雲雀恭弥のお弁当の行方は?!
はぁ、とため息をつきながら昨日よりも大分早い時間のなか教室のドアを開けた。遅刻しなかった事に安心しながらクラスに入ると、クラスの大半の人が驚いた様子でこちらを見てきたので、動けなくなっ
てしまった。あれ、私こんなに目立つ人間だったけ?いやいや、昨日も特に帰る友達もいないくらい寂しい人間だったし、これは私をみてるわけじゃないんだよ!!そうだよ、なに自意識過剰になってんだ よ、私★
「(そうだ、みんな私を見てるわけじゃない!!)おはよう?」
「!!」
訳も分からないのでとりあえず挨拶をすると、花がよってきた。いつもはクールな花があまりに切羽詰った様子で話しかけてきたので更に私の頭のなかが訳がわからなくなってしまう。わ、わ、私なんか したっけ?って頭の中で一生懸命に考えているのに答えが出てこない。ハッもしかして・・・・昨日、雲雀さんと帰ったのがばれてしまった?!私の顔は一気にさぁっと青ざめる。どうしようと考えているうち
に、花は私のところまで来ると私の両肩を掴んだ。
「あんた昨日の放課後大丈夫だったの?!」
「え?」
「応接室まで呼び出されたんでしょ?!雲雀の奴に怪我させられなかった?」
あぁ、そういえば昨日、私クラスの人がたくさん残されている中、死の放送がかかって応接室まで呼び出されたんだった。そりゃ、生きて帰ってこれた私を見てみんなが注目する気持ち分からなくもないな。実際は膨大な書類の処理だけだったけどね。その時、既に花は帰ってしまっていたから今日の朝にでも話を聞いて心配してくれてたんだろう。私はなんともよい友達を持ったものだ(花、大好きだよ !!)・・・・だけど、
「雲雀さんはそんなことしないよ?」
雲雀さんは私が思っている以上に優しいと思う。だって、昨日は帰りも一緒に帰ったし、今日の朝も何だかんだ言いつつ私が"いってらっしゃい"って言ったら言い返してくれたし。みんな知らないだけで雲
雀さんは優しい人だ。怪我なんてさせられるわけない・・・・・と、思う
「・・・?」
「(ハッ!!私何を言ってるんだ?!)ほ、ほら私があまりにも馬鹿そうだから、殴られなかったんだ!!こんな奴、殴っても楽しくないと思うし!!」
我にかえると周りの人がコイツ何言ってんだ?って言う顔で私を見ていた。うん、私だってそう思う。私は何を言っているんだろう。あの、最強風紀委員長が優しいだなんて、何とも考えるだけでも恐ろしい
のに、だけど、優しくない事はないと思うんですよね(多分!!)
「おはよう、ちゃん」
「あ、京子ちゃん。おはよう」
後ろからの声に振り向けば、朝から可愛い京子ちゃんがそこに立っていた。「昨日大丈夫だった?」心配そうに聞いてくる京子ちゃんに私は笑顔で大丈夫、と応えた。既にクラスメイトは私の話に興味は
なくなったのか自分達の話で盛り上がっていた。花は私の肩を離して、はぁと息を吐き出した
「なら良かった」
「本当にね。もうこんな心配させないでちょうだいよ?」
「あ、うん。二人ともありがとう!!」
この二人は私が雲雀さんの妹だと知っても、変わらず接してくれると思う。だって、こんなに私のことを心配していてくれたんだもの。私って本当によい友達もったな(二人とも大好きだよ!!)私と京子ち ゃんは自分の机にかばんを置くと、花の座っている席に集まった。いつもの、朝の光景だ。花は何か思い出したかのように私の顔をじっと見つめながら口を開いた
「ねぇ、。新しいお父さんははどう?」
「え?」
「あ、ちゃんのお母さんが再婚したんだもんね」
あぁ、この二人には私に新しいお父さんとお兄ちゃんができることを言ったんだった。その時の二人はまるで自分のことを喜ぶかのように笑って私に「良かったね」って言ってくれたんだったけ。あの時は
純粋にお兄ちゃんができることが嬉しかったなぁ(今じゃ、それも良い思い出だよ・・・!!)
「とても良い人だよ」
「そう。それで新しいお兄さんの方はどうなのよ」
「え?!」
いきなりの花の質問に少し大きな声で驚いてしまった。だ、だって、なんと応えれば良いんだ?!二人には嘘をつきたくない・・・だけど、雲雀さんが新しいお兄ちゃんだなんて知られたくはない。別に雲雀
さんが嫌なわけじゃなくて、私が雲雀さんの妹として不相応だから。(まぁ、友達がいなくなっちゃうかもって言うのも理由にあるけど)
「優しい人だった?」
「あ、うん(意地悪だったり、トンファー振り回したりするけど)」
「馬鹿ね、京子。一番大切なのは顔でしょ。お兄さんカッコ良いの?」
「(性格気にしなかったら)カッコよいと思うよ」
「ふーん、一度会ってみたいわね」
「(一度といわず何回か会ってると思うけど)ま、そ、そのうちね!!」
先生が教室に入ってきたので私は自分の席に着いた。横にかけた鞄の中を見ると、お弁当が二つ。言っておくけど、二つとも私のお弁当って訳じゃない(そんなに食い意地はってないよ!!)一つは私のだけど、私のお弁当よりも大きい黒いハンカチに包まれたお弁当は、雲雀さんのだ。朝早く出て行ったから渡せなかったお弁当を、お母さんは私によろしくねと満面の笑みで渡してきた。無理だなんていいたくても言えなかった。ど、ど、どうやって渡そう・・・・考えても考えても良い方法は見つからない
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(2007・07・09)