今日はツナの家へと遊びに行く日。いや、溜まりにたまった愚痴を言いに行く日と言った方が良いかもしれない。先日の風紀委員になってしまう事件からまだ立ち直れていない私には、もう癒し系のツナしかいないのだ(いやさ、千種くんでも良いんだけど、並盛の話だったらやっぱりツナでしょう!)だって、私が風紀委員なんてどんなに考えてもおかし過ぎる・・・・・! 電話で風紀委員になったとツナに伝えれば、ツナからは何も言葉は返ってこなかった。その後、数秒くらいしてから「えぇぇぇ!」という絶叫が電話の向こうから聞こえた。ちょっと、耳が痛かったけど、まぁ、そこは相手はツナだから怒鳴りつけたりはしなかったよ!
そして、今日こうしてツナに話を聞いて貰う約束をしてツナの家へと向っているわけ!
私はどこぞやの10代目馬鹿とは違うから、ちゃんとツナには今日家へと行くとは伝えている(獄寺はいきなり家に行くらしいよ!はは、どれだけツナが好きなんだよ!・・・・・・って、笑えないのはなんでかな!)しかしながら、今考えてもなんで自分が風紀委員になってしまったのか理由が分からない。いや、ただのパシリっていうのは分かってるんだけど、だけど、それでも他校の私なんかに頼まなくても並盛にパシリになりそうな人だなんて一杯居ると思うのに。それなのに、なんで私が。 はぁ、とため息をつけば、私はいつの間にかツナの家の前へとついていた。
呼び鈴を押せば、向こうから慌しい声。ツナ一人なら、こんな声しそうにないのになー。もしかして、奴ら来てるのかなー、と思えば一気に帰りたい気持ちで一杯になった。いや、でも獄寺とかいたら絶対話なんてまともに聞いて貰えないだろうし、山本なんて笑顔で私の話をスルーしそうだし、そ、そ、そんなのツナの家に来た意味がないじゃなか!そう思いつつ、お願いだからいないでくれよと願えば、玄関のドアを開けたのはツナ一人だった。
「あっ、。い、いらっしゃい!」
「(なんで、そこでどもるのー!?)う、うん。お邪魔します」
ツナがどもるなんて絶対、何か良くないことがある時に決まっていると思いつつ、玄関を見ればそこには明らかにお客様が来ているという雰囲気がプンプンしていた。女の子の靴が二足に、シューズが一足、そして革靴が一足(だけど、ツナの靴にしては大きいような、)確かツナのお父さんは今は、世界中を飛び回っているはず。なら、一体この靴は、
「・・・・・実は他にも人が来てるんだ」
「あぁ、そうなんだ」
「うん」
少しだけ覇気がないツナに、私の嫌な予感は更に募った。いや、だけどさ、女の子の靴ってところはちょっと期待してるんだ。私の中で、女の子ってだけでまともだ!って言う考えがあるから。そう思いながら、靴を脱いで玄関をあがる。 居間のほうへとツナに案内されれば、一人の見たことないおっさん(・・・・いや、ここはおじさんにしておこうかな。)が居間からでてきた。も、も、もしかしてツナのお父さん?!なんて思いつつ、見ていれば、どうやらツナの事を「ボンゴレ」と言っているから違うんだろう。そしてその言葉を聞いた瞬間に確信した。あぁ、マフィアの関係者かよ、と。
「おや、ボンゴレ、お客さんかーい?」
「シャマル・・・・そうだけど、って」
「うわー、これまた可愛い子ちゃんだねー!ねぇ、そこの君おじさんとお茶しなーい?」
可愛い子ちゃんという言葉に一気に寒気が襲う感覚がした。まず言いたい事は私が可愛いと見えたのなら、眼科に行くべきだ(私が可愛く見えるなんてよっぽど目が悪いに決まってるよー!)そして、驚いたのはそのおじさんは、私の方へと手をひろげて、やってきていること。うわわぁぁぁ、ちょっと、これってどういうことー?!あまりに咄嗟の事に、思わず右腕が動く。 その動作はほぼ自分への危険を察しての、無意識に近かった。つまり、私が言いたいのは悪意があったわけではないということ。
「ぎゃー!」
「ー?!」
「う゛っ?!・・・・・良いパンチ、だ」
「ドクターシャマルー?!」
思わず動いてしまった右腕は見事に目の前にせまっていたおじさんの顔にクリーンヒットしてしまった。いや、だからさ、悪気はないんだよ!それに、いきなり抱きついてこようとするおじさんも悪いに決まってるじゃないかと思いつつ、私は倒れたおじさんの方を見る。ツナが青い顔をしているところを見ると、やっぱりまずいことをしてしまったんだろうか(そりゃ、いきなり殴るなんて人として最低だよね・・・・・!)さすがに私はやばいなぁと思いつついきなり居間の方から「極限だ!」と言う声が聞こえた。あれ、これってこの前、並中で聞いた事があるような気がするんだけど。
「(いやいや、そんな、まさかツナの知り合いにこれ以上変な人なんていないでしょ)」
そう思いながら、居間のほうを伺えば、見た事がない少年がでてきた。そして、私を見ての第一声が「素晴らしいパンチだったぞ!」の一言。いやぁ、それほどでも・・・・・・って、何照れてるんだ、私は!良いパンチだなんて褒められても嬉しくないから!そう思いながら怪訝そうにその少年を見ていれば、少年は私の方に近寄ってきて、ほぼ叫んだといって言いくらいの声の大きさで言葉を発した。
「我が、並盛中のボクシング部に入れ!」
「・・・・・・・・・・は?」
「貴様のパンチは女にしておくのはもったいないぐらい、良いパンチだったぞ。そのパンチ力を、我がボクシング部で生かすべきだ!」
「いやいや、お断りします」
「別に遠慮なんていらないぞ!我がボクシング部は「いや、遠慮なんてまったくしてませんから。話を聞きましょうよ。ね?」」
いきなりボクシング部に入れなんて、どういう思考力をしているんだろうか、この少年は。さりげなく、ツナの方に視線をうつせば、なんとも言えない表情をしていた。あー、うん、ごめん、こうなる事をちょっと予測してましたって顔されてるんだけど、どういうことかな?(そんな予測できてたのに、ツナは何も言ってくれなかったんだね・・・・!)いまだ、目の前のボクシングの良いところばっかり話している少年に、私はどうしようもなく困ってしまった。 それに、私が殴ってしまったおじさんもまだ起き上がる様子はみられない。最悪だ!なんで今日ツナの家に来てしまったんだ!と後悔していれば、居間のほうから可愛らしい女の子が二人歩いてきたのが見えた。あまりの可愛さに一瞬だけ、目を奪われたような気分だった。しかし、断じて私はそんな趣味が無いということは先に言っておく。本当に可愛かったからそう思っただけのことだよ!
「もう、お兄ちゃんったら!その子、困ってるでしょ!」
「きょ、京子。しかし、コイツのパンチは我が「お兄ちゃん!」」
「しかし、本当にデンジャラスなパンチでしたね!すごかったですー!」
お兄ちゃんと言われた少年が可愛い女の子に言われて一気に静かになる。まるで闘犬から、チワワになったような感じだ(ちょっと、この例えはなしだったかなー!)そして、可愛い女の子が二人私の目の前へと並ぶ。さりげなく、ツナの口から「京子ちゃん、ハル・・・」という名前らしきものが聞こえた。 きっと、この人の話を聞かない少年の妹が京子ちゃんって言う子で、もう片方の子がハルちゃんかなーなんて思いつつ、見ていれば、「私、笹川京子って言うの!お兄ちゃんがごめんね?」と言われた。
非常に愛らしいものを感じる、そんな自分に少し涙がでそうになった。最近癒しと言うものが足りないから。並盛で最強と噂される委員長様から、風紀委員に任命されたり、リボーンの特訓と言う名の虐めでボロボロになったり、とても癒しと思えるものとの接触が少なかったように感じるんだよね・・・・・!(なんだか、自分の人生が可哀想すぎて本気で泣きたくなってきたよ)
「私、三浦ハルと言います!ツナさん、この方が先ほどツナさんが言われてたちゃんですね!」
「あ、うん(ツナ、一体何を言ったんだー?!)」
「(いやいや、変なことは言ってないから!ただ今日は、が来るって言っただけだって)」
小さい声でさりげなく、アイコンタクトで会話をする私とツナ。苦労人同士、こんな技が使えないと、獄寺とかが居る時に会話するのに困るからね。なんて、今はそんなこと関係ないんだよ!とりあえず、私も紹介しなければと思い「えっと、です。よ、よ、よろしく?」と言えば二人の女の子はそりゃ可愛い笑顔をうかべて「よろしく!」と言ってくれた。ツナ、こんな可愛い女の子と何処で知り合いになったんだよ。ツナにもまともな知り合いがいて良かった、とホッと息を吐いた。
「なぁ、ボクシング部には「はいりませんから」」
その後は、すっかりツナに風紀委員になった愚痴を言うのも忘れて久々に女の子との会話を楽しんだ。これ、私が求めてたのはこの癒しだよ!と思いながらハルちゃんや京子ちゃんと話をした。そして、笹川さんは一つ上の並中のボクシング部の主将らしい。だからって、他校のそれも初めてあった女にボクシング部に入れなんて言わないでくださいよ・・・・・!と思ったのは言うまでもない。 それに、帰るが帰るまで、私をボクシング部に誘っていた。いや、だから、入らないって言ってるのに、と思いながら隣で必死にとめようとしている京子ちゃんに涙がでそうになった。こんなお兄ちゃんをもって大変なんだろうと、素直に感じ、そして、だけど自分に兄よりは何倍もマシだなと思った(私も、まともなお兄さんが欲しかったな・・・・)
3人が帰ったあとは、いまだ目の覚めないおじさん、いや、シャマルさんが倒れている横で、私はツナと向き合う形で話をしていた。そして、その倒れているシャマルさんがどれだけ凄い人なのかも聞いた。 こんな人が凄い殺し屋だなんて、まさか信じられるわけもないのだけど、リボーンも言うのだからきっと嘘じゃない。マフィアの事に関しては、ツナが言うよりもリボーンに言われた方が説得力がある。だって、赤ん坊が立って話したりする時点で何言われても、可笑しいものには感じられるわけがないんだよ!
「・・・・・ツナ、私も大変だけどさ、ツナも大変だよね」
「あはは、だけど、のほうが大変っぽいよ。だって、ヒバリさんが、まさかを風紀委員にするなんてまったく思ってなかったし、」
「だよねー」
「10代目ー、遊びに来ましたー!」
「ははっ、俺も遊びに来たぜー」
ピンポーンと鳴った瞬間にはもうこの2人の会話は玄関から聞こえてきていた。お前らに常識はないのか、常識は(勝手に人様のドアを開けるな)とも、思ったりしたけど、ここは気にしないで置こう。それよりも、私はツナとの癒しな時間を邪魔された方が、獄寺や山本に常識がなかった以上にショックだったから。とりあえず、今日であった人たちは私にとって、良い出会いになると良いな・・・・・・(雲雀さんとの出会いは最悪だったよ)
「ゲッ、なんでお前がここにいるんだよ!」
「じゃねぇか。ほら、おみやげ寿司持ってきたんだ。お前も食うだろ?」
「おぉ、山本ありがとー!」
「って、俺を無視するな!」
「まぁまぁ、獄寺くん(わざと無視してるんだろうな・・・・・・・)」
いや、だって、いきなり何でお前がここにいるんだよ、と嫌な顔で言われたら誰だって無視したくなるに決まっている。むしろ、私の方が聞きたいさ。じゃあ、お前はなんでここに来たんだよ!と。それに、私は獄寺にそんな事を言われたより、山本の寿司持ってきたんだ、と言う言葉の方が魅力的だったんだよ。だって、お寿司だよ、お寿司?これはもう、獄寺にかまってる暇はないと思うに決まってる。ツナ、ごめんね。獄寺を無視したのはわざとだから・・・・!(きっと、ツナにはバレてると思うんだけどね!)
THE★愚痴大会、閉幕!
← →
(2008・01・03)
|