雲雀恭弥と初めての帰宅!!
山積みされた書類もあともう少し。私にしてはよく頑張った!!と自分を称えながら外を見れば、既に真っ暗でびっくりした。私はこんなに暗くなっていることにも気付かずに、仕事に熱中していたらしい。いや、熱中って言うか、終わらせないと殺されるんじゃないかと思ったから、集中してやったまでなんだけどね。たぶん、普段の授業でもこんなに集中したことないと思う。先生、ごめんね!!だけど、そんな恐ろしい時間もあと少しで終わりだ。私はやっと、この応接室から解放される。キャッホー!!(おっと騒いだら殺されるぜ、私)
「(あと一枚・・・)」
やっと、終わったー!!思わず叫びそうになるのをおさえて(叫んだら殺されちゃうし)肩と腕を回せば、コキコキと音がなって少し年寄りくさいなって思った。長時間、書類の文字を見ていたせいでしばしばする目をパチパチと開けたり閉じたりして、私は、はぁって息をはき出す。雲雀さんを横目にチラって見れば、雲雀さんは既に仕事は終わっていたみたいで、何やら難しそうな本を読んでいた。私なら一生読まないな、あんな本・・・・「ねぇ、終わったの?」じっと見ていた難しそうな本から視線を上にうつせば雲雀さんが私の方を見ていた。
「は、はい」
「ふーん、あまりにも遅いから退屈したよ」
そう言いながら欠伸をする雲雀さん。なら手伝えよ・・・なんて言えるわけないですよねー。だけど、成績が中の下の私にしてはがんばった方なんです。それにあんな大量の書類を今まで処理せずに置いたままにしていたほうが悪いに決まってる。バレないように睨む(バレたら殺される)私にお構いなしに、雲雀さんは読んでいた本を閉じると、立ち上がってこっちの方に寄って来た。あれ、怒ってるように見えるのは私の勘違いかな。いや、でも雲雀さんっていつも怒ってるような顔してるから、実際分らないんだよね。
「じゃあ、帰ろうか」
「・・・・は?」
「またが迷子になったら困るからね」
この男、やっぱり私が迷子になって遅刻したって知ってたのか!!・・・って、今、私、なんて呼ばれた?も、も、も、もしかしてって呼ばれたような気がしないことも無いような(あぁ、またどっちかわかんなくなっちゃった!)でも、私の聞き間違いかもしれないし。そうだ、私の聞き間違いだよ。(だって、私の目の前でこんなに柔らかく微笑む雲雀恭弥を私は知らないもの)
今思えば、雲雀さんは初めから私と帰るために私をここに呼んで、仕事をさせたのかもしれない。遅刻の罰則が書類の処理だけで済んだのも、帰り道迷子にならないですむのも雲雀さんの妹になったおかげ?いや、雲雀さんの妹になってなかったら遅刻することも無かったんだよ。
夜の学校は怖い。校門から学校の方を見れば、そんな気持ちになった。だけど、今は夜の学校よりも隣に居る雲雀さんのほうが何倍も怖くてたまならない。それにしても、私は重い鞄を手に持っているのに(置き勉は禁止されてんだよ!!)、雲雀さんは手に何ももっていない。この人、本当学校に何しに来てんだろう?学校の風紀を守る為だけに来てるんなら、早く自分が学校の風紀を乱していることに気付くべきだよ!!満点の星空の下、携帯を手に取れば、もう結構な時間になっていた。あれ、私お母さんに連絡したっけ・・・?
「(お母さんに遅くなるって連絡するの忘れた・・・!!)」
「どうしたの?なんだか不細工な顔になってるよ」
「不細工はもとからですから!!・・・・お母さんに連絡するの忘れてました」
確かに、雲雀さんに比べたら、私なんてアレかもしれないですけどね、そんな風に言わなくてもよいと思うんですけど。口には恐ろしすぎて出せないから心の中で訴える。横目で雲雀さんの顔をうかがえば、長いまつげに、暗闇の下でも光るような白い肌、少し目つきは悪いけど綺麗すぎる顔。・・・・その隣に居るのは雲雀恭弥の妹歴一日の普通な顔な私。不細工って言われても仕方が無いか。(悲しいけど自分でも納得!)
「母さんには連絡したから心配しないで良いよ」
「あ、ありがとうございます」
「あと、今日の夕食はシチューだって」
「(やった!!)」
「(嬉しそう)・・・・そんなに嬉しい?」
「えへへ、お母さんのシチューは世界一美味しいんですよ!!」
「へぇ、それは楽しみだな」
少しだけ嬉しそうに笑う雲雀さん。なんだ、ちょっと今の会話、兄妹っぽくないか?まだまだ少し、ぎこちない様な気もしないことも無いけれど、兄妹なりたてってこんなもんだろう。始めは雲雀恭弥にすぐに咬み殺されるなんて思ってたけど、いま、まだ私は咬み殺されていないし、あのトンファーで殴られてもいない。そう思ったら、雲雀さんは私のことを少し妹として認めてくれてるのかもしれない。これって自意識過剰なのかな?いやいや、そんなはず無いよね。って、そう信じたいんだよね!!
満天の星空の下、暗い道を2人で歩いているとなんだか、とてもドキドキしてきた。ドキドキって言っても、あの甘酸っぱい雰囲気の中、思春期の女の子が想像するようなドキドキじゃなくて、別の(怖くて)ドキドキなんだけどね!!
あぁ、でも、もしも、私と雲雀恭弥が2人で帰ったのが明日バレていたら、みんな友達でいてくれるかな?(うん、みんな私から離れていくような気がするよ!)京子ちゃんや沢田くんなんかは優しいから友達でいてくれるって信じることにしよう・・・お願いだから、今日のことが私達の2人の秘密でありますように!!
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(2007・06・16)