「リ、リボーンなんでここにいるんだよ?!」





「別に俺がここにいても良いだろ」





「いや、別に悪くないけどさ・・・・だからって、急に現れるなよ!!」









なんだか焦る綱吉くんがあまりに可愛くて笑いそうになるのをなんとか抑えながら、私は綱吉くんとリボーンくんのほのぼのしたやりとりを見ていた。それにしても、このリボーンくんという子は赤ん坊なのにこんなにちゃんと話せるなんてすごいなぁ。なんて考えていれば、いつの間にか2人の会話は終了していた(わ、私としたことがどこかにとんでしまっていたらしい!)









「じゃあ、ちょっと俺着替えてくるから」





「あ、うん」





「リボーン、余計な事言うなよ!」





「うるせぇぞ、駄目ツナ。さっさと着替えて来い」











リボーンくんのやや(いや、かなり)トゲのある言葉に何か一言言い残して綱吉くんは部屋から出て行った。綱吉くんの部屋には、持ち主である綱吉くんはいなくて、私とリボーンくんの二人きり。綱吉くんの部屋なのに綱吉くんがいないなんて何だかおかしいようなぁ、なんて思いながらリボーンくんに視線をやれば、つぶらな瞳が私の方を真っ直ぐに見ていた(うわー、すごく可愛いんだけど!)何か話したほうが良いのかなんて、考えているんだけど、特に話す内容が見つからなくて、ちょっとだけ困った。









は、ツナの事好きか?」





「え、あ、はい?」









リボーンくんの質問に思わず開いた口も閉じられない。って言うか、この年にしてそんなこと聞いてくるなんてちょっとマセすぎじゃないのか?!(あ、でも最近の子供はすぐに結婚するー!なんて言い出すか)それに、私が綱吉くんを好き?はは・・・・ないない。それは無いよ。そりゃ、友達としては好きだよ?そもそも、嫌いならただのクラスメイトのまま1年間終わらせていたと思うし。この、リボーンくんの質問が友達として綱吉くんが好きなのかと言う質問ならもちろん、答えは
イエスだ。だけど、異性として好きなのかと聞かれればそれはノー









「それは、友達としてってこと?」





「いや、ツナの事を愛してるかって聞いてるんだぞ」










愛してるって・・・・私達は、まだ高校生なのに、愛してるなんて言葉は早すぎやしないだろうか。愛なんて大人になって語れば良い。私にとって、愛と言うのはそういうものだ。私達、高校生は恋という言葉の方がまだしっくりくる。まぁ、そんなしっくり来るはずの恋も私はしてはないんだけど(あれ、何だか悲しくなって来ちゃったよ・・・!!)













「綱吉くんことは友達としては好きだけど、それは愛じゃないよ」












それに、もしも、もしも私が綱吉くんのことを愛していたとしても、それは内緒の恋となってしまうはずだ。だって、私は京子ちゃんと綱吉くんの邪魔にはなりたくないんだから。まぁ、だけど愛だの、恋だの、今の私にはとても関係の無い話。私は自分が好きになってはいけない人ぐらいわかっている。リボーンくんは私の言葉に納得したのか、
「そうか。じゃあ、俺はちょっと出かけてくるぞ」なんて言って部屋から出て行った。一人残された部屋で、愛や恋を自分の知ってる限りで考えるけど、私には何一つわからないことだらけだ(愛なんて、私にとったらテレビのドラマの話だよ!)











「あれ、リボーンは?」





「リボーンくんなら出て行ったよ」





「あぁ、そうなんだ。リボーンの奴、変な事言ってなかった?」






「・・・・」






「何で黙るの?!」






「あはは、冗談だよ。普通に世間話をしただけ」











私がそういえば、綱吉くんはホッとしたように息を吐いた(何か言われて困る事が彼にはあったのだろうか)私服に着替え終わった綱吉くんは、テーブルをはさんで私の前に座る。なんだか、初めて見る綱吉くんの私服姿に新鮮味を感じた(新鮮味って、私はおばさんかよ!)









「綱吉くんの部屋って片付いてるよね」





「そうかなぁ?結構汚い部屋だと思うけど」





「いやいや、私の部屋の方が汚いと思うよ。うん、絶対






「ぜ、絶対って・・・」










困ったように笑う綱吉くん。うん、だけど絶対私の部屋の方が汚いんだよなぁ。帰ったら久しぶりに掃除でもしようかな?お母さんも、お父さんも帰ってくるの遅いし。まぁ、別に帰ってくるのが遅くなかったとしても部屋の掃除をしていたとは思うけどね・・・・・・いや、よくよく考えて見れば、お母さんとお父さんが帰ってくるの遅くなかったら私は綱吉くんの部屋にくることもなくて、そのままあの汚い部屋のままだったかもしれない。ありがとう、綱吉くん。君の部屋に来たことで私は自分の部屋を片付ける覚悟が出来たよ。









「それにしても綱吉くんって、本当不思議だよ」





「な、なんで?!」






「まずさ、あだ名だよ。あだ名。獄寺くんからは10代目何て言われてるし、シャマル先生からはボンゴレって言われてるし」






「・・・・」





「それに家庭教師があの子でしょ?本当、綱吉くんって色んな意味ですごいよ!」












私が言えば、少しだけ驚いた顔をしたあと綱吉くんは黙った。思い出してみれば、私は2年になった時、綱吉くんのことを興味深い人物だと思っていた。それに、見てて飽きない人だとも。それは今でも変わっていないけど、友達となって更に綱吉くんへの謎は深まるばかり。本当、私にとって綱吉くんは興味深い人らしいね!なんて思っていれば、黙っていた綱吉くんが口を開いた。










「ツーくん、ご飯できたわよー?」








開いたのだけど、結局それは言葉になることなく、綱吉くんのお母さんの声がしたから聞こえてきた。綱吉くんはその声に返事をしながら立ち上がる。私も思わず立ち上がれば、綱吉くんがこちらを向いた。
「ありがとう、・・・・はて、一体何がありがとうなのかと頭をかしげるも、綱吉くんはその先は何も言わずに「じゃあ、ご飯できてるから行こうか」と言って、部屋のドアを開けた。


































「では、本当にご馳走様でした」








綱吉くんのお母さんのご飯は本当にすべて美味しかった。これは、コンビニでおにぎりを買って(確かに好きなんだけどね、おにぎり)一人寂しく食事をするよりも何倍も良かったと思える。玄関で靴を履いて、綱吉くんと綱吉くんのお母さんと向かい合う形になる。頭を下げて、お礼を言えば綱吉くんのお母さんが可愛い笑顔をうかべながら言う。










「また来てちょうだいね」






「ありがとうございます」










また来てちょうだいね、と微笑む綱吉くんのお母さん。だけど、私がまたここにくる事はないような気がする。だって、今日はたまたま偶然が重なっただけのことで、こうやってお呼ばれをしただけのことなのだ。本来なら来る予定の獄寺くんが来れなくなって、綱吉くんがたまたまコンビニでおにぎりを買う私を見かけて、と様々な偶然が重なって、今、私はこうして綱吉くんの家にいるのだ。(あぁ、本当偶然ってすごいね!)そう考えると、私はもうここにくる事は無いんじゃないかと思えてくる。










「じゃあ俺、の事送ってくるね」





「えぇ、いってらっしゃい。ちゃんまたね」





「あ、はい!(別に送らなくて良いのに綱吉くん!)」










なんて、優しい親子なんだろう!私なんか、送って頂かなくても大丈夫なのに・・・・も、もしや迷子になるなんて思われては無いよね?そりゃ、綱吉くんの家に来たのは初めてだけど、自分の家にぐらいちゃんと帰れるよなんて思っていれば、綱吉くんが玄関のドアをあけた。お邪魔しました、と言い外に出れば既に真っ暗で、私は少しだけ綱吉くんが送ってくれることになって良かったと安堵した(私だって女の子だから恐いものは恐いんだよ!!)あ、だけど、むしろ危ないのって私じゃなくて綱吉くんのほうじゃないのかなぁ?そう思い、綱吉くんの横顔を盗み見るように見れば、暗くてあまり良くは見えないけれど、整った綱吉くんの横顔が見えた。









「・・・ねぇ、綱吉くん」





「何?どうしたの、?」





「私やっぱり送って貰わなくても良いよ?」





「えっ、急になんで?!」






「いや、私なんかよりよっぽど綱吉くんのほうが危ない気がする」






「えぇぇ?!ちょっと、何言ってるの!?」









私の言葉に驚く綱吉くんは、先ほどよりも可愛くて、私は本当に送ってもらうのが悪いような気がした。あぁ、だけど、考えて見れば、先日ボールが私の肩に当たった時のことを思い出せば、あの時は明るかったけど送ってもらうのはなんだか悪い気がしていた。そうだ、京子ちゃんの存在があったからだ。私はあの時、綱吉くんに送ってもらうのは京子ちゃんに悪い気がしてならなかった(だけど、今は?)今の私は京子ちゃんに悪いなんて、思ってもみなかった。あぁ、私としてことが!!京子ちゃんの存在を忘れているなんて。










は十分に危ないから」





「え、私が危ないの?!私、別に綱吉くんのこと襲ったりしないよ!





「そういう意味じゃないから!!だって、こんな暗い中帰ったら危ないだろ!」









綱吉くんの言葉に、少しだけ嬉しくなった。だけど、それでも私の心の中では京子ちゃんに対する罪悪感が一杯になっていて、冗談を言い合いながら綱吉くんに送ってもらっている間も、ずっと、頭から離れなかった。それに、そもそも考えて見れば、綱吉くんのあの部屋に何度も京子ちゃんは出入りしているだろう。私にとって、男の子の部屋に入る事が初めてのことでも、綱吉くんにとって女の子を部屋に入れる事は初めてのことではないはずなのだ。(私は意識しすぎなのかもしれない)












愛や恋が分からない事について
























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(2007・10・08)