頭に浮かぶのはいつも・・・・・・?
朝起きて、歯を磨き顔を洗い、昨日出しっぱなしにしていた机の上の教科書を鞄の中にしまう。階段を降りてリビングに行けばそこには、お母さんとお父さんの姿(あぁ、やっぱり雲雀さんは今日ももういないんだ)自分の為に用意された朝食の前に腰を下ろし、ゆっくりと牛乳に口をつけた。あー、今日の牛乳も美味しいなぁ。そういえば、雲雀さんって食事何が好きなんだろう。雲雀さんが嫌いなものを出したりして咬み殺されたりしないかな、あはは!って、ありえそうで恐いんだけど!!そんな事を考えながら、お父さんを見ればお父さんと目があった。
「」
お父さんに名前を呼ばれて顔をあげる。一体何の用事だろうと思い、お父さんを見れば、お父さんはそっと飲んでいたコーヒーをテーブルの上に置いた。いつもの朝と違いお父さんは、スーツなんかじゃなくて、もっとフォーマルな格好をしていた。
「(どうしたんだろう?)」
「・・・・・・恭弥は、カンパチやヒラメのえんがわが好きだよ」
お父さんの急な一言に私の思考は一瞬とまる。私、雲雀さんが何が好きか考えてるってお父さんに一言でも言ったけ?この親子は二人揃って私が考えていることが分かるらしい(やっぱり雲雀さんのお父さんなだけあって、普通の人とは違うのかな・・・・?)それにしても、雲雀さんは、カンパチやヒラメのえんがわが好きなんだ。それなら山本くんに頼んで山本くんに作ってもらった方が良いかもしれない。だって、確か山本くんのお家って寿司屋さんだったような気が。いやいや、だけど、そんな事頼んだら私が雲雀さんの妹だってことがバレてしまうじゃないか!!じゃあ、山本くんに作ってもらうっていう案は駄目だな、と一人納得していればお父さんは微笑んだ。
「恭弥はが作ったものなら何でも喜んで食べると思うよ」
「あはは、(そうだと嬉しいんですけどねー)」
本当に、そうだとしたらとても嬉しいというか、こっちも何を作るか悩まずにすんで助かるんだけど、さすがに私が作ったものをなんでも喜んで食べてくれるなんてことはないだろう。雲雀さんってなんだか見た目、美食家って感じがするし。まぁ、とりあえず、今お父さんに聞いたものを参考に・・・・・って、それよりも雲雀さんに何が食べたいか聞いたほうが確実なんじゃないの?なんだよ、私の馬鹿!もっと早くその事に気付けよな!家だったら、学校よりも話かけやすいし、聞きやすかったに違いないのに、もう雲雀さんは学校に行っちゃってるよ!!応接室まで行くのって勇気がいるんだよね、と考えればお母さんに名前を呼ばれた。
「良い、?ちゃんと恭弥くんの言う事聞くのよ」
「恭弥がいないときはしっかりと鍵は閉めておくんだよ」
「うん(雲雀さんがいるときは鍵閉めなくて良いの・・・・?まぁ、確かに、誰か入ってきても雲雀さんがいれば大丈夫とは思うけどさ!)」
「あとは、」
と、何故かすごく色々私に言ってくるお母さんとお父さん。それだけ私が心配ってこと?それとも、私そんなに頼りないって事?普通、「料理して指切ったらちゃんと治療するのよ」なんて、言わなくても良いと思うんだけど。どれだけ、私って何も出来ない子として見られているんだと、二人にはバレないようにハァとため息を吐いた。お母さんも、お父さんも、こんなに私のことを心配してたら、折角の旅行も楽しめないよ(だから、そんなに私のことは心配しなくても大丈夫!私だってやる時はやる女なんだから!)
「じゃあ、いってきます。お母さんも、お父さんも楽しんできてね!」
「えぇ、お土産沢山買ってくるからね」
「いってらっしゃい」
笑顔で家を出て、学校へと急いで行けばなんとか、遅刻する前に学校に着くことが出来た。多分、あのままお母さんとお父さんの話を聞いたままだったら絶対に遅刻していたに違いない(私が止めるまでずっと話してたんだよ。それもすべて注意とかだったけど)だけど、もし遅刻していたらまたあの日のように雲雀さんの手伝いをする事ができて一緒に帰れたかもしれないんだよね。だとしたら、ちょこっと遅刻したら良かったのにと思えた。家に帰っても一人だし、それなら・・・・・・いや、だけど、どうせ私の手伝いなんて雲雀さんにとっては迷惑なだけかもしれない。
「(よし、迷惑をかけるぐらいなら今日は家に帰って雲雀さんが驚くぐらい美味しいものを作っておこう!)」
どうせなら、邪魔になることより雲雀さんの役に立つ事がしたい。そう思った私はきっと風紀の仕事で疲れて帰ってくるであろう雲雀さんの為に美味しい晩御飯を作っておこうと、思った。その方が、私が遅刻して雲雀さんの手伝いをするよりも、雲雀さんはずっと喜んでくれるはず(そうと決まれば、応接室まで行って雲雀さんに何が食べたいか聞かないと!)だけど、いつ応接室に行こうかな?それに、いつも雲雀さんが応接室にいるとも限らない。こんなことなら、雲雀さんに何か連絡する手段を聞いておけば良かった。なんて今さら後悔してももう遅い。
「だけど、雲雀さんって携帯なんて持ってるのか、な?」
「ヒバリさんなら携帯持ってるよ」
「あ、そうなんだー。って、沢田くんっっ?!」
「(ビクッ!)あっ、うん。さん、おはよう。それにしてもヒバリさんの携帯がどうかしたの?」
や、やばいです。どうやら私が思わず発した一言を沢田くんに聞かれてしまったみたいです。どうやってごまかそうと考えてみて、私は咄嗟に「い、い、いや、ね、ほら、雲雀さんが携帯持ってるところなんて想像できないから、どうなんだろうって、ね、お、思っただけなんだよ!!」と言っていた。雲雀さんが携帯持ってるところが想像できないなんて、ちょっと雲雀さんには失礼なことを言ってしまったと思ったけれど、でも実際に少しだけ思っていたことだから、嘘は言っていない(それにしてもどもりすぎだよね・・・・!)
「そっか。急にヒバリさんの携帯が、なんて言いだすからヒバリさんと知り合いなのかと思っちゃった」
「あは、は、そんなまさかー!!(なんて、そのまさかなんだよ!!)」
微笑む沢田くんが少しだけ憎らしかった。さりげなく言った一言だけど、大正解だよ・・・!(すごいね、沢田くん。沢田くんを見る目が少し変わりそうだよ!)しかし、どうして雲雀さんが携帯を持っているところを知っているんだろう、妹の私でさえ知らなかったのに、と少しだけ寂しい気持ちになった。まぁ、だけど雲雀さんが携帯を持っているなら、これから連絡とかは大丈夫だよね!!
「(昼休みでも、応接室に行こうかな)」
応接室に行って、雲雀さんが何を食べたいかと、雲雀さんの携帯の番号を教えてもらう事にしよう。雲雀さんの携帯の番号を聞けたら、いつでも雲雀さんと連絡を取り合うことができる。そうなれば、少しは家に帰って一人でも安心できると思えた。だって何かあったら、すぐに雲雀さんに連絡ができる。これだけ、心強い事ってなかなかないことだよ!だけど、雲雀さんも忙しいんだから、そんな頻繁に連絡はできないよ、ね。
「、おはよう」
「おはよう、ちゃん」
「おはよう、花に京子ちゃん」
花と京子ちゃんに話しかけられて、私はとりあえず雲雀さんのことを考えるのをやめた。どうせ、今考えたって無駄な事なんだ。昼休み応接室に行かないと何も始まらないし、放課後一人だったとしても、もしかしたら寂しいと思うこともないかもしれないし、雲雀さんに連絡するような事も何一つ起こらないかもしれない。大丈夫、と自分に言い聞かせる。チャイムが鳴るまで私は二人と会話を楽しみ、再び自分の席について考える事はまた雲雀さんのこと。今日の私はなんだか、雲雀さんのことで一喜一憂しているような気がした(なんで、なんだろう)
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(2007・12・09)