迷子の末の遅刻者の罰則?!
すっかり遅刻したことを忘れていた私は馬鹿だ。吉田から笑われるのも仕方がないかもしれない。いや、それはそれでムカつくんですけどね!!だけど、実際私が今向っているのは恐れ多い応接室で、先ほどの放送が私の頭の中を何回も駆け巡っている。もう、それもうんざりするぐらい。あぁ、なんでこんな事になったんだろう・・・うん、本当は理由は分ってます。そう元はと言えば、遅刻した私が悪いんです。
『2年A組のは急いで応接室へ』
放課後、帰ろうと思った矢先に正直これはきつい。友達と帰る予定なんて無かったけど(アレ、私可哀想じゃない?)、この放送がかかった瞬間のクラスメイトの顔はこの先、一生忘れることは出来ないかもしれない。だって、明らかにご愁傷様って顔してたんですよ?!中には京子ちゃんみたいに心配してくれた子もいたけどね。それにしても、遅刻したのは私以外にもたくさんいるはずなのに、私だけ応接室って何かイジメか何かなんですか。教育委員会に訴えますよ!!・・・って、訴えても雲雀さんに敵う気がしないのは何故なんでしょうね?それにお父さんにも悪いし、私が雲雀さんを訴える日なんて一生来るはずもないと思います。一応、仮にも私の兄でもありますしね。
応接室に近付くに連れて、人通りは少なくなってくる。そりゃ、誰も好んで応接室に近付くやつなんてこの学校に居るはずがない。私だって、帰りたくて帰りたくてたまらないし。あぁ、応接室がだんだんと近付いてくる。(って、実際近付いているのは私なんですけど)見えてきた応接室の前には風紀委員が2人、背筋をちゃんとのばして立っていた。どうせなら、まだ吉田が立っていてくれた方が良かった。吉田なら、多分この人たちみたいに怖い顔じゃなくて笑顔で迎えてくれたと思うのに。強面の風紀委員は私が近付いていることに気付くと、私のことを見下ろしながら品定めするような目で見てきた
「お前がか」
「(怖っ!!)・・・はい、そうです」
「委員長がお待ちだ」
そう言って、応接室のドアが開けられる。もう、私に逃げ場所なんてないらしい。夕焼けに照らされた応接室のなかに、一歩踏み込めばすぐにドアは閉められた。いや、閉められたって言うか、ドアが普通に閉まっただけなんだけど今の私には、そんな風に感じられてしまう。(まるで、応接室に閉じ込められた気分だ。)奥の机には雲雀さんが座っていて、私が中に入ったのに気付くと顔を上げた。
「君、馬鹿でしょ」
「・・・は?」
思っても見なかった言葉に、私は間抜けな声がでる。だって、殺されると覚悟して入った応接室で急に馬鹿発言されたら誰だって驚くに決まってる。それにしても、いきなり人を馬鹿呼ばわりするなんてなんて奴なんだ!!まぁ、確かに成績はそんな良い方じゃないけれど(赤点とったこともあるし)、雲雀さんよりは一般常識はあるはずですよ。学校でトンファーを振り回したり、気に入らない奴を急に殴ったりしませんしね。それに人のこと急に馬鹿なんて言ったりしませんし。人間、勉強面は悪くてもちゃんと常識があるなら良いじゃないかと思います。べ、べ、べつにひがんでるからこんな事言ってるわけじゃありませんから!!
「今日、遅刻してきた理由は?」
「あはは・・・」
「早く言わないと咬み殺すよ」
この男・・・!!仮にも妹に向って、咬み殺すなんていうなんて酷すぎません?!しかし、この場合何ていったら良いんだろう。寝坊?それとも、迷子?吉田に笑われたことを考えると、ここは寝坊と答えておくのが一番良いと思うんだけど、それはそれで雲雀さんの反感を買いそうで怖いんです。まぁ、遅刻してきた時点でもう私の人生終わったようなものなんですけどね。それにもうどうせ殺されるなら笑われる必要もないし、ここは寝坊ということにしとこうと思います。さよなら、私の14年間!!
「寝坊「嘘でしょ」・・・いやいや、そんな事ありませんよ!!立派な寝坊ですよ!!」
「へぇ、じゃあ吉田がいってた事は嘘なんだ」
「(吉田!!お前、雲雀さんに何言ったんだよ!!)」
私が寝坊ではなく、迷子になって遅刻したことを雲雀さんは知っていたらしい。なら、最初から聞くなよ!!って思うけど、さすがに雲雀さんに言ったら後が怖いから、ここは原因となった吉田に復讐をしようと思う。あいつ平風紀委員かと思ってたのに、何気に雲雀さんと仲が良かったのか・・・・あれ、でも雲雀さんって群れたりするのが嫌いらしいから、仲が良いって言い方はおかしいかな?雲雀さんは、はぁとため息をつくと視線を自分の机の上にある書類にうつした。
「君にはこの書類を手伝ってもらうから」
「(えぇぇぇぇ?!)」
「遅刻者には罰則をうけてもらわないといけないからね」
そう言って渡されたのは山積みにされた書類の山。え、これ今日中に終わられるなんて無理なんじゃない?だけど、これを終わらせないことには私は帰ることはできないんだろうな。うん、頑張ろう自分。(断ることなんて初めから頭にない。だってまだ死にたくないもの!!)だけど、なんで私だけここで仕事をうけるんだろう。他に遅刻した人もたくさん居たのになんで私だけ?
「あ、あの他の遅刻した人は」
「聞かない方が良いんじゃない?」
雲雀さんは口端をあげて、笑みを浮かべながら言った(いや、笑みと言って良いか分からないぐらい別の意味で怖い顔だった)私はある意味、運が良かったのかもしれない。だって、この顔は絶対良くないことを考えてる顔でしたよ。2時間ドラマの犯人もびっくりって顔で、何をさせているんだろうか。いやいや、今がこの自分の山積みにされた書類のことを考えよう。「ギャー」・・・・うん、今の声も聞かなかったことにしよう。そうすれば、まだ私のゲームオーバーは来ないはず・・・・だよね?!
Next
この作品が面白いと思った方はココをクリックしてください。
(2007・06・15)