ツナの家で空になったコップを見つめながら何故自分が夏休みの最終日と言う大切な時にこうして、ツナの部屋で獄寺の小言をBGMにしながら私は宿題の山に囲まれていなければならないんだろうかと言う事を考えていた。先に言っておくけど、この宿題の山と言うのは私の宿題ではない。ツナと山本の宿題だ。そもそも宿題と言うのは最終日まで残しておくものじゃないだろうに、と夏休みが始まってすぐに宿題を終わらせておいた私は思う(それも最終日まで残しておくなんて、な)



いや、まぁ、ツナはリボーンの特訓につき合わされてたんだろうし、山本は山本で部活があったからしょうがないと思うところはあるんだけど、でも、さすがに最終日まで、それもこんなに宿題を溜め込んでおくのはあり得ないんじゃないだろうか。どれだけ最終日まで宿題が残っていると言っても少しくらい済ませておくものだと、思う。






「・・・・・で、私は結局なんでここに呼ばれたの?」



「ツナ達にわかんねぇところが教えて貰おうと思ってな」



「ごめんね、



「ハハッ、悪ぃな!」








・・・・・・・とりあえず、山本は全然悪いって思ってないな。だけどそんな爽やかな笑顔で言われたら、うん、まぁ、その、何も言い返す気にならないし、ツナにそんな風に謝られたらさらに何も言えなくなるし、結局私は言い返すことはできないんだよな、と思っていれば獄寺が「10代目には俺が教えてさしあげますよ!」とツナに満面の笑みを浮かべて言う。その言葉にツナは「えっ」と明らかに、嫌なんだけど、それ、みたいな表情をうかべた。

だけど、それに気付くわけもなく未だ満面の笑みを浮かべる自称、右腕獄寺隼人。早く主人の気持ちの察しられるようになれると良いんだけどね。まぁ、自称右腕から脱する時がくるのはいつになることだろうか・・・・・って、一生来ないかもしれない。その、あれだ、頑張れ、ツナ!








ツナや山本がわかんないところがある度に私の名前を呼ぶ。その名前を呼ばれるのに、悪い気が起きない自分に少し自分って単純だなーと思いながら私はツナと山本の宿題を終わらせるという仕事にかなりの貢献をしめした(獄寺ははっきり言って役に立たなかった)(あいつ、頭良いくせに、人に教えるの全然駄目なんだよね・・・・・・・!)再びツナのお母さんがいれてくれたオレンジジュースを飲みながら私はホッとツナと山本の宿題が終わったことに方をなでおろした。なんで私が人の宿題の心配をしないといけないんだろう、ね!








「やっぱりって頭良いのな!」



「いやいや、普通だから。普通」



「何言ってんだよ野球馬鹿。はただの馬鹿だろ」






「よーし、獄寺。ちょっと表にでようか」







「ちょっ、獄寺くん!に謝って!」








私が言えばツナが焦ったかのように獄寺に言う。獄寺はその言葉に素直に従い、私に小さい声で謝ってきた(本当、ツナって凄い!)あまりに嫌々そうに謝るものだから、いささかまだ気は治まらないけど、これ以上ツナを困らせるのも私の良心が痛むのでここは、獄寺を許してやることにする。それに、ほら、私って獄寺よりも大人だからね!子供な獄寺に言い返したりしないんだよ!なんて下らないことを考えていれば、山本がニカッと笑いながら「さすが氷帝生だよな。あそこ頭良くて有名だし!」と言った。その言葉にツナと獄寺は少しだけ驚いているように見えた。








「えぇぇ、ってそんな凄い学校に行ってたのー?!」



「いやいや、凄いってわけじゃないから。」



「だけどさ、が氷帝行ってなかったら、は俺達と一緒の学校だったんだよな!」







山本の言葉に、確かに、と思った。確かに私は生まれも育ちも並盛町だし、氷帝に行ってなかったら今頃大人しく並中生をやっていたことだろう・・・・・だけど、私、あんな風紀委員がいるような学校に通いたくない、な。それも雲雀さんがいるなんて私恐くて通えないよ、と思えば私がもし仮にも並中生をやっていたらきっと、雲雀さんにもツナ達にも関わりがない生活を送れていたたんじゃないかと思う




「それはないと思うぞ。お前が並中生でもファミリーにしてたと思うからな」ボソッと私の近くで言ったリボーンの言葉に、眉をひそめた。私、口にだしてないんだけど、今の言葉。読心術を使える赤ん坊に、私はこの世の末を見たような気がした。






また少しリボーンに対する恐怖心を募らせていれば、肩をぽんぽんと叩かれた。顔をそちらに向ければ山本が爽やかな笑顔をうかべて、「なぁ、ってなんで氷帝に行こうと思ったんだよ」と聞いてきた。そんなつまらない事を聞いてどうするつもりなんだろう、と思いつつ私は口を開いた。







「あー、その、うん、まぁ、色々あってさ」




「色々って何なんだよ」








色々って言ったら色々なんだよ!と獄寺に言い返そうと思い、やめた。どうせ言ったところで口げんかになることはもう目に見えて分かっている。それに、別に氷帝に行こうと思った理由なんて下らないもの。言っても言わないでも同じ事だろう(あぁ、だけどなんで氷帝に行ったのか言ったら呆れた顔で見られそうな気がひしひしと感じるんだよね・・・・・・!)好奇の目で見てくる、3人の目に耐えられなくなった私はハァと息をはいた。





こんなくだらないことに興味を示すなんて、この三人も十分に呆れる対象に値する。








「私さ、その兄がいるんだけど、」




「へぇ、そうだったんだ」




「その・・・・兄がさ、あの・・・・・変な兄でね」




「はは、変ってどんな所が変なんだよ」






「女装が、趣味なの」






私は言ったあとしまった、と思った。明らかに私がこの言葉を紡いだ瞬間に部屋の雰囲気がガラリと変わった。山本は「はは、凄いお兄さんだな!」と笑っていたけど、ツナは何とも驚いた顔をしていたし、獄寺はなんだか痛いものを見るような目で私を見てきたのだ(ご、獄寺のくせに・・・・・・!)しかし、言ってしまってはどうしようもないので、ここは気にしないでおくことにする。気になりだしたらとまらないし。何ともいえない雰囲気の部屋の中で私は続きの言葉を言った。











「それで吾郎って、兄の名前なんだけど、吾郎とは違う学校に行きたかったんだ。吾郎はこれまた違う私立の学校に行ってるんだけど、が並中なら俺も並中にしようかなって言われて・・・・・」








氷帝はなんだかいけすかないから行きたくないって吾郎が言ってたから氷帝に行く事にしたんだ、と言えばツナから「って、大変なんだね・・・・・」と遠い目をしながら言われた。同情されても今は嬉しくないよ、ツナ

「お前も結構苦労してるんだ、な」なんでこういう時に限って優しいお言葉を言ってくるんだよ獄寺。ちょっと良い奴だなって思うけど、あれだろ、あまりにも私が可哀想だからその言葉を私に言ったんだろ?

「それで氷帝なのか!」・・・・・山本にいたっては何も考えてなみたいだね。ま、うん、もう良いや。なんか、ツッコむ気力もないよ。









「だけど、が並中生だったらもっと面白そうだよな!」

「(一体、何が面白いんだよ、山本・・・・・・!)」







「俺はこんな奴と学校でも一緒なんて
「私だって嫌だから」









獄寺の言葉を遮るかのように、言えば獄寺は今にも掴みかかって来そうになってツナが一生懸命になだめていた(ツナ、またもやごめんね)だけど、私は悪いことを言った覚えは無いので謝らない。それに、私が言った言葉は獄寺が言おうとした言葉とどうせ同じなんだ。まったく、自分が言うのはかまわないのに、人に言われたら怒るなんて獄寺も随分我侭な人物だとつくづく思う。って言うか、私の周りには我侭な人多いんだよなー。もう、何これ、虐め、なのかな?



神様はもう少し私の苦労を分かってくれても良いんじゃないだろうか。周りの人の我侭に振り回される私の苦労を。そう考えると自分がとても可哀想になって頭を抱えた。









「そう言えば、この前、黒曜中の人と一緒にいなかった?」




「え?」




「あんまり見えなくて分かんなかったんだけど、が黒曜中の制服の人に何か話してる所が見えてさ」








もしかしたら、俺の身間違いかもしれないけど、とまるで私の気持ちを察してくれたのかツナが吾郎の話題から離れてくれた。ツナのあり難い心遣いに感謝しながら、私は考える。ツナが見たのはもしかしたら私じゃないかもしれないけど、でも黒曜中は悪くて有名で、名門と言われるお金持ち学校の氷帝生が(私は庶民だけどね)知り合いと言うのは、とても珍しい事だと思う。だから、きっと、ツナが見たのは間違いなく、とは言い切れないが多分、私なんだろう。私はツナの言葉に頷いた。








「多分、私と思うよ。その、黒曜中に知り合いがいるからさ」




「あ、そうなんだ」





「友達か?」








山本の言葉に私はふと考える。骸さんや千種くんや犬くんは私にとって何なんだろう、と。千種くんとは愚痴を言い合ったりする仲で、犬くんとはおしゃべりしあう仲で、骸さんは・・・・・まぁ、何ともいえない仲だけど、友達と言っても良いのだろうか。私は、友達と思っている、けど、あの3人にとって私は何なんだろう。友達なんて私が勝手に言って良いものなのか、と不安に思うことはあるけれど、山本の質問に私はゆっくりと「うん」と答えた。友達でも、友達じゃなくてもあの3人が私にとって大切な人たちに代わりは無いだろう。この目の前にいる3人と同じように。そして、他のたくさんの人のように。







夏休み、終わり!



(なんだか、いつもの夏休みと違って今年は短く感じたなー!)











 





(2008・02・21)