いつもと同じ学校から家へと帰る道。ただ、一ついつもと違うのはりりんと分かれてから私はコンビニへと寄っていた。今日はお母さんもお父さんも遅いらしく、私は自分ひとりで晩御飯の準備をしなくてはいけなくなってしまったからだ。別に、スーパーにでも寄って材料を買って料理を作っても良かったんだけど、それは正直面倒くさくなって(女の子失格?・・・・・う、うるさいよ!!)コンビニでお弁当を買うことにした。それにスーパーよりコンビニの方が私の家からも近いしね!(学校からの帰り道にあるし)
「(何買おうかなぁ!ついでにお菓子とジュースも買っておこうかな)」
見えてきたコンビニのドアの前に立てば、ガーと言う音がして自動ドアが開く。コンビニの中には人はまばらで数人ぐらいしか人がいなかった。本来の目的である、晩御飯の買い物はあとにしてまず初めに目に入ったお菓子コーナーへと行く。お、新商品が入荷してる!なんてチェックをした後、結局買うことはせずにお弁当コーナーへと向った。サケおにぎりやこんぶのおにぎり。ここのコンビニは私の趣味を熟知してるぜ!なんて意気揚々と選んでいると、私の肩にポンと手が置かれた。さすがに私もそれには驚いて、急いでそちらに顔をやれば、綱吉くんがいた(綱吉くんの登場はいつもいきなりだよなぁ・・・・)
「つ、綱吉くん?!」
「何してるの?」
「いやいや、綱吉くんこそ何してるの?!(こんなところにいるなんてまったく予想外だよ!)」
「俺はがコンビニに入るのが見えたから寄っただけなんだけど、そんなに真剣におにぎり見てどうしたんだよ?」
「(み、見られてたー!!そんなに私、真剣におにぎり見てたのか!)」
綱吉くんが私を見かけてコンビニに寄ってくれたのは嬉しかったけど、おにぎりを真剣に選んでいるところはできれば見られたくは無かった。だって、普通の女子高校生がこんな夕方に真剣におにぎり選ぶことなんてしないだろ!!だ、だ、だけど、ここのコンビニのおにぎりは種類が豊富で、私好みのおにぎりばかり置いてあるからついつい真剣に選ぶのもしょうがない話なんだよ。そうだ、しょうがないんだ。(でも明日からあだ名がおにぎりになったらどうしよう!)
「べ、べ、別にそんなにおにぎり真剣に見てたわけじゃないんだよ!!」
「そ、そうなんだ(明らかに動揺してるようには見えるけど・・・)」
ちょ、ちょっと自分!!この言い方じゃ明らかに真剣におにぎり見てたって言ってるようなものじゃないか。いや、まぁ、だけど綱吉くんのことだから明日学校で「こいつ昨日、真剣におにぎり選んでたんだぜ〜。なんだか寂しい女だよな」なんて言わないに決まってるよね?!って言うか、これじゃあ夕方におにぎりを買っている全国の女子高生に喧嘩売ってるようなもんじゃない?言っておくけど、別に私は喧嘩売ってるわけじゃないんだからね!(誰に言ってるんだろう、私は)
「・・・ごめん、嘘です。真剣におにぎり選んでました。そうだよ、真剣におにぎり選んでたよ!!悪い?!」
「全然、悪くないから!(逆ギレかよ!!)」
「(ハッ、私としたことが綱吉くんに逆ギレしてしまった!)」
「で、どうしておにぎり?」
「えっと、今日はお母さんもお父さんも帰るの遅くてさ、晩御飯を買ってたんだよね」
私の理不尽な逆ギレに怒ることもしない、綱吉くんはどれだけ人間が出来た人なんだろう。本当、こんな人に逆ギレなんかしちゃ駄目だよね。うん、本当ごめんね、綱吉くん。今度からできるだけ逆ギレはしないことにするよ。(まぁ、できるだけの話なんだけね!)私が言えば、目の前にいる綱吉くんはなんだかいきなり考え込みだした。・・・・って言うか、私まだサケおにぎりとこんぶのおにぎりを持ったままなんだよね。ずっと持っておくわけにもいかないし、とりあえずここはおにぎりを戻す事にしようっと。
「ねぇ、?」
「うん、何?(うわ、ツナマヨも美味しそうだ。)」
「良かったら俺んちで晩御飯食べない?」
「えっ、本当に良いの?・・・・・・って、えぇぇぇ!!!」
「え、なんで?!そこでなんで叫ぶわけ?!」
何、私も思わず嬉しそうに「良いの?」なんて聞いちゃってるんだよ!良いわけないだろ!!綱吉くんの家の事情も考えろよな、私。普通いきなり晩御飯食べに行ったらめいわくになることぐらい分かりきってるだろ。そうだ、迷惑になるよ。うん、そんな訳で思わず叫んでしまったんだよ、綱吉くん!
「いや、さすがにそれは迷惑になるから遠慮しておくよ」
「あー、それが食べに来てくれた方が良いんだよね・・・」
「は?(なんで食べに来てくれた方が良いんだ?)」
「それが本当は今日、獄寺くんがうちでご飯食べに来るはずだったんだけど、来れなくなちゃったんだ。だから、迷惑ってことは全然ないんだよね。むしろ、こっちとしては助かるんだけど」
「あぁ、なるほど」
私は所詮、獄寺くんの代わりだっただけの話か・・・って、なんだか卑屈になってるよ、自分!代わりだったとしても、晩御飯をお呼ばれしたことはかわりはないし、それにこれだけ言って貰えるなら甘えちゃっても良いかなぁなんて思ってる自分がいる。さて、どうしたものか。だけど、男の子の家なんて高校生になってから行ったことないんだよね。少しだけ恥ずかしいような気がしないこともないような。(正直なところ、恥ずかしいんだけどね)
「が良かったらで良いんだけど・・・」
「えっと、綱吉くんが良いんならお願いします」
「うん、じゃあ、早速俺んちまで行こうか」
結局私は綱吉くんの申し出に甘える事にした。それにしても、あれだけ長い間コンビニにいたのに何も買わずにでるなんてなんだか悪い気がしたんだけど。だけど、最初の目的は晩御飯買うのが目的だったから買うものなんて特には無いし。綱吉くんとくだらない事を話しながら歩いて行けば、綱吉くんの家まではすぐに着いた。あのコンビニからこれだけ近いのなら、私の家ともそれほど距離は無いはず。私が思っていたよりもどうやら、綱吉くんの家は近かったらしい(そりゃ、同じ中学だし、そんなに遠いとは思ってなかったけどね)
「ただいまー」
「おかえりなさい、ツーくん」
綱吉くんがドアを開けながら、声をかければ、奥から綱吉くんのお母さんと思われる人が小走りで走ってきた(うわ、可愛いお母さんだ!)雰囲気も綱吉くんと似ているような気がしながら、綱吉くんのお母さんを見ていると、お母さんは私の方に気付いた。少しだけ、恥ずかしくてガラにもなく緊張してしまう。
「あら、こちらは?」
「綱吉くんのクラスメイトのです!は、初めまして!」
「こちらこそ初めまして。うふふ、可愛い子ねぇ。ツーくんにこんな可愛いお友達がいるとは知らなかったわぁ」
「母さん!!・・・・、今日お父さんもお母さんも帰るの遅いらしいから夕食に誘ったんだけど」
「まぁ!そうなの?それなら母さん手によりをかけて作っちゃうわ!!」
「あと、獄寺くんは用事ができたらしく来れなくなったから」
「それは残念ねぇ。だけどちゃんの為に頑張って作っちゃう」
「あ、ありがとうございます!(本当、可愛いお母さんだ!)」
お礼を言えば、綱吉くんのお母さんはゆっくりと微笑んだ。その微笑みはどこか綱吉くんと似ていて、私はやっぱり親子だなぁなんて思ってしまった。
「じゃあ、ご飯ができたら呼ぶからそれまでツー君の部屋まで待ってもらっても良いかしら?」
「うん、分かった。、行こう」
「あ、お邪魔します」
靴をそろえて、綱吉くんが上がっていく階段を私も綱吉くんの後ろに続きながら上っていく。階段の下では綱吉くんのお母さんがニコニコしながら見ている。・・・・・って、綱吉くんのお部屋ですか?!私、男の子の家なら行った事あるけど、部屋なんて行った事ないんですけど!!まぁ、別に部屋に行く意味なんてただの晩御飯ができるまでの時間つぶしのようなものだけど、それでも2人きりなんて恥ずかしいと言うか(・・・京子ちゃんに悪い気がして、申し訳ない)だけど、今さら何て言って良いかなんて分からない。
「汚い部屋で、ごめんね?」
「いや、全然そんなことないよ!」
開けられたドアから入れば、汚いことなんてなく、普通の男の子らしい男の子の部屋だった。もしかしたら、私の部屋の方が汚いかもしれない(ちょっとショックだなぁ・・・)綱吉くんは、座布団をどこからか取り出して引いてくれた。おぉ、お客様の対応にもバッチリなんだね、綱吉くん!!私なんて友達が来ても、座布団なんか引いたりしないのに。あ、でも、それはりりんや他の仲の良い友達だからであって、もしもただの友達なんかが来たら座布団を引くかもしれない(私にとって綱吉くんは仲の良い友達だけど、綱吉くんにとったらただのクラスメイトなのかな?)
「ちゃおっス」
「リボーン?!」
綱吉くんの驚く声に、私も少し驚きながら初めに声のした方を見れば、そこには黒いスーツを着た赤ん坊が立っていた。って、そこって窓のサッシのところなんですけど?!普通、そんな危ないところに人は立たないんだけどなぁ、なんて思っていると赤ん坊はそこから軽やかにジャンプし床へと着地した。そして、私の方へ近付いてくる。
「お前が、だな?」
「あ、はい?(・・・思わず疑問系で答えちゃったよ)」
「俺はツナの家庭教師のリボーンだ」
自らの事をリボーンと言った赤ん坊の言葉に、私は初めて綱吉くんに数学を教えたときのことを思い出した。そうだ、彼は家庭教師がいると言ってたではないか!!まさか、こんな赤ん坊とは思ってはいなかったけど、まぁ、世の中色々な事があるし、ここは事実として受け止めておこうと思う。(あー、だけど本当にこの子が綱吉くんの家庭教師なのだろうか。)
彼にとっての私について
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(2007・10・03)
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