ずっとずっと抱きしめていたいと思った。
このまま離してしまったら、これは夢だったんじゃないかと……が自分の腕の中にある温かみは本物のはずなのにそう感じてしまう。でも、これは夢じゃないんだ。俺はが好きで、も俺が好きで。
「だけど、が俺のこと好きで本当に良かった」
「綱吉くん?」
「俺、は山本か獄寺くんのこと好きなんじゃないかって思ってたんだよ、ね」
「えぇぇぇ、いやいや、それはないよ。絶対無いよ!それもよりによってあの二人?!あ、ありえなさすぎるよ、綱吉くん!!」
「・・・・・・そ、そうなんだ(全力で反論したー!)」
全力で俺の言ったことを否定するに俺は自然を口端が上がった。俺はこんなにもに好きでいてもらえたんだ……は、山本でもなく獄寺くんでもなく、駄目な沢田綱吉を好きでいてくれた。それが凄く嬉しくてたまらない。
だけど、が山本か獄寺くんをすきなんじゃないかと思っていたのも嘘じゃない。確かに山本はずっと前からと仲が良かったけど、獄寺くんともいつの間にか仲良くなっていて、俺は正直焦っていたんだ。仲良くなれたと思っていたら、避けられて、そんな中で俺はに好かれていると思えるわけがなかった。
「でも、、俺には頼らないくせに、山本には頼るし、」
を包んでいた腕の力を抜いて、の顔を見る。こんなに近くでの顔を見れる日が来るなんてとても思えやしなかった。好きな子には頼って欲しい、と思っていたのに、は俺ではなく山本に数学の資料室の片づけをお願いした。あの時俺は、自惚れであったけど、は俺を頼ってくれるんじゃないか、と心の中で期待していたんだ(でも、は俺ではなく山本を頼った)(数学の授業が終わって、山本の席へと駆け寄って行くの姿を俺は見ていられなかった)
は気づいてなかったと思うけど、あの時、俺は心底山本が羨ましい、とおもった。に頼ってもらえる山本が。俺は他の誰でもなく、に頼ってもらいたいと、いつも思っていたから。
「それに、俺には元気とか言っておきながら、獄寺くんの前じゃ泣くし」
「・・・・・え?って、それ。な、な、なんで知ってるの?!まさか、獄寺くんが言ったの?!」
「ううん、ハルが教えてくれた・・・・・・って感じかな?」
「(ハルちゃん・・・・・・!)」
本当は、の泣くところなんて見たくはない。でもが泣きたいのなら、俺の胸を貸してやりたかったんだよ?他の男の前で泣かれたくはなかった。そんな事言って、俺は結局が泣いていたことを知っていたのに、何もできなかった。ごめん、。俺はやっぱり駄目ツナなんだ
「ごめんね、綱吉くん」
「なんで、が謝るんだよ」
が謝る必要性なんて一つもない。謝るのは俺のほうなんだ。俺のせいで泣かせて、つらい思いをさせてしまった。そんな事に気づかずに俺はただ自分の気持ちしか考えてなかった。はいつも、俺のことを考えてくれていた、と言うのに、俺は自分のことばかり。
ご
めん、と俺は心の中で呟いた。、ごめん。これから俺はきっとを大変な事に巻き込んでしまう。俺はマフィアの10代目で、これはもう変えられない運命。いや、運命と言ってもボスになることは自分で決めたんだ。君に本当のことも言えずに、隠し事をしてしまっているなんて、最低だと言う事は分かってる。
でも、本当のことをに言って、が離れていってしまうのは、恐い。もう、君を本当に離したくはない、から。本当のことを言えない臆病な俺で、ごめん。だけど、「ありがとう、」再びを自分の腕の中に閉じ込める。この暖かさを知ってしまったら、永遠に手放せる気が、しない。
「俺を好きでいてくれて、ありがとう」
臆病で駄目ツナな俺なんかをが好きになってくれるなんて、本当に思ってなかったんだ「綱吉くん?」と君が名前を呼ぶだけで、いつも幸せな気持ちになれた。駄目ツナではなく、綱吉として認めてくれた人ができたようで嬉しかった。
「俺に笑いかけてくれて、ありがとう」
中学3年のとき、の笑顔のおかげで俺は、自分に少しだけ自信が持てた。俺、を軽蔑するような笑いなんかじゃなくて、純粋に微笑んでくれたの笑顔。にとったら、深い意味なんてなかったなんてことは分かりきってる。でも、俺はその笑顔のおかげで救われた気持ちになって、その笑顔をきっかけで、をどんどん好きになっていった。
が笑いかけてくれる度に、俺は俺、でいられた。俺の言動で柔らかく微笑む、が、とても愛おしいものに感じられたんだ。
「」
まだ、君にいえないことがたくさんある。だけど、いつかそれを伝えるから。それでも、俺を好きでいて欲しい。ごめん、。臆病な俺で。ありがとう、。そんな臆病で駄目な沢田綱吉と言う人間を好きになってくれて。
俺と君の関係について
(愛してる、)
(2008・3・12)
追っかけろ!完結
|