パイナップル味のアイスを求めに右の道へと進んだ私はすぐにお目当てのコンビニへとついた。大晦日のせいなのかいつもはたむろっている不良も、コンビニの目の前には一人もいない。
もしかしたら、これも風紀委員が見回ってくれているおかげなのかもしれない。

並盛の不良が著しく減少傾向にあるのも絶対風紀委員の影響だろう。
いや、不良自体は減少はしていない……何だかんだ言いつつ風紀委員も不良であることは変わりはないし、リーゼントではない不良の数は確実に減少しているとは思うが。


コンビニの中へと足をふみいれ、一目散にアイスコーナーへと行く。店内はそれなりに人がいるもののそんなにたくさんの人がいるというわけではない。バイトの店員は暇そうにしているし、店内にいる客も数人が立ち読みをしているわけだ……こんな暇でピンク系の本を立ち読みに来ているのもどうかと思うのだが、まぁ時間の使い方は人それぞれなのであえてなにもつっこまないで置く。


(さて、アイスアイス)


お目当てのアイスを目の前に少しテンションがあがる。パイナップル味のアイスはもちろん各種様々なアイスが取り揃えられているこのコンビには私の中で結構な順位に値する。
しかし、肉まんの種類が少ないのが唯一の難点ではあるが。

さすがに自分だけのアイスを買って帰るのも心苦しいので吾郎のアイスも含めて数個アイスをかごへといれた。一つ高級アイスもかごにいれ、レジへと行く。レジに並んでいる人はおらず、すぐに会計をすませると再び寒空の下、外へとでた。

吐く息は白く私はコートに首をうめながら歩き出す。買ったアイスがとけないうちにさっさと帰らないと思うのだが、この寒さじゃそう簡単にとけることはないだろう。
寒い日は空が綺麗だ、という言葉を誰に聞いたのかは忘れてしまったけれど見上げた夜空は雲ひとつなく、澄み切った空気のおかげが、星が良く見えた。中学生が習う星の名前なんてたかがしれているか、なんとなくならどれがどの星かは分かる。



綺麗だなぁ



純粋に心の底からそう感じることができた。けれど、ずっとこうやってぼおっと見ていたら早く帰って来いといっていた吾郎に心配をかけてしまうだろう。あれほど煩く言っていたのだから今は静かに右のポケットに入っている携帯が騒がしくなるのも時間の問題かもしれない。
ポケットに手をいれ、携帯を手にして時間を確認する。少しくらいなら遠回りしながら帰っても大丈夫かもしれない。

見上げた星空はまだ見ていたくなるような綺麗さで、私はどうしたものか、と首をかしげた。



まっすぐ帰る
回り道して帰る