ツナに新しいファミリーができたと、リボーンから聞いたのはつい先日の事だ。あまりにリボーンが嬉しそうに(俺には見えた)言うものだから、気になっていたけど中々会えずにいた。そして、そんな俺にリボーンが見せてくれた一枚の写真。それが、ツナの新しいファミリーとなったの写真だった。見た目は普通の中学生。この子にどんな力があるのか、と思ってしまったけど、ツナだって見た目は普通の中学生だ。それに俺も数年前までは、戦いなんてできない普通の(そりゃ、マフィアの息子ではあったけどな!)学生だったし、俺が言えた事ではないけど。それでも、普通の女の子っていう印象しかこの写真からは見受けられなかった。
「ボス、遂にそんな中学生に手をだし「そんな訳ないだろ」・・・・ちょっとした、冗談ですよ。冗談」
「ったく、ロマーリオ。今度そんな事言ったら減給にするから覚悟しろよ」
「はは、冗談が通じないボスで困る」
「うるせぇ!」
「あれ、ボス?どうしたんです、その写真・・・・もしかして、ボスそんな年下の女の子を好きに「イワン、お前減給な」」
「えぇぇぇ?!そんな、ボスぅぅ?!」
「・・・・・(イワン、なんともタイミングの悪い男だ)」
その写真のせいで、少しの間ファミリー内で俺がロリコンだと言う噂が流れてしまった。俺にはそんな趣味はねぇ・・・・!!俺が気になるのは、このが持っている能力だ。あのリボーンがあれほどまで嬉しそうに(俺には見えた)話してくれるんだから、よっぽど特別な能力があるんじゃないかと思う。まぁ、あのリボーンのことだから何かあるのは間違いないだろう。
「なぁ、ロマーリオ。こいつ、どんな奴だと思う?」
「やっぱり、ボスこの子のことが「減給にされたいのか?(どいつも、こいつもうちのファミリーは!!)」」
「(・・・・・)良い子に見えるけど、とてもマフィアと関わっているようには」
「だ、よな」
ロマーリオも俺と同じ気持ち。本当に、はマフィアとは無関係に見える(って言うか、リボーンの話聞く限り無関係っぽいよな)コイツも可哀想に。厄介な奴に目をつけられて。リボーンは血も涙もない奴だからなぁ。はは、ちょっと昔リボーンに特訓されてきたことを思い出して涙がでそうだぜ。写真をもう一度見直す。ツナとは違う制服を身にまとい、ツナ達と仲良さそうに話す。一体、コイツは何者なのか。
ただ普通の女の子と直接会うまでは、思っていた
久しぶりに来た日本に、部下を引き連れずに歩く。人通りはまばらで、俺はその道を歩いていた。よし、暇だし久しぶりに弟分のツナに会いに行こう。リボーンもいることだし、の話を聞けるかもしれねぇ。ツナからも、の話を聞けば、がどんな奴かきっとはっきりするだろう。そう思いながら、ツナの家へと足を運ぶ。ふと顔をあげて見てみれば、あのと同じ制服を着た奴が一人こちらに向って歩いてきていた・・・・って、あれがじゃね?目をこらして、見れば確かに写真と同じだった。この機会を逃すわけには行かないと、俺は話しかけようとして、そいつの目の前でこけた。
「(さ、最悪だ・・・・!)」
「だ、大丈夫ですか?!」
咄嗟にかけられた声に、俺は顔をあげる。そこには写真で何度も見たが心配そうな顔で俺に声をかけてきていた。・・・・って、あれ?俺が顔をあげた瞬間コイツ、すんごい嫌なものを見るような顔に変わったんだけどこれってどういうこと?はは、まぁ、俺の勘違いだろうと思い立ち上がれば、はまるで俺から逃げるかのように背中を向け、今にも走り出そうとしていた(・・・・なんでだ?)
「お前がだな?」
笑顔をうかべて俺が言えば、は驚いた顔をしてこちらを向いた。
「な、なんで私の名前知ってるんですか?」
「だってお前、ツナのファミリーだろ?」
「え・・・?」
驚いたの顔はみるみる内に青い顔になり、肩を落としながらハァと息を吐いた(そ、そんなに俺と会うのが嫌だったのか?!俺だって傷つくんだけどな・・・!)そんなの様子に、俺は少しだけ悲しくなったが、このチャンスを活かさない術はないだろう。折角、に会えたんだ。ツナのファミリーとして本当に相応しいか見てやるのも、兄貴分の役割だと思う。って言うか、俺がただ単にリボーンが興味を持った奴がどんな奴なのか気になるだけなんだけどな。「オレはキャバッローネファミリー10代目ボス、ディーノだ。よろしくな!!」は、苦笑いと言った表現が一番会う顔で笑っていた。
あの後、を誘って近くの喫茶店まで連れてきた。目の前で未だ疑ったような視線を向けてくるを一瞥して、俺は目の前にあるコーヒーを手に持ち口元へと持っていく。「あっちぃ!!」口に入れたコーヒーがあまりに熱く、俺は少しだけむせた。それを見ていたが口を開く。
「(・・・・・・・・)ディーノさんってボスでしたよね?」
「あぁ、そうだぜ」
俺が応えれば、あまり納得いかないといった目で俺を見てくる。しかし、俺はれっきとしたキャバッローネファミリー10代目ボス。部下をまとめ、ボスとしての役割はちゃんと果たしているつもりだ、が、たまにはコーヒーが熱くてむせる事があるってものだ!!(だけど、たまにだからな!いつもって訳じゃないんだぜ?)ハァ、とまたはため息をつくと、「で、今日は何か御用なんですか?」と、俺に対して質問をしてきた。今日、何しに来たかなんてそんなの、
「リボーンの奴がツナのファミリーに新しく入った奴がいるって言うから気になってな」
「・・・・・」
「それにしてもリボーンが言うからどんな奴かと思えば普通なんだな」
わざと、普通と言うところを強調して言う。もちろん、笑顔を忘れずに。こんな言い方されれば誰だってカッとなることは間違いないだろう。俺だってマフィアのボスなんだ。相手の心情を読むことができなければ、相手の裏をかくこともできやしない。それに、カッとなって怒ってくれれば、何かしら俺に対して攻撃を仕掛けてくる可能性も高まる。これはの能力を見るためのテスト。さぁ、お前はどういう能力を持っているんだ、?と心の中で問いかければ、はケーキを一口口にして、俺の思いとは裏腹に冷めた目をしていた(え、普通ここって怒るところじゃねぇの?)
「言っておくけどはやらねぇからな」
「「リ、リボーン?!」」
いきなり聞こえてきた声。咄嗟に体が強張るのを感じたのは、俺が未だにコイツから与えられた恐怖が忘れられない為か(な、情けねぇ・・・・!)それとも、ただ単に驚いたかだけかは分からないが、声が聞こえてきた方を向けば、そこにはリボーンが立っていた。あれー、俺ってマフィアのボスだよなー?なんで、今まで気付かなかったんだ?なんて考えたところで相手はリボーン。まだまだ俺がリボーンの気配を感じられるわけがねぇ・・・・・・まぁ、それはそれで若干悔しいがな!!
「何言ってんだよ、リボーン。大事な弟分のファミリーをただ見に来ただけだぜ」
なんて、本当はの能力を見たかったのもあるんだが。俺が言えば、リボーンは「こいつの力をみたらそんなこと言えないかもな」と言って来た。結局、俺はこの目の前にいるの能力を見れなかった。これだけ、リボーンが言うんだ。本当にコイツは何か良いものを持っているんだろう。確かに話している限りは悪い奴には思えなかった。それと、一つ気になったのは、
「(今のコイツの瞳と言った所か、)」
少しだけ、暗くなったような気がする。と話をしていた限り、まだ自分が何故マフィアとして誘われたのか戸惑っているんだろう。そりゃ、少し前までは普通に一般人の女の子だったんだ。急にマフィアなんて言われても納得できるわけがねぇ。しかし、最初にに会った時、コイツは躓いた俺に大丈夫か、と声をかけてきた。そのことを思い出し、コイツはツナのファミリーとして相応しい奴だと思った。初めて見た、あの瞳。その瞳には、何か強い意志、そして慈愛を感じた。俺には超直感なんてものはないが、マフィアのボスとして見れば、コイツはきっと・・・・
「おい、」
「え、あ、はい?!」
「なんか嫌なことでもあったら俺に言いな」
俺は、をツナのファミリーとして認める。視線の端でリボーンがニヤリと笑った気がした(少しだけ悪寒がしたぜ・・・!)そして近付く気配に、俺は振り返る。そこには、ロマーリオがいた。
「ボス、そろそろ時間だぜ」
「ロマーリオか。分かった、すぐ行く」
もう少し、と話をしていたかったが俺も自分がボスとしての立場である事はしっかりと理解している。俺はロマーリオに言われ、頷きながら言葉を返す。今度、また会う機会はあるだろう。なんだか、のする反応は今まで俺が見た女とは全然違い、とても新鮮な感じがする(ほとんど、パーティーとかにいるのは匂いのきつい香水を身にまとった女ばかりだからな)ツナが弟分というなら、コイツは妹分になるのか、なんて考えていた。
「悪いな」
「あ、いえ気にしないでください!!」
気にしないでくれとは言われたものの、さすがに「それにしてもリボーンが言うからどんな奴かと思えば普通なんだな」って言ったのはに悪い気がしてケーキを買ってお土産として渡した。その時のの顔はものすごく笑顔で、きっとケーキが好きなんだろう。そんな事を考えながら、車に乗り込めばロマーリオが話しかけてきた
「ボス、会ってみてあの子はどうでした?」
「あぁ、面白い奴だったよ。あいつは、」
そこで言葉がとまる。その先は実際にと会ってみないと分からない事だ。だから、俺はそれ以上言わずにただ「お前も直接会ってみれば分かる」と言った。あいつの普通じゃないってことは(こんな言い方なんだかに悪いがな!)直接会ってみないと分からない。リボーンがあんな言い方したことが今、分かった。今度、会いに行く時はケーキでも持っていってやることにしよう。ツナのファミリーはどんどん良いやつが集まっている。リボーンの人選はやっぱり間違いなしってことか。
直接会えば分かる。
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(2007・12・01)
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