俺にはとっても馬鹿な幼馴染が一人いる。まったくもって、駄目な俺が馬鹿って思うぐらいだからそうとうな馬鹿だ。本当に馬鹿だ。だけど、納得いかないのは俺よりも馬鹿なはずなのに学校の成績は俺よりも良いところ。なんで、本当に馬鹿なのに、お前はそんなに頭良いんだよ・・・・!そう思うことはしばしばだけど、あいつだけは俺のことを駄目ツナ扱いしないから結局俺はあいつには感謝してるところもあると言ったら、あるんだけど・・・・・・いや、だけど、それでも納得いかない!なんで、コイツが俺より頭良いんだよ!








「だから、綱吉聞いてる?」








学校からの帰り道。家が近いからと言う理由で幼馴染がこうして俺の隣に立つことは少なくない。まったく、そんな理由で家まで一緒に帰らされる俺の身にもなって欲しい。そんな俺の気持ちも知らずに、は馬鹿みたいに笑っている。お前、本当なんで俺より頭良いんだよ!(そして、俺はなんでコイツより頭悪いんだよ!)








「はいはい、聞いてるよ。それで?」




「それでね、この前、帰り道に偶然ディーノさんと会ったんだ」








・・・・・・・・いや、それは偶然じゃないから。と言う言葉はどうにか飲み込んだ。ディーノさん、この前、のこと可愛いって行ってたからもしかしてとは思ってたんだけど、まさかこんなに早く行動にでるなんて。


相手は、ディーノさん、か。 部下がいないとへなちょこだけど、部下がいるととても強くて、おまけにかっこ良いし、なんかキラキラしてるし、はぁ、と思わずでるため息。俺なんかじゃ絶対に敵わないような人が相手なんて、俺なんかじゃ太刀打ちできるわけないよ。チラッと横目にを見れば、俺のそんな気持ちも知らずに、まだ馬鹿みたいに笑ってる。本当、この馬鹿。なんで、俺より頭良いくせに俺の気持ちにまったく気付いてくれないんだよ!









「やっぱり、ディーノさんってかっこ良いよね。もうね、なんかキラキラしてた!」


「(・・・・・・・)そりゃ、ディーノさんだからね」


「うん!」











嬉しそうに笑う。本当は、幼馴染だからって理由だけで一緒に帰って欲しくないのに、なんて、馬鹿な上に鈍いは絶対気付きそうにないんだろうな。ライバルがディーノさんって、つくづく俺って運がない。駄目ツナの俺が、ディーノさんに勝てるわけないのに。神様は、残酷だ。いや、残酷すぎるよ・・・・・俺がディーノさん相手に敵うわけ無いのに。を想う気持ちなら誰にも負けないと思えるけど、それだけじゃ駄目なんだ。気持ちだけで、が俺を好きになってくれるならもうとっくの昔には俺のこと好きなってくれてる。本当なんで俺はこんな馬鹿で鈍感な幼馴染を好きになったんだよ!!








「ねぇ、綱吉あそこにいるのディーノさんじゃない?」








に言われて顔をあげれば、視線の先にはディーノさんがいた。ディーノさんもこちらに気付いた様子で、手を上げて笑顔で近付いてくる(タイミング良すぎだろ!)まさか、を待っていたなんてことないよね?いやいや、ありえるかもしれない、と考えていればディーノさんが話しかけてきた。あぁぁ、もうなんで俺って何もできないんだよ!!隣でディーノさんに笑顔を向ける。すごく嬉しそうで、もしかしたらもディーノさんのことを好きなんじゃないかと思った(もしかして俺って邪魔者だったりするのかな・・・・・)












「よぉ、!!元気にしてたか?あぁ、ツナも元気だったか?」




「はい、元気ですよ!!ディーノさんこんにちは!」





「(なんか、俺ついでみたいな言い方だったんですけどー!!)」















どうやら、弟分の俺はディーノさんにとってただの恋敵になってしまったらしい。もう、ディーノさんが本気でを落とそうしているなら俺には何もできないよ、あぁ、こんな時まで駄目ツナな俺。好きな相手をとられようとしているのに(なんて、俺のものでもないけど、さ)何もできないなんて、こんな時こそ死ぬ気でどうにかしないといけないんじゃないの?そう思いながら、仲良さそうに話すディーノさんとから視線をずらせば嫌な笑いをうかべたリボーンがいた。その表情が、いつも以上にムカついた。まるで、本当にお前は何もできない、と言われているような気分になった。





だけど、本当にこのままで良いのかな・・・・・・は俺にとって、大切な幼馴染で、大好きな相手で。それをディーノさんにとられて良いのか?確かにディーノさんはかっこ良いし、何でもできるし(部下がいるときに限るけど、)だからって、俺はこのままディーノさんにがとられるなんて、絶対に嫌だ!どんなに駄目ツナであったとしても、好きな相手に告白もできないままなんて絶対に嫌に決まってる。













「な、これから「す、すいません、ディーノさん!!はこれから俺と宿題する約束がありますんで!!」」












ディーノさんの言葉を遮るように俺は言い切った(どもるなんて、俺ってやっぱり駄目ツナだよ!)。隣ではが「えっ、そんなこと約束したっけ」なんて言ってる。いや、これはしたから。俺が咄嗟に思いついた嘘とかじゃなくて、本当にさっき約束したんだよ。なに、もう忘れてんだよ、この、馬鹿!怒鳴りつけたい衝動をおさえて、キッとディーノさんを睨みつける。今までディーノさんをこんな風に睨みつけたことなんて一度も無い。ディーノさんは一瞬だけ驚いた顔をして
「ツナがその気なら、俺も手加減するつもりはないぜ?」の一言。少しだけ睨む力が弱くなる。駄目ツナ復活かもしれない、と思った。












「まぁ、ツナそんな恐い顔するなって」



「俺はもとからそんな顔ですから!」



「そんな顔じゃ、モテないぞ?」










・・・・・・・ほっておいてくれ!どうせ、俺の顔はディーノさんに比べてたら全然かっこ良くないよ!!だって、きっとディーノさんみたいな顔のほうが良いに決まってる。あぁ、そう考えてくるとどんどんネガティブな考えしか浮かばなくて駄目ツナは駄目ツナらしくしておけば良かったかとまで思い出した。



俺、なんであんなこと言っちゃったんだろう。本当にかっこ悪いな、と思いながら隣のに視線をうつせばは笑顔で口を開いた。「あはは、ディーノさん何言ってるんですか。綱吉は十分かっこ良いんですよ!」・・・・・・なんで、お前は馬鹿なくせに俺が喜ぶような言葉を知ってるんだよ!また、その一言でもっとお前のことを好きになっちゃうだろ!「えっと、じゃあ、綱吉の話によると約束があるみたいなんで、今日はここらへんで、」とが言う。ディーノさんは一瞬だけ目を見開いたけど、すぐにいつものキラキラした笑顔に戻して、俺達二人を見た。











「・・・・そうだな。じゃ、また今度な二人とも!」



「あ、はい!では、ディーノさんさよなら!」



「ほら、、急いで帰らないと宿題終わらないから!!じゃあ、ディーノさん、また今度!」








の手を掴んで走り出す。後ろではディーノさんが俺達(いや、にだけか)に手を振ってる。確かに駄目ツナな俺かもしれないけど、を想う気持ちはディーノさんにだって負ける気はしないんで、この勝負、絶対に負けませんよ!と思いながら俺はの手をしっかりと握り締めて家へと向って走り出していた。な、。俺、今はまだまだ駄目ツナだけど、きっといつかディーノさんより良い男になってみせるから、その時まで誰のものにもならないでくれよ!!待っててくれたら、君を世界一幸せにしてやるからさ!












誰にも負けないよ、








君を思うこの気持ちなら!


















「おい、ディーノ。お前本当に、のこと好きなのか?」



「さぁ?ま、俺は二人とも大切な弟分に妹分だと思ってるけど?」



「・・・・・・このへなちょこディーノが(ツナも、まんまとはめられたな)」





















(2007・01・11)

やっぱり短編は苦手です。リクエスト作品でツナVSディーノさんだったんです(最初は ←)
でもディーノさんの兄貴っぷりも書きたかったんです。そして、それも書けなかったんです。