結局、と何を話せば良いか分からないまま僕は紅茶を入れ終わって、カップを持ったままのところへと戻ってきた。あぁ、何か話題はないんだろうか!!と考えても僕の頭には何もうかばない。紅茶のカップをの目の前において、僕はソファーへと座る。目の前のを見れば、紅茶のカップを見つめたまま手に取ろうとはしない。












「・・・・」










「早く飲まないと冷めるよ」
















いつまでたっても紅茶を飲もうとしないに痺れを切らした僕がそういえば、は驚いた顔をして紅茶と僕の顔を交互に見た。もしかして、僕が紅茶を入れたのがそんなに珍しい事だったんだろうか。そうだとしたら、この子は一体僕をどの様に見ているんだ。が紅茶を手に取るのを見て、僕も紅茶を飲む。は喜んで紅茶を飲んでいるかと思い、のほうに視線をやればがこちらを見ていた。その目には何か良くないものを感じる(何故か背筋が寒くなった)




















「君、今ろくでもないこと考えてただろう」











「いやいや、そんな事ないですよ!!あはは!!」

















動 揺 し す ぎ だ ろ 。ここまで動揺されれば、もう何か清々しいものを感じてしまいそうになる。もしかして、自分ではバレていないと思っているのだろうか。いや、それはそれで可愛いんだけど(結局僕はには甘い)だけど、一体何を考えていたんだろうかと気になってしまうのは人間としての仕方がないことだ。まぁ、の様子を見れば簡単に口を割りそうにないからこれ以上追求するのは可哀想だしやめて置く。
















「ふーん」










「ひ、雲雀さんは紅茶好きなんですか?」















僕が未だ納得してなさそうな返事を返せば、は無理やり話題を変えてきた。あまりにその姿が可愛くて頬が緩みそうになったけれど、なんとかそれは抑えた。だけど、がこんな事を聞いてくるなんてすごく嬉しくなった。だって、普通嫌いな奴が紅茶が好きか嫌いかなんて聞かないだろう?が僕に少しでも興味を持ったから聞いたんじゃないかって思ってしまうんだ。ただ、それがこの質問ににとっては意味のない会話を続けさせようとする為だけであっても、僕は嬉しかったんだ。

















「別に。好きでも嫌いでもない」














・・・僕の馬鹿!!なんだか僕の性格はそうそう厄介な性格をしているらしい。好きな子と話しているというのに、どうしても素っ気無い態度をとってしまうし、意地悪をしてしまうし。まぁ、だけど僕が笑顔で「大好きだぜ★」なんて言ったら、それはそれで気持ち悪い気がする。うん、普通に気持ち悪い。はぁ、と少しだけ自己嫌悪してからに視線をうつす。先ほどからは美味しそうに紅茶を飲んでいるけど、は本当に紅茶が好きだったのだろうか。

















はどうなの?」











「うぇ、あ、はいぃぃ?!」












「(またいらない事でも考えてたか)・・・だから、はどうなのって聞いてるんだけど?」


















僕が聞けば、はとても焦ったような声をだした。多分、またいらない事でも考えていたんだろう。本当にこの子、いつもくだらないことばかり考えてるんじゃないだろうか。そう思いながらの様子を伺えば、は一気に笑顔になって応えた(・・・キュン



















「はい、大好きです!!」



















僕に言われた事ではないのに、思わず顔に熱が集まるのが分かる。そう、この顔だ。僕がずっと見たかった顔は。怯えてる顔でも、焦っている顔でもない、この笑顔が一番見たかったんだ。友達や吉田と話すとき嬉しそうに微笑むこの顔に、僕は惹かれたんだ。僕の周りにはこんなに嬉しそうに微笑む人間はいない。だからこそ、僕はに引かれたのかもしれない。僕は持っていた紅茶を置いて、改めてを見た(の顔が真っ直ぐに見れない)
















「それは良かった」














咄嗟に出た言葉だった。それに、僕の顔は今までで一番しまりのない顔になっていただろう。こんな顔、僕は誰にも見せたことはないし、したこともない。が微笑んでくれたと言う事が、僕のなかではすごく嬉しい事だったらしい。ふと、を見れば驚いたような顔でこちらを見ていた。僕でさえ、自分の頬の緩みに驚いているんだ。が驚くのも無理がない話なのかもしれない。





















キンコーンカンコーン











「わ、私、教室に戻りますね!!紅茶ご馳走様でした!!」












静かな応接室にチャイムが鳴り響く。それを聞くとは立ち上がり、何を焦っていたのか、最後の方まで言い切らないで走って応接室から出て行った。僕としてはもっと一緒にいたかったのだけど、と思いながらの飲み終わっていた紅茶のカップに目をやる。しっかりと飲み干されたカップを見つつ、先ほどのの言葉を思い出す。













「(大好きか・・・)」














もし、今度僕に勇気があったならまたを応接室に呼んでお茶に誘おう。またあの顔で微笑んでくれるかは分からないけど出来るだけのことはしよう。いつか、僕だけにあの笑顔が向けられるようになれば良いのに。そして、あの言葉を僕にだけに行ってくれれば良いのに。それにしても、出て行くときにの頬が赤く染まっていたのは僕の見間違いなのだろうか(僕のみ間違いでなければ良いのに)












初めて見た君の笑顔に僕は






















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(2007・09・15)