私、今日からあの雲雀恭弥の妹?!
自分がどれだけ不幸な人間かなんて知りたくもなかった!!だけど先ほどから悠然と私の目の前に立つ、母の再婚相手の人とその息子はお構いなしに私のことを見てくる。別に新しく父になる人は
優しそうだし、どっかの社長さんだし、お母さんも幸せそうだから文句なんてこれっぽっちもないけれど、問題は私の兄となる再婚相手の息子である。同じ中学のはずなのに、ブレザーではなく学ランを身に
まとい、そして腕には風紀委員と書かれた腕章が付けられている。
あぁ、なんて自分は運がないんだろう。
今日の朝、急にお母さんが再婚すると言い出したときには嬉しくて泣きそうになったのに、今は怖
くて泣きそうだよ。朝、お母さんから再婚相手の名前を言われた時に気付けばよかったと、今さら後悔しても、もう遅い。だって再婚相手の名前が雲雀だったからって、まさかあの雲雀恭弥と関係している
なんて思っても見なかったんだよ
「恭弥くん、と仲良くしてあげてね」
「はい」
お母さん余計なこと言わないでよ!!私は雲雀恭弥と仲良くするつもりなんてこれっぽっちもないんだから。なんて声に出せるわけもなくただただ私の顔は青く染まっていく。それに雲雀恭弥が素直に従
うなんておかしい。なんで?ねぇ、なんで?なんて疑問が私の頭の中を駆け巡って、ただでさえパンク寸前の頭には耐え切れない。私、本当に雲雀恭弥の妹になってしまうのかと思ったらすぐにでもこの
場で倒れられるんじゃないかって思った。
それでもなんとか笑顔で表上は平静を保てたのは、お母さんの幸せそうな笑顔があったからだ。今まで私が小さい頃から頑張って私を育ててくれたお母さん。
私お母さんのために頑張るよ。うん、頑張れ自分!!・・・・って、応援するけどやっぱり不安だよ
新しいお父さんに連れてこられたのは、これまた大きい家の私ために用意された部屋。中はなんて言うか、凄まじいものだった。ピンクにレースあまりに乙女らしすぎて、私には全然にあってないと思うん
です。どうせならもっとシンプルな部屋が良かった。だけどこれもお父さんが私のためにそろえてくれたものだと思ったら、自然と嬉しくなって顔がほころんでいた。お父さん、大好きだ!!と心の中で伝えながら、私はお父さんを見上げる。
「となりは恭弥の部屋だからね。難しい子だけど、よろしく頼むよ」
すみません、それは無理です。なんて言える訳もない私は小さい声で「・・・はい」とだけ言った。お父さんは、嬉しそうに目を細めて私の頭を撫ぜてくれたけど、私はただただ今後の人生設計を立ててい
た。しかし、その人生設計をなんど組みたてても途中で"咬み殺される"になってゲームオーバーだ。それも隣の部屋が雲雀恭弥の部屋だなんて絶対に煩くできない。どうしよう、私。って、もうどうしよう もないからこんなに悩んでるんですけどね!!
一人だけ残された部屋の中、私はポスンと音を立ててベッドの上に倒れこんだ。なんだかいろんなことが一気におきて疲れたのかもしれない。それにしても、明日から私はどうすれば良いんだろう。最強風紀委員長の妹、雲雀として生きて行かなければならないなんて、私には無理だ。自分で言うのもなんだけど、運動は中の上、勉強にいたっては中
の下に位置する私が、あの雲雀恭弥の妹?
が明日からは雲雀?
学校で、普通に友達と話すことも出来なくなるんじゃないかと思ったら、一気に悲しくなった。そうだ、私だけでも
のままで居られるようにお父さんに頼んでみよう。思い立ったらすぐに行動しなくてはと思って、私は自分の部屋のドアを開けた。ガンッ!!
・・・・ガンッ?
変な音がドアの向こうから聞こえてきたこと思ったら、ドアの向こう側にはなんと雲雀恭弥が立っていて額に手をあてていた。あれ、これってもしかしてお約束の展開だったりしますかね?そうだとしたら私、ヤバクナイデスカ。先ほどまでたてていた人生設計が頭にフッとうかぶ。
「(ヒィィィィ)ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
私は土下座する勢いで雲雀恭弥に頭を下げて謝る。もう、少し泣きそうになっていて、目には一杯の涙が溜まっていた。まさか初日から咬み殺されるなんて、私の人生設計じゃもう少し(って、本当に少し
だけなんだけど)生き残れるはずだったのに。そんな様子をどう雲雀恭弥が見ていたかなんて、分らないけどとりあえず咬み殺されることはなかったので安心した。雲雀恭弥は「夕食」とだけ一言言い残
すと階段をおりて一階へと向っていった。もしかして、夕食ができたことを伝えにきてくれたのか?なんてくだらない事を考えながら私も雲雀恭弥に続いて一回へと降りていく。あれ、私、重要なこと忘れて
ない?
私、雲雀恭弥のことなんて呼べばよいんだ?!
まさか、お兄ちゃんなんて呼べるわけがない。そんな呼び方したら私に明日はないし、第一私自身も恥ずかしい。どうしよう、どうしよう。そんなこと考えていたらいつの間にか一階までたどり着いていた。 リビングに向えば、お母さんがご飯をよそっていてお父さんと雲雀恭弥は既に自分の席についていた。少しだけ、嬉しくなった。今までお母さんは仕事ばっかりで夕食はほとんど一人で食べていたから、
こんなににぎやかな夕食を食べれることなんてなかった。うん、やっぱり家族って良いよね!!口角が上がってしまうのを抑えながら、私はお母さんがよそったご飯をお父さんと雲雀恭弥のところに置い
た。その後はまぁ、私と雲雀恭弥はほとんど話すことはなかったけどなんとなくやっていけない気がしないこともない(あれ、結局どっちだ?)
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(2007・06・06)