久々にりりんと遊んで、帰路へとつく休日の夕方。本当はもっと遊ぶ予定だったけれど、りりんに用事があった為に家へと帰り着いたのは、4時だった(高校生にしてはずいぶん早い帰宅時間だね!)だけど、リビングとへ行って台所を覗き込めばそこには既に晩御飯を準備するお母さんの姿があった。一体、今日の晩御飯は何なんだろう、と思いながらお母さんに声をかければ何故かかえってきた言葉は「お醤油買ってきてちょうだい」だった。あれ、私の質問は?なんて思った時には既に私の手にはお醤油代が置かれていた。














「え、私行くとか
「いってらっしゃい。あんまり遅くならないうちに帰ってくるのよ」












ニッコリと微笑みながら言うお母さんに、私は自分と同じ血が通っていることを改めて痛感した。うん、私もその技たまに使うもんね。山本とか持田先輩とかにニッコリと微笑みながら圧力かけて、従わせようとしちゃう事あるもんね。私は、お母さんから貰った醤油代を握り締めて、今まで履いていた靴を履き、玄関のドアを開けた。まだ、日は沈んでいない。これなら暗くなる前に家に帰るなんて簡単なことだろう(暗い道は恐いからね!)そう思いながら、先ほどまで歩いていた道を再び、今度は逆方向に歩く。































いつも利用するスーパーで買い物を済ませて、醤油の入った袋を片手に私はスーパーを出た。一応、今日は私なりにおしゃれをした格好だから、この格好でスーパーの袋を持っているなんて何とも可笑しな格好だと思う。(だって、ここのスーパーに来る時はいつもジーパンに、かるく上に何かを羽織るくらいだし)目の前に見えた、私と同じようにスーパーの袋を持って手を繋ぎあっているカップルに私は思わず視線をずらした。私にもいつかあんな風に誰かと手を握ったりする日がくるのだろうか。そんな事、思った自分に少しだけ可笑しく思えた。















「(明日は学校かぁ)」













今日は日曜日だからもちろん、月曜日の明日は学校がある。学校があれば、みんなと顔を合わせることになる。そんな変わらない毎日。そんな毎日の中で私に急に彼氏が出来たり、そんな事あるわけがない。そもそも私には好きな人がいない(はず・・・?)なのだから、彼氏が出来るわけがない。だけど、それでも良いと思っている。私は今の毎日に満足しているのだから。山本やりりんと話したりするのは楽しいし、京子ちゃんと花ちゃんと話すのは癒される。獄寺くんや持田先輩と話すのも嫌いじゃない。それに、














綱吉くんと話すが一番楽しい












この前、綱吉くんの家で晩御飯を食べてから更に仲良くなれたような気がする。それにあの獄寺くんとも話すようになった(彼は何気に面白い)流石に親友とまではいかないけれど、確実に私の中で彼の存在は大きいと思う。中学のときにもクラスが同じ時があったのに、何故仲良くなっていなかったんだと、その時の私に聞きたいぐらいだ。そのぐらい彼との会話は楽しい。だけど、それだけ仲が良くなったとしても、やはり彼の横に私は似つかわしくない気がしてならない。












「・・・・あれ、綱吉くん?」











ハッと、我に返って前を見れば、少し前からこちらのほうにやってくる綱吉くんの姿が目に入った。このまま、気付かないフリをして通り過ぎてしまっても良かったのだけど、私は綱吉くんに声をかけた。これが数ヶ月前なら私は気付かないフリをして彼の横を通り過ぎただろう。そして、彼も私なんかに気付く事も無かっただろう。












?!え、え、何でこんなところにいるんだよ?!」







何だかその言い方だと私がここにいちゃ悪いみたいだよ、綱吉くん?







「いや、そういう訳じゃないんだけど!!」







「あはは、冗談だよ。私はちょっとお使いを頼まれてね」














私はそう言いながら先ほど買ったばかりの醤油の入ったスーパーの袋を綱吉くんに見せた。私だってお使い位するんだぜ!なんてちょっとだけ調子にのった。綱吉くんはそれで納得したのか「そうなんだ」と言って、いつもの笑顔に戻った。彼はいつも笑顔だ(焦ったときや驚いたときいがいはほとんど)










「綱吉くんは何してるの?」





「さっきまで、山本と獄寺くんと遊んでたんだ」






「あぁ、なるほど。3人とも仲が良いね!!」





「あー、うん」










何故か歯切れの悪い綱吉くん。まぁ、考えて見ればあの2人と友達なのは確かに大変そうだよね。山本は天然野球馬鹿だし、獄寺くんは10代目馬鹿だ。こんな2人と友達をやっている綱吉くんの苦労は私が思っている以上に凄いのかもしれない(かもしれないじゃないな。凄いんだよ)だけど、2人といる綱吉くんはいつも楽しそうで、いるのが嫌だとは思えない。綱吉くんも何だかんだ言いつつあの2人の事をちゃんと友達、いや親友とでも思っているんじゃないだろうか。











「ツナさん!」










元気で可愛い声が聞こえたと思ったら、可愛い女の子が走ってこちらに近付いてきていた。どうやら綱吉くんの知り合いらしく、隣で綱吉くんが
「ハル・・・」と呟くのが聞こえた。ハルと言うのは、あの子の名前だと思う(どう考えてもハルなんて名字は可笑しいし)そのハルと呼ばれた子は、こちらまで走ってくると、乱れた息を整えながら綱吉くんに対して、可愛い笑顔をうかべた。















「ハル、こんなのところで叫ぶなよ」






「はひ!思わず、ツナさんと会えた嬉しさで叫んじゃいました!!」






「(うわー、可愛い。京子ちゃんぐらい可愛いんだけど!!)」










その女の子の可愛さに私は少しだけ感動を覚えた少し変態みたいだ・・・その間に、いつの間にか綱吉くんはその女の子に私を紹介していて、私にもその女の子を紹介してくれていた。ハルちゃんは、私の方に手を差し出すと、先ほど綱吉くんに向けた笑顔で「三浦ハルです!」と元気よく言った。私もとりあえず、「です」と言い手を差し出せば、ハルちゃんは私の手を握ってブンブンと上下に動かす。声も、顔も、仕草も、すべてが可愛い女の子だ。











「こら、ハル!!が困ってるだろ!」






「あ、私としたことが!こんな可愛いお友達が出来たことに感動して!」











私のことが可愛い?いやいやいやいや、ハルちゃんのほうが私の何倍も可愛いから。そりゃ、可愛いなんて言われて私も嬉しかったりするけど、私だって自分のことぐらい分かっている。私は声も、顔も、仕草もハルちゃんみたいに女の子らしくないし、ハルちゃんのほうが全然可愛い(綱吉くんもそう思っているはずだ)










「だけど、綱吉くんにこんな可愛い友達がいるとは思わなかったなぁ」





「えぇ?!」





「ハルが可愛いですか?!はひ!!」










本当に、綱吉くんにこんな可愛い友達がいるなんて知らなかった。てっきり京子ちゃんと付き合う予想をしていたけど、ハルちゃんと付き合う可能性も十分考えられる。まるで両手に花じゃないか、綱吉くん。チクリ・・・・。何だか、少しだけ胸が痛くなったような気がした。けど、どうやらそれは気だけだったらしい。私は2人を見る。空はそろそろ、暗くなってきていた(いつの間に?!)私が思っていたよりも、最近が時間の進みが速くて困る。











「じゃあ、私、もう帰るね!」





「あ、!送ってくよ!」





「私は大丈夫だから、綱吉くんはちゃんとハルちゃんを送ってあげるんだよ!」











そう言いながら、私は歩き出した。だって、私よりもハルちゃんの方が可愛いし、私を襲う人なんてなかなか考えられない。いや、本当にね。現実問題、こんな奴襲う奴なんていませんって!なんて思いながら少しだけ暗くなった道を歩いて帰る。暗い道。少しだけ心細い。寂しい。一人は嫌だ。何故か涙が流れそうになった
?」












「あ、山本だ」





「・・・なんか合ったのか?」








後ろからかけられた声に振り向かば、山本がいた。そういえば、綱吉くんは今日は山本と獄寺くんと遊んだと言っていたと思いつつ、私は山本の言葉に首をかしげた。だって、別に今日は何もなかった。ただ、りりんと遊んで、帰ったらお使いを頼まれて、お使いを終えたところで綱吉くんと、ハルちゃんにあっただけだ。「なんで?」私が聞けば山本は少しだけ、バツが悪そうな顔を浮かべる。おいおい、何でそんな顔をするんだよ。なんて思えば、
「お前、今泣きそうな顔してるぞ」と言われた。












「えぇ?!山本、それ笑えない冗談だよ」





「あはは、そうか?」












私が驚いて(・・・これはフリだ)言えば、山本はパッと笑顔になって答えた。それ以上、山本は何も聞いてくることはなくて、その後、山本は暗いからと言って、結局私を家まで送ってくれた。その間に話したこともくだらない事ばかりだった。一人で帰らなくてすんだことに、ちょっと感謝したのでこれからもう少し優しくしてあげようとは思う。だけど、私はなぜあの時泣きそうになったのだろう。それに山本があれ以上、何も聞いてこなかったのは山本の優しさだ(山本は天然のくせに鋭い)本当は私の様子が可笑しいことに気付いていたのかもしれない。







私は明日から、またいつもと変わらない毎日を送る。その中で私は変わらず、綱吉くんと話すのが一番楽しいと思えるのだろうか、とふと思った。










君と可愛い女の子の関係について






















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(2007・10・16)