まだ冬休みも終わっていないと言うのに、ボンゴレ生徒会は活動を開始した。まったく、年明け早々あの人たちの顔を見なくてはいけないと思うと、少し嫌な気分にもなるけれど、私がいないときっと仕事が進まない事は間違いないと言ってもいい。はっきり言って、あのメンバーの中で一番仕事をこなしているのはきっと私に違いない。だって、了平さんは極限って叫んでばっかでデスクワークを嫌がるし、雲雀さんはデスクワークもしてくれるにはしてくれるけど、つまらないとか言ってすぐに投げ出しちゃうし、山本と獄寺は・・・・・やる事にはやるんだけど、口げんかすぐに始めちゃうし、頼みの綱の沢田は、初歩的ミスが多かったりするし、会長何て言うまでもないし、














「(はは、私は今年も雑務に追われちゃうのかな・・・・)」













今年も雑務に追われると思うと気がめいってしまってしかたがないけど、新年早々こんな事思うのも良くないかもしれないと思って私は考えるのをやめた(どうせ、分かりきってる事なんだよ。私が雑務に追われるってことはさ!)まだまだ冬休み中の学校はほとんど人の気配なんてしないで生徒会室までの廊下には私以外誰もいない。生徒会室に行けば多分、会長が来ていることだろう。会長はいつも仕事はしないくせに生徒会室には一番乗りでやってくる。そして、紅茶を飲んだり、まったりしながら読書をしていたりする。読書する暇があるんなら仕事してくれれば良いのに、と思うのは私だけじゃないだろう。沢田も間違いなくそう感じているはず。いや、生徒会役員なら全員思っていることは分かりきった事だ。
















「あけましておめでとうございまーす」







「おや、。あけましておめでとうございます」













新年一番最初に会う家族以外の人が会長なんて嫌だなーと思いつつ、生徒会室にドアを開けて挨拶すればやっぱりそこには六道会長がいた。そして、こちらに気付いた会長がいつものように微笑む・・・・・って、あれ可笑しいぞ?会長がいつもの様に紅茶を飲んでいるのは別に可笑しいことではない。ただ、今日は会長はいつものように本を持っておらず、かわりになぜかテレビが机の上に置かれていた。なぜ、テレビがこんな所にあるんだと思うのも、仕方がないこと。だって、つい先日まではテレビなんて生徒会室になかったんだから(えぇ、私の目の錯覚かなー!!)目をこすっても、テレビはきえることなく机の上にあった。














「・・・・・・・・・・(いやいや、なんで生徒会室にテレビが?)」











それもテレビを見てみれば、それはどうやら未来からやってきた
某青いネコ型ロボットが駄目な眼鏡の少年、ここは匿名希望と言う事で仮にもN君としておくが、そのN君とくりなすSFファンタジーなアニメであった。多分、日本に住んでいれば知らない人などいないだろうと言うぐらい有名なアニメ。しかし、会長がそれを見ているのには少し、いやかなりの違和感を感じる。本当にこの人は一体何をしたいんだろうと思い、会長に視線をうつせば、会長は楽しそうにテレビを見ていた。













「(とりあえず、まずはここにテレビがあるからだ)・・・・な、なんで生徒会室にテレビがあるんですか」





「今年一番最初の生徒会への支給品ですよ」





「いやいや、普通テレビなんて支給されないでしょ!良くてホワイトボードくらいでしょう!」






「そんな嘘ではありませんよ。クフフ、校長にお願いしたら頂けたんですよ








「へ、へぇ、お願いしたんですか(絶対、脅迫したに違いないと思うんですけどー!)」







「えぇ、今度の校長は素直で良いですよ。この学園の秩序をよく分かってらっしゃる」














にっこりと微笑む六道会長。そう、この前のあの校長KY事件の校長は見事、会長と雲雀さんの手によって辞職へと追い詰められた。その校長のその後はしらないがきっとあの事がトラウマになったことは間違いないだろう。そして今度新しくなった校長はどうやら、この学園のことをよく分かっていらっしゃるらしい。六道会長と雲雀さんには逆らうな(いや、生徒会には逆らうなが一番正しい表現かもしれない)これを守らなければ校長としてこの学園では生きてはいけない。












「それで、なんでドラ○もん見てるんですか」





「クフフ、
大晦日だよ、ドラ○えもん!ですよ!!どうです、も見ます?」





「何が見ます?ですか!!なんでドラ○もんを生徒会室で見てるんですか!」





「新年早々そんな怒鳴らないで下さいよ。そんなのドラ○もんが見たかったからに決まってるじゃないですか」










いやいや、見たかったからに決まっていても別に生徒会室で見る必要なんてまったくないんじゃありません?むしろ、そういうのは家で見てくださいよ。家で。こんな所で一人でドラ○えもん見ながらクフクフ笑ってる六道会長なんて一般生徒に見られたらどうするつもりなんですか?!六道会長のせいで生徒会まで変な人の扱いをうけるのはごめんなんですよ。と思いながらも、さすがにそれは言えずに「・・・・・・わざわざ録画して持ってきたんですか」と聞けば六道会長はゆっくりと微笑んだ。何故、ここで微笑む必要がある。言いたいのに言えないとは何とも、ストレスがたまる。










「実は大晦日の夜に見ようと思ったんですがね、千種がドラ○えもんは見たくないと言いまして」








六道会長の言葉に、そう言えば六道会長は柿本さんと城島さんと三人暮らしをしていたんだ、と言う事を思い出した。初めて聞いた時は何とも奇妙な組み合わせだと思ったけど今では少しも違和感がない。柿本さんと城島さんはたまに生徒会室に来るから、私とは顔見知り程度でそこまで仲が良いとは言えないけど、六道会長の話を聞く限りでは凄い人達なんだと思う(はは、六道会長と暮らせる時点で凄いと思うけどね!)









「あぁ、それで録画を?」




「犬と僕はドラ○えもんを見たがったんですが、ね。見事じゃんけんで負けてしまって」






「(・・・・・チャンネル争奪戦はじゃんけんなのか。って言うか、六道会長もじゃんけんとかするんですね)」






「今考えれば多数決で決めれば良かったと思いますよ」











悔しそうに言う六道会長。本当に貴方何歳なんですか、と聞きたくなる。いや、まぁ、だけど確かにドラ○もんはいつまでも楽しめる名作だとは思うよ。私はしっかりと大晦日の日ドラ○えもん見たし、と考えていれば
「極限におめでとうだ!」と言いながら了平さんが生徒会室へと入ってきた。その後ろには、沢田と獄寺と山本もいるらしい。















「な、なんで、テレビがあるのー?!」





「はは、それもドラ○もんじゃねぇか!」





「おい、骸!このテレビどっから持ってきやがったんだ!」













驚いた沢田の顔。そして、イマイチ空気が読めてない山本。キレてる、獄寺。あぁ、新年になったというのに全然変わらないこの光景。いや、そんな急に変わるわけが無いと思うけど、去年より少しはマシになるかなって期待してしまうのはしょうがないんだよ!!獄寺の質問に先ほど私に言ったような返事をする六道会長(その六道会長の言葉に沢田は段々と血の気が引いていっていた。最後はもうなんとも哀れとしか言えない顔だったよ・・・・!)そして、すべてを言い終わった後で「今良いところなんですから、邪魔しないで下さい」の一言。じゃあ、こんな所で見ないで下さいよ、と思ったのはこの場にいた全員のはず。















「ほらほら、さっさと今年も僕の為に仕事をして下さいよ。早くしないと間に合いませんよ?」














ドラ○もんを見つつ、紅茶を飲んでいる六道会長。はっきり言って全力で殴り飛ばしたいと思った。なんで、私が貴方なんかのためにこんな折角の冬休みまで学校に出てきて仕事をしないといけないんだ!獄寺もその言葉にキレて、ダイナマイトを取り出している。山本は山本で笑っているし、とめる気配なんてまったく見られない。了平さんも「その言葉には極限にプンスカだぞ!」なんて言いつつ、六道会長に詰め寄っているし、












「(沢田は止めようと頑張っているな・・・・・)」










はぁ、とため息を吐きながら私はもうとめるのも面倒臭くなってドアの近くでその光景を見ていた。キィとドアの開く音に振り返れば、そこには雲雀さん(雲雀さん、5分の遅刻ですよ!)「何、これ?」と眉をひそめて言う雲雀さんに私は簡単に状況を説明した。だけど、雲雀さんが争いの中に入っていないのは珍しい。いつもなら、六道会長VS雲雀さんのパターンが一番多いから。まぁ、六道会長VS獄寺のパターンも十分多いんだけどね。って言うか、六道会長と誰かが喧嘩をしているパターンが一番多いはず。どれだけ、この会長は生徒会メンバーから反感を買っているんだろう。
















「ふーん、新年早々何やってるんだか」




「(うわー、雲雀さんが常識ある人に思える!)」












とても、呆れた顔をする雲雀さんに、私は親近感を覚えた。はっきり言って雲雀さんの言葉に同感を覚えることなんて珍しいにもほどがある。だけど、雲雀さん。いつもは雲雀さんもあっちの人間なんですよ!なんて、さすがに言えるわけがないので、ここはスルーすることにした。















「だけど、雲雀さんも何で遅刻したんですか?」








「・・・・別に群れてる奴らを咬み殺してきただけ」











そう言って、チラリと見えたのは血がついたトンファー。あんたも、新年早々何やってくれているんだ!と言った心の嘆きはきっと、誰にも伝わらなかった事だろう。目の前では幼稚園児のような言い合いをしている獄寺と六道会長と了平さん。それを笑ってみている山本。そして焦って止めている沢田。私の隣では雲雀さんがつまらなそうにその光景を見ながら欠伸をしていた(あの人たちを止めてはくれないんですね)私は新年早々、この生徒会をやっていくことに不安を覚えずにはいられなかった。本当に今年一年もちゃんと生徒会はやっていけるのだろうか・・・・・・考えても答えはでない。とりあえず、仕事を進めることからはじめることとしよう。











「新年早々止めてください!」









今年も沢田が叫ぶ一年となりそうだ。ごめんね、沢田。私にはきっと止められないよ・・・・・!














(2008・01・04)

まだお正月は終わらないZE★今年もまったり生徒会は活動中