三時間目の数学の授業はほとんど頭に入ってこなかった(ごめんね、先生!!)いつ、どうやって、この私の机の横にかかったかばんの中に入ったお弁当を持っていけばよいのかと思うと、授業にかまっている暇なんて私にはない。それだけ、大きな使命を私はお母さんから与えられてしまったのである。とりあえず、お昼休みまでに渡さないといけないのは分かっている。だけど、それまでの過程・・・そう渡す方法が思いつかない。もっと頭が良ければ思いついたのか・・・!!それなら勉強も真面目にしとけば良かったと今さら嘆いたって始まらない。はぁ、とため息が漏れる。それと同時に三時間目終了のチャイムが鳴り響いた













「(もうこんな時間?!今、渡さないともう後はない!!)」











次の授業は確か、国語だったはず。授業に遅刻したら恐い先生だけど、私にとったら、と言うかこの学校に居る人にとっては雲雀さんのほうが恐いに決まっている。怒られる覚悟を決めて、私はかばんのなかにある雲雀さんのほうの私より一回り大きいお弁当箱を手にとって教室を出ようとした。  な の に ! !










ちゃん?」







「な、な、な、何、京子ちゃん?(どもりすぎでしょ、私!!)」







「どこに行くの?」






「いや、ちょっと、お手洗いにでも」
















「お弁当もって?」












なんと、京子ちゃんに声をかけられた時にちゃんと背中に隠していたお弁当を、京子ちゃんは気付いていたらしい。(激ヤバッ!!)私は何も言えず、あはは、と笑いながらじわりじわりとドアの方に近付いた。ど、ど、どうすれば良いかな・・・・よし、もうしょうがない。私は覚悟を決めた











「あ、えっとね、」









「?」









「ちょっと、用事があるから私はここでー!!」












最後まで言い切らず私は応接室までのスタートをきった(ごめんね、京子ちゃん)だけど、私には本当のことを言える覚悟がまだないんです。それに京子ちゃんと話している間に時間は進んで、休み時間はもう後8分をきっていて、ここから応接室まで私の足じゃどんなに頑張っても4分はかかる。あぁ、頑張っても国語の授業には間に合わないらしい・・・・嫌だな、嫌だ。だけど、雲雀さんに咬み殺される方がもっと嫌だ!!










「あれ、どうしたの京子?」







「あ、花。ちゃんがね、少し大きめのお弁当を持ってどっかいっちゃった」







「ふ〜ん。にも遂に春が来たのかしらね。戻ってきたら詳しく話し聞かせてもらわないと」











教室でそんな会話がなされているなんて、露知らず私は体育の授業で50メートルを測った時以上に早く走っていた。後少しで、応接室。かどを曲がればそこには応接室と書かれたプレートと、そのドアの前に立つ二人の風紀委員が見えた。うん、頑張ったね私!!





・・・・って、ここからどうしよう。ここまで来れば雲雀さんに会えるかと思っていたけど、そんな世の中甘くないみたいだ(そんな事もう分かってるけど)とりあえず、あの2人に話をしてって、何ていったら良いんだ?!雲雀さんの妹なんですけどって言って信用してもらえるわけないし、クソ、何でこんな時に吉田はいないんだよ!役立たずめ!!しかし、そんな考え込んでいても時間が進むだけで、雲雀さんにこのお弁当を渡せるわけはない。とりあえず、あの2人に話しかけることから挑戦しよう(殺されませんように!!)










「あ、あ、あの!!」









「お前は昨日の・・・・」









(ギャッ、覚えられてる!!)








「何か用か?」














「ひ、雲雀さんいますか?!」









なにやらそこまで悪い人ではないらしい。ちゃんと私の話を無視せずに聞いてくれたし。だけど、風紀委員ってだけで私にとっては恐怖の対象なのである(早くこのお弁当を雲雀さんに!!)祈るように私が聞くと、少しの間考え込んでいるようだったけれど、すぐに口を開いた。










「委員長は今、留守にしておられる」









(えぇぇぇぇぇぇ!!!)











それはないですよ、雲雀さん。私が一生に一度するかしないかって言うぐらいの覚悟を決めてきたのに、いないだなんて。勇気をだして恐い風紀委員にも話しかけたって言うのに・・・・(あぁ、ちょっと泣きそうだ)腕時計を見れば次のチャイムがなるまでにもう3分をきっていた。お弁当も渡せない。授業には遅れて怒られる。なんて、最悪な一日なんだ!!これもすべて、雲雀さんのせいだ!!














「だ、大丈夫か?」












わざわざ私みたいなのに、そんな優しい言葉をかけてくれるなんてこの風紀委員さんは優しい。草をくわえてるし、風紀委員だけど、私はできることならこんな人の妹になりたかった。最強風紀委員長の妹になんてなりたくなかった・・・いや、雲雀さんだって本当は私みたいな妹欲しくなかったんじゃないかな。それはそれで悲しいだなんて、私はなんとも勝手な妹だ。このお弁当をこの風紀委員さんに頼めば、雲雀さんに渡して貰えるだろうか?うん、この人なら渡してくれそうだよね(だって、優しいもの!!)よし、そうと決まれば、お願いしよう!!











「あ、あの」









「なん?」








風紀委員さんの言葉を遮るように(わざと?)呼ばれた名前に、振り返ればそこには学ランを肩からかけた雲雀さんが立っていた。それと同時に4時間目の始まりを告げるチャイムが鳴り響く。どうやら授業には遅れるけれど、雲雀さんにお弁当を渡すという使命は果たす事が出来そうである。















届け★雲雀恭弥にお弁当!!










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(2007・07・15)