春がきた=恋が来た?!
朝のから言われた「いってらっしゃい」と言う言葉が頭から離れないまま、もう三時間目になっていた。目の前には、授業が始まったのにサボって群れていた奴らが血だらけで転がっている。そのうちの一人を蹴飛ばしながら、僕は携帯をとりだして風紀委員を呼び出した。こいつのら後始末は面倒くさいから、風紀委員の奴らに頼もうと思っての行動だ。電話をしてからものの数分で、そこには吉田が現れた。
「委員長、後は俺にお任せ下さい」
頭を下げられて、そういわれた僕は踵を返して応接室への道を戻る。そう言えば、そろそろ昼の時間だ。今日は特に何も持ってきてないから、あとで草壁にでも買いに行かせよう。それにしても、はちゃんと学校に来る事ができたんだろうか。今日の遅刻者の報告では名前はなかったけれど、もしかしたら未だに学校に来れてないとかもありえる。って、言うかありえすぎて恐くないか?まぁ、大丈夫だとは思うけど。むしろ、家から学校までの道でどうやったら迷えるのかを僕は知りたい。そこまで複雑な道ではないんだけどね。いや、別に可愛いから良いんだけど(あれ、結局それ?)
キンコーンカンコーン
裏庭を歩いていると、校舎の中からは三時間目の授業の終了をつげるチャイムが鳴り響いた。最悪だ。今から応接室に戻る為に、僕は廊下を歩くと言うのに、群れた奴らが廊下にでてきてしまうじゃないか。あんな群れ見ているだけでもイライラしてくると言うのにと考えつつ僕はあることを思いついた。あぁ、そうだが遅刻していないかだけでも確認しに行こう。確か、のクラスは2−Aだったはずだ。廊下から少しくらいなら中の様子も分かるはずだろうし、どんなにたくさんの人がいたとしてものことならすぐに見つけられる自信がある。
「(そうと決まれば・・・)」
群れた奴らが僕を見るなり、頭を下げて、群れていたのをやめる。いつもなら群れを見たら咬み殺してやっているところだけど、今はそんなことよりが学校に来ているかを確かめたい。少しだけ早足になるのをなんとか抑えながら、2−Aをさりげなく通り過ぎる・・・と、見せかけて歩きながら中の様子をうかがう。見る限り、群れの山。その中にはいなかった。まさか、やっぱり迷子になって遅刻したんだろうか。少しだけ心配になりつつ、そのまま応接室へと行こうとすれば、ふと教室の中から2人の女子の会話が聞こえてきた。
「あれ、どうしたの京子?」
「あ、花。ちゃんがね、少し大きめのお弁当を持ってどっかいっちゃった」
「ふ〜ん。にも遂に春が来たのかしらね。戻ってきたら詳しく話し聞かせてもらわないと」
この2人は、がいつも群れている女子だ。今、この2人の会話から聞こえてきたは多分、のことなんだろう。どうやらは遅刻せずに学校に来れたらしい。良かったと、少しだけ安堵のため息をつきつつ、僕は応接室への道を急いだ。それにても、一人の女子が言っていたに春が来たってどういうことなんだろうか。・・・も、も、もしかしてに男でも出来たって言うのか?!そういえば、もう一人の女子だって、がお弁当を持って出ていったって言ってたじゃないか。はどちらかと言えば、それほど食べる方じゃないし、お弁当もそこまで大きくないはずだ。
「(だとしたら、がもっていったお弁当は誰のなんだ・・・?!)」
考えても考えても該当者はまったく見当たらない。教室の外に持って出たと言う事は、同じクラスの男じゃないみたいだし、だからと言って、他のクラスにと仲が良い男なんていないはずだ。じゃあ、一体誰のためのお弁当なんだ!!イライラがどんどん募ってくる僕は先ほどよりも、廊下を急いで歩いた。やっと応接室が見えてきたと思えば、がお弁当箱を持って、草壁と何かを話しているようにみえる。君はもしかして、そのお弁当を草壁に渡すつもりはないよね?
「あ、あの」
「なん「?」
咄嗟に僕はに声をかけた。何とか、平常心を保っているけれど、そのお弁当の相手が気になって仕方がない。本当に草壁にあげるつもだりだったりはしないよね。そうだとしたら、今の僕ってこの2人にとっては邪魔で仕方がないに決まっている。昔から人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んでしまえという言葉があるけれど、ここで邪魔に入っておかないとこのままでは僕の恋路が上手くいかなくなってしまうんだ。
キンコーンカンコーン
と草壁がこちらを向いた瞬間に4時間目を始めるチャイムが鳴り響いた。それのせいでいつの間に草壁と仲良くなってるんだよ、って言う僕の質問は口に出されることはなかった。いや、チャイムがなっただけが理由ではない。目の前にいるが僕を見た瞬間に嬉しそうな顔をしたから、もしかしたらそのお弁当は僕の為のものじゃないかって思ったんだ。
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(2007・08・25)