綱吉くんの腕に閉じ込められて、どのくらい経ったんだろう(恥ずかしくて時間の感覚なんて全然なくなっちゃったよ!)空も、少しずつ暗くなっていて、私はどうして良いか分からずに綱吉くんの制服の袖をキュッと握った。綱吉くんはいつまでこの状態のままでいるつもりなんだろう。そろそろ離れてくれると嬉しいんだけど、と思いながらも私から離れるつもりはまったくもってなかった。綱吉くんと離れてしまったら、今までのことがすべて夢だったのではないかと思ってしまう。綱吉くんが京子ちゃんじゃなくて、私のことが好きな事も。すべて、夢だったんじゃないか、と。













「だけど、が俺のこと好きで本当に良かった」





「綱吉くん?」











綱吉くんが私の耳元でホッと息を吐きながら、言った。







「俺、は山本か獄寺くんのこと好きなんじゃないかって思ってたんだよ、ね」






「えぇぇぇ、いやいや、それはないよ。絶対無いよ!それもよりによってあの二人?!あ、ありえなさすぎるよ、綱吉くん!!」






「・・・・・・そ、そうなんだ(全力で反論したー!)」













まさか、綱吉くんにそんな風に思われていたなんて。それも山本と、獄寺くんだよ?ありえなさすぎて笑えてくるくらいだよ、そんな話!確かにこの二人は友達としては良い人だよ。良い人。だからと言って男の子として好きなわけじゃない。あぁ、私が綱吉くんが京子ちゃんを好きだと勘違いしていたように、綱吉くんにもずっと勘違いをさせてしまっていたのか・・・・・・・・(いや、だけど、私が山本か獄寺くんを好きだなんて絶対にありえないに決まってるよ!)








「でも、、俺には頼らないくせに、山本には頼るし、」







少し綱吉くんの腕の力が弱まって、綱吉くんと離れた。綱吉くんの顔は苦笑いと言った感じで笑っていて、私はその言葉に何も言えなかった。だって、綱吉くんには頼っては駄目だとずっと思っていたんだよ。だけど、弱い私は誰かに頼らないと笑顔が作れなくて、だから、友達である山本や、りりんや他の友達に頼ったんだ。本当は誰よりも、他のどんな人よりも綱吉くんに頼りたかった。









「それに、俺には元気とか言っておきながら、獄寺くんの前じゃ泣くし」





「・・・・・え?って、それ。な、な、なんで知ってるの?!まさか、獄寺くんが言ったの?!」






「ううん、ハルが教えてくれた・・・・・・って感じかな?」






「(ハルちゃん・・・・・・!)」








そんな、私が必死で隠したかったものはずっと綱吉くんにバレていたのか。元気がないと綱吉くんに心配させないようしていたのに、綱吉くんにはずっと心配をさせていたのか(まったく、私はどうしようもなく駄目だな)獄寺くんとの約束を、私は守っているつもりだったのに、ずっと破ってしまっていた














「ごめんね、綱吉くん」




「なんで、が謝るんだよ」












私に笑いかけてくれる綱吉くん・・・・・・・本当に、この人私のこと好きなのかな?だって、ねぇ?私だよ。私。綱吉くんに好かれる要素なんてこれぽっちも思い浮かばないよ。だって、綱吉くんは私のことを色々助けてくれたりしたけど、私は何かをした覚えなんて少しもないし。綱吉くんが京子ちゃんを好きだということには何も疑いを持つことはないけれど、綱吉くんが私のことを好きだということには疑いを持ってしまいそうになる(綱吉くんが嘘をつくわけがないと分かっていても)










「ありがとう、










小さい声で呟く声。何がありがとう、なんだろうと思うまもなく私は再び綱吉くんの腕の中にいた。











「俺を好きでいてくれて、ありがとう」






「綱吉くん?」







「俺に笑いかけてくれて、ありがとう」












ありがとう、を繰り返す綱吉くんは少しだけいつもの綱吉くんとは違っていた。私を抱く腕の力は少しだけ強くて、それが苦しかったけれど私は何も言えず、ただ綱吉くんの制服を握り締めた。綱吉くん、私の方こそありがとうを言わないといけないよ。ずっと、恋なんて遠いものと思っていた私に恋を教えてくれて、叶わないと思っていたのに、その恋を叶わせてくれて。私を、君との物語の主人公にしてくれたんだから。子供のときの夢だった、主人公に私を選んでくれたんだから。本当にありがとう、綱吉くん(そう言えば、始めて綱吉くんの家に行った時も綱吉くんに、ありがとうって言われたな・・・・・あの時のありがとうの意味はなんだったんだろう)それに、綱吉くんはいつから私のことを好きだったんだろう・・・・























優しく私の名前を紡ぐ綱吉くんの声が大好きだ。友達としてではなく、恋人と言う関係で紡がれるこの名前は、とても特別に聞こえてくる。私がずっと望んでいたように綱吉くんと友達の関係は 続ける事はできなかったけど、それよりも、どんな関係よりも素敵な関係を綱吉くんと築く事ができた。それが、とても嬉しくて、私は綱吉くんの暖かい腕に抱かれながら、また一粒の涙が流れるのを感じた。





始めはただのクラスメイトだった。それが、いつからか友達になって、そして、好きな人へとかわっていった。私の気持ちはどんどん変化していったけど、綱吉くんとの関係が変化していくことなんて無いと思っていたのに。大好きだよ、綱吉くん。君を、好きになることはもしかしたら始めから決まりきっていたことなのかもしれない。











私と君の関係について






(その関係はどの関係よりも強い絆で結ばれた関係)









あとがき。






(2008・02・02)