雲雀恭弥の妹、初めての遅刻!!
昨日、考えぬいた末、雲雀恭弥のことは雲雀さんと言わせてもらうことにした。だって、やっぱりお兄ちゃんなんて怖くて言えるわけないし、恭弥さんと言うのも怖くて言えるわけないし・・・てか、全部怖くて言えないって理由で、普通に雲雀さんって呼ぶことにしたんですけどね!!だけど、家の中じゃ、私以外、雲雀さんなわけでどうしようかと思ったりもしたんだけど、よく考えたら私と雲雀さんの接点なんて無いに等しいし、そこまで考えても、呼ぶことなんてないかなって思うわけですよ。現に、雲雀さんは朝の早くから学校に行ったみたいで、私が起きた時には既にいなかった(正直助かったって思っちゃいましたよ!)
朝ごはんを食べて、時計を見ればまだ学校に向うには早い時間だった。いつもの私なら、もっと遅くに家を出るんだけど今日はそうも言ってられない。少し早いかと思いつつも私は鞄を手にとり家から出て行く。もちろん、昨日から新しく家族になったお父さんにも声をかけて。昨日、頼んだおかげで私はのままだけど、お父さんはお父さんって呼んで良いって言ってくれた。そんなお父さんに感謝しつつ、私は新しい家から学校へと向う。
「じゃあ、いってきまーす」
お母さんにも声をかけて、玄関から出て行く。あぁ、今日も良い天気だ。こんな天気の良い日は、やっぱり屋上でご飯を食べるのが最高かななんて考えつつ、私は地図を頼りに学校へと向う。初めて通る通学路はなんだか新鮮な感じで足取りも軽く、気分も良い。まだ通学時間より少し早い時間だから、人なんてほとんど居ない。朝のすがすがしい風を全身に当たりながら、私は学校へとゆっくりと向っていた。
そう、向っていたのはもう、一時間も前の事
初めて通る道でも地図があれば大丈夫と思ったのは、確か昨日のことだったと思うけれど、そんなことを思った自分を殴ってやりたい。なぜなら、私は現在進行形で学校へと行く道で迷子になってしまったから。そろそろ学校の始まる時間が迫ってきているのは、鞄の中にある携帯が知らせてくれる。ヤバイ、ヤバイと思うのだけど、一向に学校へと向う道は分らない。いつも風紀委員が校門で遅刻者のチェックを行なっているのは並盛生で知らない人は居ない。そんな中、遅刻なんかした日には、私に明るい明日は無いかもしれない。仕方がない恥をしのんであそこにいる変な髪形の人に聞くしかない!!
「す、すみません!!」
「僕に何かご用ですか?」
「えっと、並盛中ってどこにあるか分りますか?!」
「あぁ、並盛中ならこの道を真っ直ぐ行けば見えてきますよ」
「ありがとうございます!」
これで学校に行ける・・・!!とりあえず、変な髪形の人にもう一度頭を下げて私は言われた道を進んだ。あの人、変な髪形にしては普通の人よりも物腰も丁寧でよい人だった。やっぱり世の中捨てたものじゃないね!!
変な髪形の人に言われた通りどんどん進めば、そこには求めて止まない並盛中があったのだけど、私が並盛中を見つけた瞬間、私の命の終焉を伝えるチャイムが鳴り響いた。さよなら、マイ・ライフと心の中で嘆きながら私は風紀委員の待ち構える校門へと足を進める。途中、右足と右手が一緒に出たりもしたけれど、まぁそのぐらい動揺するのも仕方がないことなんだよ。なんてたって、遅刻者にはすんごい罰が待っているらしい。らしいって言うのは今まで風紀委員が怖くて、遅刻したこと無いから実際には分らないんだよ!!
「?」
「・・・吉田じゃないですか」
かけられた声に振り返れば、そこには黒の学ランをまとい、風紀委員と書かれた腕章をした、同じクラスもとい隣の席の吉田がいた。吉田は確かに風紀委員だけれど、私とは実は小学校からの友達だったりして仲は良い。先に言っておくが、彼とはただの友達であって、思春期の女の子が想像するような事は一切無い。はっきり言ってそんな想像、私にとったら迷惑以外の何者でもない。だから、そんな想像するやつが居るのなら死んでしまえば良い
「遅刻者チェックしてるんだけど、お前が遅刻するなんて珍しいな」
「私だって、遅刻なんてしたくなかったんですよ」
「寝坊か?」
「違います」
「じゃあ、理由は」
「・・・・道に迷ったんです」
その一言を言った瞬間、吉田の顔は何ともいえない私を馬鹿にしているとしか思えない顔になった。この男・・・!!私がどんな思いでここまで来たと思っているんだ。今にも笑いだしそうな吉田を一瞥しながら、私はやっぱり正直に言わなければよかったと思わずにはいられなかった。寝坊の方がまだ、言い訳としては恥かしくなかったかもしれない。てか、絶対に寝坊って言った方が良かったに決まってる。
「もう笑ってないで、さっさと解放してください」
「はいはい、ほら。もう行って良いぞー」
未だ笑ったままの吉田にいつか絶対復讐してやると心の中で近い、私は教室への道のりを急ぐ。教室に着けば、既にホームルームは終わっていて、みんな一時間目の準備を始めていた。私は友達に声をかけながら急いで自分の席に向った。みんな私が遅刻したことに驚いて、可哀想な子を見る目で私を見てくるからちょっと心配になった。だけど、京子ちゃんが「心配しないでも大丈夫だよ」って言ってくれたから、大丈夫だと信じる。ありがと、京子ちゃん!!私は心の中で京子ちゃんにお礼を言いながら、一時間目のチャイムがなるのを待つ。
あれ、そういえば、今日は雲雀さんは校門に立っていなかった。もしかして私、今日ラッキーなのかもしれない・・・って、でも私が遅刻したって結局はバレるんじゃない?あはは、これってヤバイのかな?うん、ヤバイに決まってる。
だけど、私が遅刻しようが遅刻しまいが雲雀さんには直接関係ないことだしあまり気にしなくても良いかな。そう思ったら、大分気分も軽くなって私は放課後まで遅刻したことを忘れていた。
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(2007・06・13)