今日の晩御飯はハンバーグで決まり!
雲雀さんにドアを開けてもらい、応接室へと私は足を踏み入れた。雲雀さんにドアを開けてもらえるなんて凄くない?本当に凄くない?(紳士的だね、雲雀さん!)と思いながら応接室を見渡す。まさか、この部屋に自分から雲雀さんを尋ねてくることがあるなんて思いもしなかったな。前来たのは、あれは確か雲雀さんに美味しい紅茶を入れてもらって時だっけ。あの時の雲雀さんの笑顔を思い出して、少しだけ顔が赤くなった。だって、あの時の雲雀さんはとてもかっこ良かったんだよ!
「(いやいや、落ち着け私!)」
さすがに顔が赤いまま雲雀さんと話すわけにはいかないぞ、と思い私は先ほどの吉田のことを思い出すことにした。ドアが頭にぶつかった瞬間の吉田の顔を私はきっと忘れる事はできないと思うよ。なんか、結構男前の顔してたのに完全にもう、ギャグ漫画の世界の顔だったし!だけど、少し可哀想だったなぁ。涙目にもなってたし、本当に痛かったんだと思う。あそこまで良い音なんて中々聞いた事がない。やっぱり無視をしたまま応接室に入ってきたのは可哀想だったかもしれない「」名前を呼ばれて顔をあげれば、雲雀さんがこちらを振り返っていた。あぁぁぁ、あの時の雲雀さんの笑顔を思い出しちゃうじゃんか!
「(落ち着け、落ち着くんだ・・・・・!)」
「・・・・それで、何しに来たの?」
雲雀さんの言葉に一瞬だけ思考が止まる。あぁ、そうだ、私は雲雀さんに今日の晩御飯が何を食べたいか聞きに来たんだった。私としたことがそれをすっかり、吉田が思いっきり頭をぶつけた事で忘れてしまっていた。それに、今考えれば私はとても下らない理由でここに来てしまったのかもしれない。だって、たかが晩御飯何を食べたいか聞くだけで応接室まで来るなんて、どれだけ馬鹿なんだ。いや、まぁ、今悩んだんだって来ちゃったもんは仕方がないんだけどさ!それでも、雲雀さんに迷惑がかかることをもうちょっと考えとけば良かったと、思う。これからは思いついたら即行動は控えることにしよう・・・・・(うん、いつも花にも注意されるしね)
「あ、えーと、ですね、えっと・・・・・ひ、雲雀さんは御飯何が好きですか?!」
「・・・・・・」
「えっと、その晩御飯雲雀さんが何を食べたいか分からなくて、」
聞きにきました、と最後の方はほとんど言葉にならなかった。いや、だって、きっと雲雀さんもたかがこのことを聞きに来たのかよって呆れてると思うんだよ!チラッと顔をあげて雲雀さんの顔を見れば、私の予想とは反して雲雀さんは少しだけ驚いた顔をしていた。あぁ、呆れる前に、こいつこんな事聞く為にここまで来たのかよって驚いているんだよね!私のあまりの馬鹿さ加減に驚いているんだよね!少しだけ恥ずかしくなって私はまた顔を下に下げた。こんな恥ずかしい思いするぐらいなら、やっぱり電話で聞けば良かったなーなんて考えていれば「和食」と雲雀さんの声が聞こえた。その声に私は下げていた顔を上げる。
「僕は、和食が好きだよ」
「・・・・・わ、和食ですね!」
雲雀さんは和食を好きなのか!雲雀さんは呆れることなく、私の質問に答えてくれた。その事が嬉しくて、少しだけ、口元が緩んだ。それに、雲雀さんが和食を好きだ何てピッタリだ。だって、雲雀さんってイメージ的に確かに和食が好きそうなイメージがあるし、焼き魚食べるのも綺麗に食べそうな感じだし(って言うか、実際に食べるの綺麗なんだよね!)
「あ、あと、他に食べたいものとか、あります・・・・・?」
「他に、ね」
私が聞けば、雲雀さんは私から顔をそらした。え、なんで、ここでそらしちゃうの?と思いつつ、雲雀さんのほうをジッと見つめておけば、「ハンバーグ」と小さな声で雲雀さんが呟いた。いやいや、でもまさか雲雀さんがハンバーグなんて好きじゃないだろ。私はハンバーグ大好きだけどさ!それにあまりに小さな声で、聞き間違いだよね!と思って雲雀さんを見ていれば、視線だけこちらにうつして(な、流し目王子だ・・・・・!雲雀さん、色っぽいです!)もう一度、今度は普通に聞こえるくらいの声の大きさで、答えた。
「だから、ハンバーグだよ」
「(ひ、雲雀さんがハンバーグって・・・・・・!)」
わ、私の聞き間違いじゃなかった!本当に雲雀さんはハンバーグが好きらしい。まさか、雲雀さんがハンバーグ好きだなんて、と思い一瞬驚いた。だけど、少しだけ雲雀さんを可愛いと思ってしまった。こんなこと、年上の男の子に思うなんて失礼かとも思ったけど、私は確かに雲雀さんが可愛いと感じた。でもさ、天下の最強風紀委員長がさ、ハンバーグ好きだ何て考えられないよね!むしろ、信じられるわけがないよ!
「・・・・なに、僕がハンバーグ好きなのに文句があるわけ?」
「いやいや、そんな文句なんてあるわけないですから!!わ、わ、私もハンバーグ大好きですから!」
「ふーん、そう」
「は、はい!じゃあ、今日の晩御飯はハンバーグ作りますね」
ハンバーグなら作るのも簡単だし、きっと美味しいハンバーグができるはずだろう。それに、私雲雀さんの為に頑張ってハンバーグを作ってみせるよ!と心の中で覚悟を決めて、雲雀さんに言った。とりあえず今日の晩御飯のメニューが決まった事に安心して、私はホッと息を吐いた。だけど、今日は雲雀さんは何時ぐらいに帰ってくるんだろう。あんまり遅いと、私晩御飯食べないで待っておく自信ないな(いや、そこまで食い意地がはってるわけじゃないんだよ!ただ、あんまり遅いとお腹減っちゃうし!)それに、一人で御飯を食べたなくない。できることなら、雲雀さんと一緒に御飯を食べたいと思う。
「あの、雲雀さん、」
「なんだい?」
「・・・今日も遅いんですか?」
聞いた瞬間、やってしまった、と思った。雲雀さんが驚いた顔をしているし、私の声は思ったよりも暗くて、これでは早く帰って来てくださいと言っているようなものだ、と思えた。雲雀さんにだって、仕事がたくさんあるのに、そんな事言える訳がないんだ。私はハッとして笑顔をつくり、目の前にいる雲雀さんを見た。
「あ、えっと、ほら、雲雀さんが帰ってくる時間に合わせてハンバーグ作ろうかなって思ったんですよ!やっぱり作りたてを食べて欲しいですから!」
「、」
「用事はこれだけなんで、もう教室に戻りますね!じゃあ、お仕事頑張ってください!」
そう言うと私は踵を返して、応接室のドアを思いっきりあげた。そして、ドアを丁寧に閉める。はぁ、と息を吐き、私は雲雀さんにやっぱり迷惑をかけてしまったかなぁと思った。でも、あの言葉は本音だったんだ。早く帰って来て欲しいと思ったから。一人であの大きな家で雲雀さんを待つのは寂しいから、素直に帰って来て欲しいと思った。だけど、私が寂しいからって雲雀さんが風紀の仕事をしないで帰ってくるなんてことはない。それに、私だって別に風紀の仕事を投げ出す事を望んでいるわけじゃないんだ(ただ、雲雀さんがなるべく早く帰って来て欲しいと望んでるだけ)
「おい、?」
「あー、さっき涙目になってた吉田だ!」
「おま、それは言うな!!」
「あはは、あれはカナリ良い音させてたからね。頭大丈夫?」
「その言い方はやめろ。まるで俺の頭がやばいみたいに聞こえるから、不愉快だ」
「(あながち間違ってないと思うんだけどなー!)」
「おい、」
吉田と話していればもう一人の風紀委員の人に話しかけられる。すいません、すいません、吉田とはしゃぎすぎましたか?そ、それで怒ってるんですよね、と少しビクビクになりながらその風紀委員の人の言葉を待てば、「もう委員長への用事は終わったのか」の一言。私はその言葉に「あ、はい」と頷いた。その後教室に戻った私を、花と京子ちゃんが笑顔で迎えてくれた。いや、花は嫌ーな笑顔だったけど
「お兄さんのところに言ってたの?それとも、彼「兄です。兄です。彼氏なんていないから・・・・・!」」
涙目になりながら訴えれば、花はなんとか納得してくれた。あぁ、もうなんですぐに彼氏に結び付けるんだよ!私なんかに彼氏がいるわけないだろ!と思いつつ、私は5時間目の授業が始まるまで女の子の会話に花をさかせた。本当は吉田涙目事件を花や京子ちゃんに話したくてたまらなかったけど、それを話したら確実に私が応接室に行ったことがバレてしまうということで必死に我慢した(天下の風紀委員が涙目になるなんて滅多にないよ!)さて、今日の晩御飯はハンバーグに決まった。雲雀さんの為に腕によりをかけて作ってみせるよ!
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(2008・01・01)
年初めの更新はこれだぁい!