次の日の朝、目が覚めると、何故か5時にセットしたはずの目覚ましは朝の7時をさしていた(えぇぇぇ、なんでぇぇぇ?!)どうやら、無意識のうちに目覚ましを止めてしまっていたらしい。あぁ、どうしよう!朝早くから風紀の仕事くを頑張る雲雀さんの為に美味しい朝ごはんを準備しようと思ったのに、それに昨日の夜のうちに準備しておいたお弁当もちゃんと朝作ろうと思っていたのに・・・・・!む、無念!なんて今さら思っても仕方ないと思った私はゆっくりとベッドから起き上がり学校に行く準備を始めた。寝ぼけながらもしっかりと制服に着替えて手櫛で髪の毛を整えながら下に行けばそこには、もう人の気配なんてなかった(雲雀さん、学校行っちゃったよね)






まぁ、雲雀さんに朝ごはんを作ってあげることは出来なかったけど、お弁当ぐらいならと思った私はテレビの上にある時計を確認した。時刻はさっきからまだ10分も経っていない(女の子にしては準備の時間短すぎるよね!)これなら、お弁当を準備しても間に合うだろう。それに下準備は昨日のうちに終わってる。
















「(よし、じゃあ雲雀さんの為にお弁当を!)」
















朝ごはんは作れなかったからそのぐらいしないと!と思った私は空腹を訴えるお腹にとりあえずお弁当を作るよりも朝ごはんを食べないといけないなーと思い台所の方へと移動した(いや、朝ごはんって食べないと一日つらいし!)





しかし、ふと、テーブルの上にお茶碗やお皿が並べられているのを見て、私は首をかしげた。昨日、確か雲雀さんも片付けるのを手伝ってくれてちゃんと片づけをしたはずなんだけど、と思いながらテーブルに近付けばそこには鮭やサラダがラップをかぶせられて準備されている。い、一体これは何事?!と思い驚いていれば、メモ紙が置かれていることに気付いき、私はそのメモ紙に手を伸ばした。どうやら、そのメモ紙は並盛中学のメモ紙らしい。メモ紙の下にはしっかりと並盛中と記されていた。














「えっと、"僕はもう行くから朝食ちゃんと食べて来るんだよ"・・・・・って、えぇぇ














こ、これって、も、も、もしかしなくても雲雀さんが準備した朝ごはんなんて言いませんよね?!って、いやいや、そ、そんなまさか!だ、だって、雲雀さんが朝ごはん作るって、え?!本当に、えぇ?!って展開なんですけど!と驚いていても何も始まらないので私は置かれていた自分のお茶碗にご飯を、そして準備されていた私一人分の味噌汁を温めた。一人分しか入っていなかった味噌汁はすぐに温まり、私は自分の椅子に腰をおろす「いただきます」と、一人で言うのはとても寂しい気持ちがしたけど、目の前にはあの雲雀さんが用意してくれたご飯があって私は無駄に頬が緩んだ(一人でニヤけるなんて、私って気持ち悪い!)箸を持ち、鮭を口にいれる。そして、わかめの味噌汁を一口。



















「・・・・・美味しい」















なんと言うか、もしかしなくても私が昨日作ったハンバーグより全然美味しいかもしれない。そりゃ、ハンバーグとわかめの味噌汁を比べるなんて間違ってるかもしれないけど、だけど雲雀さんが作ったと思われる味噌汁や鮭は普通に私のご飯よりも美味しかった。昨日、雲雀さんに美味しいなんて言われて調子に乗りすぎてしまったかもしれない(本当に雲雀さん、私のハンバーグ美味しいって感じてくれたのか、な)私なんかが料理を作るよりも雲雀さんが作ったほうが全然良いんじゃないか、と思いながらも箸を進めればいつの間にか食事は綺麗になくなっていた。







お弁当を作るか迷ったけれど、自分のを作るついでだ、と思い一応雲雀さんの分も準備した。でも、何故か私はこのお弁当を渡せる気がしなかった。

































学校に行けば、風紀委員がいつものように校門で服装検査をしていた。少しだけ雲雀さんを探してみるもたくさんいる学ランの風紀委員の中に雲雀さんを見つけることはできなかった(まぁ、校門はかなりの生徒がいるし、しょうがないか)少しだけ落胆する気持ちに喝をいれて、私は校門を通り過ぎる。鞄の中には私のよりも少し大きな雲雀さんのお弁当。もって来たのだから渡した方が、とも思うけれど、美味しくないものを無理に食べてもらうのも、と思う気持ちが交差する。







いや、別に自分で作ったお弁当が美味しくない事はないと思う。ただ朝のあれだけ美味しい雲雀さんのご飯を食べた後では、私が作ったものに雲雀さんが満足してくれるとは思えない。それなら購買の焼きそばパンでも食べた方がよっぽど美味しくて満足できるんじゃないかと、思ってしまう「?」名前を呼ばれて振り返ればそこには吉田の姿があった。こいつ、いつの間に、と思えば「委員長ならいないぞ?」と笑いながら言われた。













「えぇ、なんでそこで雲雀さんがでてくるの?!」













驚きながらも回りの人たちに聞こえないような声で言えば、目の前の吉田は少し驚いた様子を見せた。ただでさえ、突然の吉田の登場で驚いていると言うのに吉田の口から出てきたのはその言葉。驚きたいのは私のほうだ、といってやりたい。だけど、吉田は驚いた顔からまるで可哀想なものを見るような目で私を見てきて、私は何も言えなくなった(なんで、こんな目で見られないといけないんだ!)

















「お前、本当・・・・・馬鹿だよ、な」









「吉田、なんでそんな哀れんだ目で見てきてるわけ?なんだかムカつくんだけど」















私が言えば吉田はさらに私を可哀想なものを見るような目で見てきた。非常に殺意が芽生えてくるんだけど、風紀委員と話しているだけで少し注目されているのにここで吉田を叩いたりしてしまえば、私はきっと明日の朝日が見れなくなってしまうことはもう分かりきったことだ。とりあえず睨むだけ睨んで、私は吉田に別れを言って歩き出した「まぁ、頑張れよ」と、別れ際に吉田に言われたのだけど、私としては何を頑張らなければいけないのかは分からない。教室に行く間に考えるもその答えはでない。
















「あら、おはよう」









「あ、おはよう花!」


















教室のドアを開ければドアのすぐ近くにいた花に話しかけられた。その事で、私は吉田から言われた言葉の意味を考える事はやめた。きっと、今私がどんなに考えたとしても答えはでないに決まっている。今の私にとっては吉田の言葉の意味よりも、雲雀さんにこのお弁当を届けるか、届けないかの方で頭が一杯だ。だけど、どんなに考えても届けた方良いのか、それとも届けない方が良いのか答えはでずに私は、思いきって花に聞く事にした。
















「ねぇ、花。もしさ、自分の方が美味しいものを作れるのに、友達が何か作ってくれたらどう思う?」








「・・・・・あんた、朝から何言ってんの?」













私の言葉に花は呆れたような顔をした(そ、そんな顔しないでよ!こっちは真面目に悩んでるんだからさ!)さすがに、お兄ちゃんにって言うのはあれだったから、友達に変えて言ってはみたものの、花はこちらを見て少し嫌な笑みを浮かべた。もしかしたら、私が何を考えているのかバレてしまったかもしれないと思いつつ花のほうを見ていれば花はニッコリと笑って「そりゃ、自分の大切な人からだったらどんな料理でも嬉しいんじゃない?」と、言った。確かに、もしも私の方が雲雀さんより料理が上手だったとしても、私はきっと今日、準備されていた朝食に間違いなく喜んだ事だろう。でも、それは私にとって雲雀さんが大切な人だから嬉しいと、思ったんだ。じゃあ、雲雀さんは?雲雀さんは私のことを大切に思ってくれているんだろうか。














(雲雀さんは優しいと思う、けど)













雲雀さんは優しい。だけど、だからと言って私の事が大切、と安易に考えてしまうのもどうかと思う。
















が悩むなんて珍しいわね」














花の言葉に私は苦笑いしか返せなかった。確かに私が悩むなんて珍しい。それも、以前の私ならまさか雲雀さんのことで悩むなんてとても考えられなかったことだろう。いや、正直今でも考えられない。なんで、私はこんなに雲雀さんのことで悩んでるんだろう、と思う






「あんたが悩んだ所でまともな答えなんてでないんだから、悩んでないで行動したら?」・・・・・・・ちょっと、酷いと思う花の言葉。だけど、その言葉に花なりの優しさがつまっていることに気付いて、私は「ありがとう、花」と言った。花やゆっくりと微笑み口を開く。「別に。今度詳しい事教えなさいよ」詳しいことって、雲雀さんの妹になったことを言えば良いんだろうか。それとも、今雲雀さんのことで胸が一杯なことを言えば良いんだろうか。どちらにせよ、驚かれる事は間違いないだろうとは思う(なんだか、雲雀さんのこと考えたらドキドキしてきたんですけど!)











ドキドキが止まらない!













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(2008・02・22)