昨日、黒曜センターをあとにした後はディーノさんとリボーンが家まで送ってくれた。途中、ロマーリオさんを呼び出したほうが良いんじゃないかと何回も思ったけど、さすがにロマーリオさんだって休みたいときもあるだろうと思い、呼び出すのは我慢した(でも、ね、途中本気でロマーリオさんを呼んだほうが良いんじゃないかって本気で思ったよ!)(それを考えるとロマーリオさんって、偉大だよね……)
きっとディーノさんがここまで生きてこれたのは、ロマーリオさんがいてくれたおかげに違いない。ディーノさんはもっと、ロマーリオさんに感謝するべきだと思う。


だけど、家についてからの方がもっと大変だった。何を勘違いしたのか吾郎は私が彼氏を連れてきた、なんて騒ぎ出して、ディーノさんには敵意むき出しだし。あの時ばかりは本気で吾郎を殴り飛ばしたいと思った。












まさかディーノさんを見た第一声がはまだ嫁にはやりません!」って・・・・・・・私、まだ中学生なんだけど。まだお付き合いは認めませんのほうが、何倍もましだったよ。












まぁ、そんな関係じゃないって分かったら、いつの間にかディーノさんにもかなり友好的な反応を示していたから良かったんだけど。本当、我が兄なが、単純にもほどがあると思う。と言うか、まず、私とディーノさんがどうやったら付き合っていると言う答えが出るのかが知りたい。どう考えても、年齢差があるし、それ以前の問題にディーノさんはそこらへんにいる人よりも何倍もかっこいい。そんな人と私が付き合っているわけがないのに。








吾郎は一体どんな脳のつくりをしているんだろう。多分、私の理解できないような脳のつくりをしていることは間違いないと思う。













「(それにリボーンともいつの間にか仲良くなったみたいだし、)」












お見舞いとして買ってきたケーキを手に、病院の廊下を歩きながら私はため息をついた。リボーンと吾郎の組み合わせ、と言うのが実に厄介な組み合わせのような気がしてならない。単品でいるだけでも、こちらには迷惑極まりないのに、セットになったらもっとこちらは迷惑を被るに決まっている(これ以上仲良くならないように、ちゃんと気をつけとかないとな……!)(ツナにも迷惑かけてしまうのはちょっと、気兼ねするんだよね)


そしてリボーンは、吾郎には私の怪我は車とぶつかったが説明してくれた。だけど、もう少し良い言い訳はなかった少し安易すぎると思う。いや、その言い訳ですぐに納得してしまった私の兄にも問題はあると思うんだけど。















お目当ての病室の目の前まで来た私はコンコンと数回ノックをする。中から聞こえてくる元気の良い「はい?」と言うツナの声に、私はほっと息を吐いた。ドアをあければ、3人の姿が目に入る。その様子は、まだ包帯を巻いたりして痛々しいけれど、元気がないことはないらしい。三人の声はまるで怪我なんてしてないかのように、明るい。







!来てくれたんだ!」


「おー、じゃねぇか。わざわざ見舞いに来てくれたんだな!」


「この馬鹿女テメー何しに来やが
「はい、これ。お見舞いのケーキね」









「(獄寺くんを無視したー!!)」










いつものように獄寺を無視しながら、私は病室にあった皿とフォークを取り出して、三人にケーキを手渡していく(あんな事を言ってきた獄寺にちゃんと私は本当に偉いと思う)またもや獄寺が何か文句を言っていたけど、獄寺の傷は深い。まだ元気そうだとは言っても、安静にしておくのが一番であることには変わりがないから、私はその文句に言い返すことはしなかった。自分の成長に、拍手をおくりたくなったのが正直な気持ちだ(私は獄寺と違って大人なんだよ!)









改めて見る三人の痛々しい姿。でも、本当に三人が元気でよかった。これなら、私が思っていたよりも早くいつもの日常が返ってくるだろう……いや、いつもの日常とはまた違う日常、か。もう、あの三人はいないのだから。私の日常は変わってしまったのだから。


そんな日常が、今までの日常と同じはずがない。全然、違うものだ。








「……









ツナに名前を呼ばれ、私はツナの方を見た。フォークを置き、こちらを見てくるツナの顔は真剣で、他の二人も声をだすのをやめて、同じように私の方を見てきていた「何、ツナ?」急に変わった雰囲気に私は僅かに戸惑いながら声にする。一体、どうしたんだろう、なんて考えなくてもツナが何を言いたいのか分かった。


きっと、骸さんたちのことを聞きたいんだと思う。だってツナ達にとっては敵であるはずの骸さん達と私は知り合いだった。私はツナの目の前で骸さんの名を呼んだ。だから、ツナ達が気づかないわけがなかったんだ。私が骸さんのことを知っていた、と。













私は、ツナに骸さん達のことを聞かれてちゃんと話すことができるんだろうか。いや、ちゃんと話す、前に私はなんて話したらよいんだろう。もう、友達とも、仲間とも、骸さん達には思ってはもらえないのに。自分だけ、骸さん達と友達だと思っているなんてただの馬鹿だ。それに、そんなの骸さん達にも迷惑だ。ツナが、ゆっくりと笑った。













が、話したくなかったら何も言わなくて良いから、さ。だけど、いつか話して欲しいな」













戸惑いがちに言われた、その言葉に私はホッと息をはいた。私と骸さんが知り合いだと分かってもツナ達は私に変わらない態度で接してくれる。それがとても嬉しかった。もしかしたら、この居場所も無くしてしまうんじゃないかと少なからず思っていたのは確かで、そのツナの一言が私の心を軽くしてくれた。私は、「うん」とかえしていた。




今は私に骸さん達のことを話す勇気はない。あの骸さん達の過ごした日々が思い出となってしまうのがつらい。だけど、いつか、いつか絶対に話すから。そのときは聞いて欲しい。きっと、ツナ達なら、そんなこと言わなくても真剣に私の話を聞いてくれるとは思うけど。









「ありが、とう」


「はは、俺達友達だろ?」


「ったく、お前がそんなんだとこっちの調子もでねぇんだよ」


「まぁまぁ、獄寺くん」









俺達、みんなが心配だったんだ、と言われ私はツナ達の顔が見れなくて下を向いた。私は何もできなかったのに。止めたいと思っていたのに、止めれなかったのに。なのに、ツナ達は私を責めることもせずに、逆に慰めてくれる。良い友達をもった、とあらためて感じた。
私は、もうこの三人を、こんな目にはあわせたくないと思う。もうこんな傷だらけの姿には。だって、私のことをこんなにも心配してくれているんだ。大切、だと思う感情は当たり前の感情に決まっている。










誰かを守りたいと思うならなら、お前は強くなるしかねぇ










リボーンから言われた一言を思いだす。私がこの三人を守りたいと思うなら強くならなければならないんだ。それが、どんなに難しいことだとしても。でも、私はリボーンの言うとおり強くならなければ自分の進むべき道には進めない……だけど、リボーンの特訓は嫌なんだよなぁ。リボーンは手加減とか知らないし、本当ツナみたいに死ぬ気にならないと、リボーンの特訓じゃ、本気で死ぬか生きるかの狭間を進まなくてはいけない(私、そんな道は進みたくないんだけど、な!)












顔をあげて、三人を見る。私は、守りたいものを守ってみせるよ。それを言葉にするにはまだ、私は弱すぎるからこれは自分の心の中だけで閉じ込めておく。でも、いつか聞いて欲しい。その時にはきっと私はツナや獄寺や山本を守れるくらい強くなっていると思うから。







「……よし、じゃあ、そろそろ雲雀さんの病室にでも行ってくるかな」



えぇぇ、。ヒバリさんの病室にも行くのー?!


「はは、ヒバリの奴も喜ぶだろ!」


「あー、いや、山本。それは絶対にないと思うよ」


「絶対にねぇに決まってんだろ……、死ぬなよ」







やっぱり、雲雀さんの病室に行くのはやめようかな、と獄寺の心配そうな顔を見て思った(獄寺が心配することなんて珍しすぎるしね!)それに雲雀さんのことだし弱ってるところなんて見られたくないと思うし……でも、やっぱり心配なのは心配で。雲雀さんの姿を確かめたいと言う気持ちが私の中にはある。






「死なない程度に頑張って、来る。いや、だけど、やめておこうかな。本当、殴られたらやだなー。」



「頑張れ、







苦笑いしながらのツナの一言を聞いて私はゆっくりとツナ達の病室をあとにした。雲雀さんの病室へと向かう、とは言っても雲雀さんの病室はすぐそこ。とりあえず、病室を出るときにツナが哀れみの目で見てきたことは一生忘れないと思う。だけど、さすがに雲雀さんでもあれだけ重症だったんだ。さすがに、咬み殺されることは・・・・・・・と考えてやめた。あの人はどんなに重症でも骸さんを一回は倒したんだ。私なんか、すぐに咬み殺せるに決まっている(雲雀さんがトンファー取り出した瞬間に逃げよう。絶対に!










優しい友達









 




(2008・04・06)