休日の日にテニス部のマネージャーの休みになることは本当に珍しく、この至福のときを邪魔をされないよう今日は回りに気をつけて過ごそうと思っていた。けれど、今日の朝の占いはなんと10位。今日は外にはでないと心に誓った私は(引きこもり宣言!)買い物を吾郎に頼もうと思っていたのに今日は1日部活で、まったくもって私は運が本当にないらしい。
しかし買い物に行かないわけにもいかない為、現在進行形でスーパーに向ってたりする。周りをキョロキョロしながら見知った顔が現れないことを祈りつつ歩いている私は、少し挙動不審だと思うけれどそんなことには構っていられない。ここ最近、私に休息と言って良いものはほとんどなく私は疲れていて、今日の休みは私にとっては何よりにもかえがたい
神様、お願いだから今日はゆっくりと休ませて下さい。もしも休ませてくれたなら、神様の存在を信じますから!!と必死にこんな時だけ神に祈りながら歩いた。休日のスーパーは人が多く、この中に知っている人がいたらと思うと恐ろしくなった私は、頭を下げて怯えるようにスーパーにはいっていった。
「柿ピー、今日の晩御飯はカレーが良いれす!!」
「えぇ、めんどい・・・」
「千種そんなことは言わず今日は犬が言うようにカレーにしましょう」
「骸様がそうおっしゃるなら」
聞いたことのある名前に頭を上げればそこには千種くんがいた。早速知り合いにあったわけだけれど、千種君なら問題ナッシングである。これがもしも、獄寺だったり山本だったり、しまいには雲雀さんだったら・・・・って、雲雀さんはこんな所でありえないか(スーパーに雲雀さんがいるなんてとてもじゃないけど考えられない。むしろ考えたくもない)ここからは千種君の顔しか見えないが他にも2人ほどいて、友達らしき人といるらしい。あぁ、以前公園で行っていた人たちだろうかと、思う。
「(えっと、今日って日曜日だったよね・・・・?)」
3人とも黒曜中の制服を着ていて部活の帰りか何かなんだろうか。しかし、千種君は今までメールをした限りそんな活力溢れるキャラではなかったし、部活をしているようには思えなかったのだけど。まぁ、千種くんが部活をしているかしていないかなんて私には関係ないので別にどうでも良いのだけど、と思い私はその場を後にしようとした。
千種くんに声をかけようとも思ったが、友達といるのならこのまま見なかったフリにするべきだろうと思ったからだ。しかし、千種くんが私に気付いたらしく、こちらを見て少し驚いたよな顔になる。そんな千種君を見て、今まで背中を向けていた2人の少年が振り返る
「・・・・・」
振り向いた2人はこれまた美形な少年で、思わず私は固まってしまう。本能が逃げろって言っているのは私の勘違いじゃない。そういえば、たった今思い出したけれど千種君は同居している人が2人いて、その2人は変人だって言ってたような気がする。なんで気付かなかったんだろう、自分。道行く女性の視線がこの3人に集中していることに今気がついてしまった(もっと早く気付けよ、私の馬鹿!!)
「こ、こんにちは、千種君」
声が自然と震えてしまう。今すぐ走り出してしまいたい衝動をなんとか抑え平静をたもとうとするが、はっきり言って無理だ。
「千種の知り合いですか?」
思わず私の肩の力が抜ける。なぜなら私が考えていたよりもずっと丁寧な話し方でなおかつ普通の人のようだったから、千種くんが言っていたような変人にはとても見られないからだ。でもここで安心してはいけないのは今までの経験上たくさんある。鬼畜山本が良い例だ(・・・・人間が信じられないって少し泣きそうになる)
「俺は城島犬っていうんだびょん!!よろしく!!」
「僕は六道骸です」
髪の毛にヘアピンを付けた少年が人懐こそうな笑顔で挨拶をしてきた。びょんって何語だよって思ったけど、この少年の場合は特別で、少し可愛いと思ってしまったのは女の子なら普通の感覚だろう。それにしても六道骸なんて珍しい名前だなって思ったのもつかの間、2人が私の方を見てきた。この流れで行くと私にも自己紹介をしろっていうことなんでしょう。千種君も哀れんだ目で見てきているし(はっきり言って嫌過ぎるんだけど!!)しかし、このまま自己紹介をしないと嫌な人間になってしまう。私には常識はちゃんとあるのでここは、どんなに嫌でも自己紹介をしておこうと思う。
「です」
自分を良くがんばったなと褒めてあげたい。私が名前を言ったのに満足したのか、2人とも良い笑顔で私を見てくれた。その笑顔でまた何人かのお姉さま方がノック★アウトされて、私は心の中で自分にお経を唱えようかと真剣に迷った(お経、でよいのかな?)それにしても六道さんの眼は両方とも色違いで外国人の様に思える。とても綺麗な瞳だ。だけど、日本語もうまいしハーフなのかと私が考えていると六道さんが
「まさか千種にこんな可愛い知り合いがいるとは思っても見ませんでしたよ」
この瞬間、私の体中に鳥肌がたった。私のこと可愛いとか言っちゃうなんて眼が相当悪いんだと思う。もしくは、そうとうお世辞がうまいか。まぁ、どちらであっても私には関係ないんだけど。しかし、千種君が言っていたような変人に見えない気がする。確かに城嶋くんのテンションは千種君にとったらかなりうざいと感じそうですが、これといって2人とも変なところは
「クフフ・・・・」
ごめん、千種君。やっぱ変でした。こんな笑い方をする人、私は今まで見たことない。いや、この場合聞いたことありませんかな?そんなのどうでも良いけど、この人やっぱり変人なのかもしれない。
それに六道さんはよくよく見れば、なんとも面白い髪型をしている。彼に似合いすぎて今まで気付かなかったけれど、この髪型は独特すぎるだろう(千種君には夜にでもメールをして謝ろう)私は今すぐこの場を逃げ出すことにさせて頂くことにする。だって、休みの日のスーパーはいつも以上に人が多くて、ちろんその中には若い女性が含まれていて、怖いほど見られている。いや、正しく言えばにらまれている。
「わ、私買い物があるんで、じゃ!!」
自分で言うのもアレだがこのときの私は多分よい笑顔で3人に別れを告げた。(少々顔は引きつったけども)走り去る私の後ろからは
「じゃ〜れ〜、ー!!」
「(も う 名 前 呼 び か よ ! !)」
「今度お茶でもしましょうね」
「(全力でお断りさせていただきます。)」
流石に声には出せなかったので心の中で言った。たぶんだけど、千種くんが私を哀れんだ眼で見ていたと思う。それに、すれ違うお姉さま方にはすごい目つきでにらまれてしまった。もしかしたら当分このスーパーには来れないかもしれない。あぁ、このスーパーは一番近くて良いスーパーだったのに。と、誰にも悟られないように、嘆いた。
私はあの後、恐いお姉さま方の視線に耐えながら急いでスーパーでの買い物をすませて外に出た。時刻はまだ午後をすぎたばかりぐらいで、日差しは意外と強くてそこの喫茶店で休憩でもして帰ろうと思ってい私の足は喫茶店の方へと向おうとしていた。
しかし、肩を急に叩かれた。肩が思わず跳ねて、驚いて肩の方を見れば、見る限り男の手が私の肩に置かれている。この瞬間、すごく嫌な予感が当たった気がしたのと、肩を叩いた張本人が声をかけたのはほぼ同時だった
「よっ、じゃん!!お前こんな所で何してんだ?」
「や、山本・・・・」
振り返れば、そこにはいつものように爽やかな笑顔で立っていた山本がいた。部活の帰りなのか、制服に身を包んでいて、その肩にはスポーツバックをかけている。
「今からツナん家に行こうと思ってんだけど、も行かねぇか?」
「悪いけど家に帰る途中だから」
「まぁまぁ、もう買い物は済んだんだろ?」
山本は私の答えを無視して、腕を掴むと私を引っぱって歩き出していた(お い お い 、 私 の 意 見 は 無 視 で す か ?)休日で込み合う人ごみの中、私は山本に半ば拉致のような形で再び綺麗なお姉さん方に睨まれながらツナの家へと向った。私に抵抗する力なんて残っていなかった。
「へぇ、山本って野球部なんだ」
「あぁ」
ツナの家へと向う途中思っていたよりも山本と会話がはずんだことに驚いた。思えば山本と2人きりで何かを話すと言うのは、初めてのことかもしれない。それに、今まではただの鬼畜野郎と思っていたのだけれど、本当はただの天然なのではないかという答えにいきついた。だって、先日の事に関しても「マフィアごっこも楽しいしな!!」の一言で済んでしまうなんて、心が空よりも広いのか、それともあれを本当に遊びだと信じている証拠だろう。
「(山本、早く事実を知ってください)」
なんだかんだ言って、山本は悪い奴ではないみたいで良かった。(ごめんよ、今まで爽やかな顔して実は鬼畜だなんて思ってて)まぁでも、天然すぎるのも大変だ、周りが。しかし、周りが大変だと言っても、大変なのはツナ一人だけだと思う。だって、あの中でまともなのはツナしかいない。
「ツナん家に着いたぜ」
山本の声に、私はハッと足をとめて、家のほうを向く。一見、普通の一戸建ての家に見えないことはないか、なぜかツナの家からは騒音(と言う名の、叫び声)やらが聞こえてきて、私は帰りたくてたまらなくなった(どうして、私はここにきてしまったんだろう)もう後悔しても、遅いかもしれないが、後悔せずにはいられない。
やっぱり家でひきこもって良かったとまで今は思っている。今日ぐらい晩御飯を出前にしたってバチは当たらなかったと思うのに・・・!!しかし、山本はそんな私にお構いなしに気付いた時は既にインターホンを押していて、中から人が走ってくる音が聞こえてきた。
「あ、山本!!って何でがいるの?!」
「途中で会ったから一緒に来たんだぜ」
「(あれは一緒に来たと言えないと思うんですけど。無理やり連れてきたの間違いでしょ、山本くん?)」
心の中で、山本に話しかけるも山本は気付かずにニコニコと私の隣で微笑んでいる(この笑顔がにくい・・・!!)ツナは、山本の隣にいる、本来ならいるはずのない私にとても驚いた様子だった。だけど、
私の渋い顔にツナも何かさっしたのか、ツナの顔は苦笑じみた顔になり私の方を見てきた。少しだけ、その顔に私はツナにまで同情されてしまったと悲しくなった。
「とりあえず上がって?」
言われた通りにツナの家にお邪魔し、階段を上っていく私。(ツナのお母さんはすごく可愛かった!!やっばいよ、あの可愛さは!!)階段を上れば、ある一つの部屋からものすごくいろんな声が聞こえてくる。私の予想ではツナ、の部屋だと思う。そして、この中に私の知らない美形が1人でもいたら帰ろう。私は覚悟を決めてドアを開ける
「うわ・・・・」
「テメー喧嘩売ってんのか?」
私の声からは思わず、声が出た。その声に眉をひそめる獄寺。だけどドアを開けて、ただ獄寺がいるだけならまだしもダイナマイトの整備しちゃってたら誰だってこんな声をだすこと間違いないだろう。それにそもそもここってツナの家じゃないわけ?人の家で何勝手に、ダイナマイトの整備しちゃってんだよ(どれだけ図々しいんだ!)
よし、私は何も見ていないことにしようと思い、「私は何も見ていない、私は何も見ていない」そう自分に言い聞かせながら、ツナの部屋を見渡す。私の目には獄寺の他に、リボーンとなんだか小さい子が2人の姿が飛び込んできた。
「ツナって兄弟いたの?」
「いや、あれは何というか居候かな?」
「(疑 問 系 か よ)」
疑問系のところがいささか気になったが、どうやら兄弟でないらしい。確かにツナとは全然似ていないから兄弟とは思っても見なかったけど(一人はあきらかに、言語が違う)まぁ、ここは美形がいないから気にしないでおこうと思う。
「あっちがイーピンで、あの泣いてるのがランボ」
言われた通りそちらの方に目をやると、イーピンと言われた子が丁寧におじぎまでして挨拶をしてくれた(こんなに小さい子なのに凄い!)聞こえてくる言葉は日本語ではなかったけれど、私は日本語しか話せないので自分の紹介は日本語でしようと思う。
「です。よろしくね」
イーピンちゃんに手を差し出せば笑顔で手を握り返してくれた。うん、とても可愛い。私は基本的に小さい子は嫌いじゃないと言うか、むしろ好きな方だと思う。リボーンだって初めて見たときは心の底から可愛いと思った。まぁ、それにあの時の私はリボーンがあんな奴だとは思わなかった。今じゃ、可愛いなんて思う前に、たかが赤ん坊に脅されてしまっている方がショックでたまらないよ。
赤ん坊にここまで頭があがらないのって全国捜しても、私とツナぐらいじゃないかな?(嬉しくないけどね・・・・!)
「ランボさんは泣いてないもんね!!」
急にイーピンちゃんじゃないほうの子が獄寺に向って叫んだ。だけど、叫んだ言葉とは裏腹にその子の目には一杯の涙が今にも溢れそうになっていた。いや、既に泣いてんじゃん。なんて私が言う暇もなくボンッ!!と言う大きい音と共に部屋の中を煙が包みこんだ。あまりの煙たさに少しむせて何が起こったのかと思うと、先ほどまでランボくんがいたところには美形な人が立っていた。
私は咄嗟にドアノブを手にかけ部屋から逃げ出そうとしたけれど、ドアの前には山本が立っていてそれも叶わなかった。その山本の顔がすごく笑顔で、まるで私が出られないようにドアの前に立ち塞がっているかのように見え、わざとドアの前に立っているんじゃないかと私に思わせた。
「これはこれはさんじゃないですか。お久しぶりです」
戸惑う私を無視するように目の前に突然現れた美形は私に微笑みかける。けれど、私にはこれがどこのどいつなのかは分からない。え、何ストーカー?なんて、一瞬そんな事が頭をよぎったがそんな事があるはずはない。だって、こんな美形さんが私みたいなのをストーカーするわけがない。
とりあえず無視するわけにも行かないけれど私どうしたらよいのだろうかと頭を抱える。しかし何も出来ない私は部屋の所有者であるツナなら何か知っているだろうと思ってツナの方を見た。ツナは私の視線に気がついたのか、重い口を開いて言う。
「えっと、ランボなんだ」
私はツナの言葉に首をかしげる。先ほどまでここにいたはずの、紹介されたランボくんは小さい子供だったしこれがランボくんな訳がない。確かにランボくんはどこかに消えてしまったけれど、私だってこれが冗談だってことくらい分かる。(子供が急に大人になれるわけがない)もしかして私をおちょくって楽しんでいるのだろうかと、ツナの方に視線をやる。
「(ツナって、案外酷いやつなの・・・?)」
「本当ですよ、さん。俺は十年後のランボです」
美形さんまでそんな真顔で言うなんて、と言い返そうとしたらまたもや大きい音と白い煙がツナの部屋をつつみこんだ。白い煙が晴れて、目の前に現れたのは数分前までここにいたはずの、泣いているランボくんがいた。次は美形な人が消え、ランボくんが現れた。私はその光景を見ると、先ほどのツナと美形さんの言葉を思い出した。
「・・・・(現実見るのがつらくなってくるのはなぜだろう)」
もしかして本当にこのランボくんとさっきの美形さんは同一人物だったりするんだろうか。いや、しかし現実でそんなことがあるわけがない。だけど、今私がいるのは数日前までは嘘だと信じていたマフィアの世界で。少しだけ、認めざるを得ないとまで思いだしていた。
そして、そんな固まる私をよそにいつの間にか山本とツナは机の周りに座っていて、もちろん獄寺は初めから座っていたんだけど、その姿はこの状態に慣れきっているようだった。(なんで、こんな事になってるのにそんなに落ち着いてられるの・・・?)
「説明するからも座って・・・・」
少しだけ疲れた様子に見えるツナに言われた通り座る。ランボくんとイーピンちゃんは部屋から出て行っていて、この部屋にはツナと山本と獄寺とリボーンだけとなっていた。その後、ツナがいろいろ話し出して、十年バズーカーのことを教えてもらったりした(10年バズーカってすげぇ!)そして、その話から感じたのは私が思っていた以上にツナは大変な思いをしているらしいと言う事だった。で、やっぱり山本はその話を聞いても遊びだと思ってらしい。
ツナの家を出るときには、辺りはもう日が落ちかけていてせっかくの休日が終わりかけていることを告げていた。それでもこんな休日も良いかもしれないと思った私がいることに気付いて、少し切なくなった。あぁ、もしかしたら自分もだんだんとこのメンバーに馴染んできているのかもしれない(認めたくない事実だ)
こんな休日の過ごし方!
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(2007・05・05)
加筆修正
(2007・10・21)
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