昨日、招待状と書かれた手紙をリボーンから受け取った。その一番下には来ないと殺す、と言う一言があって、私は本当に不本意ながら学校が終わってからツナの家へ来ていた。一体、何の為に呼び出されたのかはまだ分かっていない。キョロキョロとツナの部屋を見渡すもいつもと変わったところはなくて、私は一人でツナの部屋に待たされていることに疑問を持ちながら、ツナの部屋にかかったカレンダーで今日の日にちを確認する。3月14日。わざわざ招待状を出してまで私を呼び出すと言う事は何かありそうなんだけど、誰かの誕生日と言うわけではなさそうだ。



ツナが部屋から出て行って、5分。友達をほおっておくなんて最低だ!と思いながらこの部屋の主であるツナが来るのを、待っていた。











「ごめん、


「あ、ツナ」











やっと現れた、と思ったツナの後ろには山本と獄寺がいつの間にかいた。どうやら、私が気づいてないうちに二人もツナの家に来ていたらしい。いや、本当、帰りたくなって来たんだけど帰っちゃ駄目かな?(駄目だよね。来ないと殺す、とまで書いてたぐらいだからなー)しかし、今日は珍しく獄寺が何も言ってはこなかった。

いつもなら「テメーがなんでここにいるんだよ。あぁん?」みたいな感じですぐに喧嘩を売ってくるというのに、珍しいこともあるもんだ。これも、招待状と何か関係してのことなんだろうか。まぁ、そんな事どうでも良いから帰らして欲しいんだけど。いや、本当帰りたいなー!まだ、私には招待された意味が分かってないからな!絶対よくないことがおきるような気がするんだよな!










「で、ツナ。なんで、私は今日ここに呼ばれたの?嫌な予感がひしひしするんだけど、私の勘違いかな?」



「えぇ、、ここに呼ばれた理由知らないの?!」



「うん」










こんな招待状もらっただけ、と言い私は昨日リボーンから貰った招待状をツナへと見せた。ツナは読み終わると「リボーンの奴・・・・」と言いながらハァとため息を零していた「なんだ、呼んだか?」といきないの声に、私とツナはまるで条件反射のように、ビクッと肩がゆれた。山本は笑いながら「おぉ、小僧じゃねぇか!」なんて言っている。私もできる事ならこいつみたいに気楽な性格に生まれたかったと思う。天然過ぎるのがたまにキズだけど、それで周りが大変なだけであって、山本自身は大変な思いなんて滅多にしたことなんてないだろう(って言うか、確実にない)そう思うと、本当に山本がうらやましくなった。私、なんでこんなに苦労ばっかりしてるんだろ、な……これが運命と言うなら神様をのろってやりたい。










「よし、じゃあ。始めるぞ」



「わーい、何を始めるんだろ!・・・・・・・じゃねぇよ!!




「(がノリツッコミしたー!)」




「はは、の奴面白いのな!」










思わずしてしまったノリツッコミにいささかの恥ずかしさ(いや、かなりだ)を覚えながら、私はリボーンに「その前に、今日なんで私が呼ばれたのか教えてよ」と言った。何をするのかも分からないまま、始められても困る。いっつも、急なリボーンの思いつきに振り回される私やツナの身にもなって欲しいもんだよ。振り回すほうはそりゃ楽しくてたまらないかもしれないけど、振り回されるほうは、ストレスがたまるだけだ。リボーンも一度くらい振り回される側になれば良いのに、と本気で思う(そうすれば私とツナの気持ちが存分に分かると思う!)(……まぁ、リボーンがそんな振り回される側になるなんて、とてもじゃないけど想像できない)













「今日の主役はだぞ」




「は・・・・・・?全然意味が「今日が何の日か知ってるか?」」









リボーンの質問に私はもう一度、ツナの部屋にあるカレンダーを見る。3月14日。今日は一体何の日かなんて、普通の日じゃないの?と思って、今朝吾郎から「お返し楽しみにしとけよ」と言われたことを思い出した。




あぁ、今日は確かホワイトデーだ「分かったみたいだな」ニヤッと嫌な笑いをうかべるリボーン。読心術が使えると言うツナの言葉は嘘じゃなかったらしい。とりあえず、野暮な事は考えるのはやめておこう。絶対に殺されるに違いないからね……!まだ、私死にたくないし、それに赤ん坊に殺されるなんてなんか癪だしね!「それと私がここに呼ばれたのは何か関係あるの?」別にお返しなんていらないから平穏な暮らしをさせて、と言う言葉は飲み込んだ。えらい、偉いぞ私!









、バレンタインの時チョコレートくれただろ?だから、そのお返しをしようと思って、さ」










ゆっくりと笑うツナは本当に可愛かった。だけど、ね、ツナそんなの気にしなくて良いんだよ。だから、帰らせて!……って、さすがにツナにそんなことは言えずに私はハァとため息をついた。私はきっと、つくづくツナに甘いような気がする今日この頃だ。これが、違う人だったら私はさっさとこの家を後にして帰っていることだろうと思うから。もう、この際、諦めることにする。どうせ、リボーンがいる限り私はこの家から出ること、いや、この部屋からでることさえも敵わない(あれー、一瞬だけリボーンが私の顔見てニヤッって笑った気がするんですけど?)(はは、読心術かよ……!











「え、えっと、ありがとう」



「別にお前のためじゃねぇんだからな」




「何言ってんだよ、獄寺。の為に決まってるだろ?俺達がここにいるのは」




「そうだよ、獄寺くん!」




「・・・・・チッ、10代目がそう仰るなら。あんま調子のんじゃねぇぞ!」











一瞬でも調子に乗った覚えがないのは私だけなのかなー。いや、まぁ、獄寺だもんね。獄寺だからしょうがないよね。こいつはツナ以外にはこういう態度だからしょうがないよね!ぶっちゃけ腹立たしいけど我慢することにするよ!だけど、二度目はないからな、獄寺!ふつふつと感じる獄寺へのイラつきをなんとか抑え、私は顔をあげた。


視界の端にうつるリボーンに、私の上げたチョコレートと言う名の献上品が無駄に終わった事を感じた。どうやら、私なんかの手作りチョコレートでは、リボーンが特訓と言う名の嫌がらせをやめてくれることはないらしい。無念。本当に無念。










「で、俺達いっつもにお世話になってるからさ、に何かをしてあげようってことになって、」




「ありがたく思うんだな」



「(そろそろ本気で獄寺、殴っても良いかなー)」




「実は、にバレないように下に準備してるんだぜ!」











ニカッと笑った山本の声に、私はあぁ、だからか、と納得した。私がこの家に入った時やけにリビングからはにぎやかな声がもれていたと言うのに、ドアは閉められていた。私としてはやけに気にはなっていたんだけど、なんと言うか絶対になんか巻き込まれる気が存分にして、私は何も見なかったし、聞かなかったことにしていた(だって、あきらかにランボくんの泣き声とか聞こえてきたんだ!)「じゃあ、。行こうか」と行ってツナがこちらを見て微笑む。










「俺さ、初めてケーキとか作ったんだ」



「ちゃんと寿司も準備してるんだぜ」










ツナが作ったケーキと言うのはいささか不安があるけれど、ツナの顔を見る限り失敗はしていないんだろう、と言うことが何となく分かった。どうやら、今から私のためのパーティー(と言っても良いんだろうか、)をしてくれるらしい。騒がしくなるな、と言うことが分かりきっているので少し頭が痛くなりそうだったけど、でも、ツナ達と騒ぐのは別に嫌いじゃない。むしろ、楽しいと思う「もう一回言っとくが、お前のためじゃねぇんだからな!」……あ、うん、分かったって。


何となくではあるけれど、獄寺のこの言葉は照れ隠しではないかと思う。まったく、これでは殴る気も消えてしまう(それに、少しだけ獄寺が可愛いだなんて思ってしまった!最悪!











「ありがとうね、」









そんなに私がお礼を言うのが珍しいことだったんだろうか。ツナと獄寺が驚いているように見えた(お前ら何気に私に失礼だよな……!)(私だってお礼くらい言うのに!)「はは、どういたしましてだな!」と爽やかに笑う山本だけが、今は私にとっては一番良い奴に感じられた。どうせ、何も考えていないだけと言う事は分かりきってはいたけど。私の言葉にツナはゆっくりと微笑む「こっちこそ、バレンタインありがとう」ツナの笑顔はこっちまで暖かい気持ちにしてくれるような気がする。











「・・・・・・お前でも礼がいえるんだな」




「獄寺ちょっと、表にでようか?」









本気で驚いたように言う獄寺に先ほど消えた獄寺を殴りたいと言う気持ちが蘇ってきた。本当に失礼だなこいつ!「、落ち着いて!」と私を止めるツナの言葉がなければ、きっと私は獄寺を殴っていた事だろう。階段を降りていく、三人の背中を見ながら、私は再び「ありがとう」と小さい声で呟いた。いつも、ありがとう、の意味も含めて「俺からのお返しは、楽しみにしとけよ」私の肩に乗った、リボーンがニヤッと嫌ーな笑みを浮かべる。どうやら、リボーンからのお返しは期待できそうにない。そして、それにツナが巻き込まれることは何となく分かった。お返しは、特訓と言う名の嫌がらせ、なんだろう。献上品としてあげたはずのチョコレートが裏目に出てしまったと嘆いた。











君達がいる当たり前の日常








(あ、こら、ランボ!つまみ食いしたら駄目だって言っただろ?!)(このアホ牛が!果てろ!)(ぐっぴゃぁぁ!)(はは、花火か?)(・・・・・・・騒がしすぎるのも、ちょっと、アレかな)







(2008・03・14)