭をよぎった。
たしか、今日のテレビで見た占いは11位だった・・・・気がする
〜〜♪〜♪
携帯から流れる着メロの長さがメールではないことを私に知らせた。私は急いで鞄の中から携帯を取り出すと通話ボタンを押した
しかし、歩く速度は緩めずにどんどんテニスコートに群がる女子を横目にテニスコートの横を進んでいく
「はい、もしもし?」
『あ、ちゃん。不二だけど』
「おっと、間違って消して『呪われたいの?クスクス』
不二先輩からの電話は良いことがないような気がして切ろうとしたけど、失敗してしまった
でも不二先輩に逆らうと後が怖いからしょうがない。今は大人しく不二先輩の話を聞くことにしようと思う。
「・・・どうしたんですか、不二先輩?」
不二先輩から電話がかかってくるなんて本当に珍しい。たまにメールが来る事もあるけど電話なんてめったにない
それにこの時間は確か青学は部活中だと思うのだけどと思って、不二先輩の電話に耳を澄ませば
電話の向こうからテニス部のものと思われる掛け声が聞こえてきた(部活中に電話なんて手塚先輩は怒りそうなのに
『あ、うん。吾郎が氷帝に行ったから』
えっ・・・・・・?
吾郎が氷帝に行った=ここに吾郎がいる?
いきなりの不二先輩の死刑宣告のような台詞に思わず足が止まる。いや、まさか吾郎がここにいるなんてありえない事だ
そうだ、今のは聞き間違いだと自分に言い聞かせるが、不二先輩はこんなくだらない嘘はつかない。つくならもっと酷い嘘をつく
『僕たちが気付いた時には遅かったみたいで・・・って、聞いてるちゃん?』
えぇぇぇぇぇぇ?!
ど、ど、ど、どうしよう!!吾郎がここに来たってことは絶対何かしでかしちゃうよ、せっかく氷帝で平凡スクールライフがおくれてたって言うのに!!
お、落ち着け自分。吾郎が何かしでかす前に見つければいいんだよ!!
「わ、わかりました。見つけたら、即青学に強制送還しますね!!」
『や、別に僕はそっちに行ったままでも面白いと』
ピッ
後が怖いですが切らせて頂きました。こっちの身にもなってくれよぉ!!!
しかし、吾郎はどこに行ったのかは私には検討もつかない。そもそもなんで吾郎がここに来たのかも分からないのに捜せなんて無理な話だ
やっぱり電話は切らないで、もっとちゃんと聞いておけば良かったと後悔していると聞き慣れた声が聞こえてきたような気がした
それも、沢山の女子が群がるテニスコートの中から。
「え〜と、435番です!!」
?
ま、ま、まさか自分と同じ苗字の人なんてこんな大きい学校だったらいくらでもいるよね!!
それにテニスコートから聞こえてきたということは、マネージャー希望の人なんだろうし、と思っても足は無意識にテニスコートの方に向かっている。
テニスコートの方に行ったのは良いものも女子の大群で中まで見えない。悩んだ私は近くにあった木に登り(木登りは得意だ)、中の様子をうかがう
そして、奴を発見してしまった
「好きな料理はの作った料理すべてです」
なんで氷帝(女)の制服着てるのぉぉぉぉ?!
私はもう早く奴の息の根を止めてやらねばならないと思い、木から見事な着地をきめて(自分で言うのもなんだけど10点満点だ)
そこが何処だったかなんて考えずに飛び込んでいた。
→
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(2007・04・01)
加筆修正
(2007・09・15)