さぁ、きた。なんだ、このいじめは、と思いながら私は校門にいる三人の少年、プラス赤ん坊の姿を見た。なんで、こいつらがここにいるんだよっ!!お前ら、学校違うだろ!と思っても、そいつらがいることに変わりはなく、周りの女の子達はその少年達を頬を赤らめながら見つめている(とは、言ってもきっと、獄寺と山本だけなんだろうけどね。でも、そんな女の子達に教えてあげたい。ツナが、ツナが一番良いと思うよ・・・・・!と)そんな女の子達に反して、私の顔は一気に青ざめた。サンタさん、私、何か悪いことしました?こんなプレゼントなんて、全然いらなかったんですけど。













「あ、あれ、じゃね?」




「本当だ!」




「おい、!!さっさと来ねぇか!」









その声に、一気に女の子達の視線が私へと集まった。中には睨みつけてくる女の子まで行く。本当、なんなんだよ、この苛め!私、こんな思いしたくなかったのに!と思いながら、突っ立っておけば、山本達はそんな私にかまうことなく、再び名前を呼ぶ(あぁ、なんてことしてくれるんだ!)視線が更に痛いものへと変わっていき、私はその場にいられなくなって、いつの間にか走り出していた。山本たちがいる反対方向へ。もう、この際、校門から出て行くことは諦める。あいつらのところに行ったら、私明日きっと女の子達に血祭りにあげられちゃうこと間違いないから・・・・・!(明日、学校ないけど)それなら、裏門から帰ったほうが良いに決まっている。












「えっ、?!」




「あはは、なんだ、また鬼ごっこか?」



「ったく、そんな事言ってる場合か!」








後ろから聞こえてくる声。って、なんで私のこと追ってくるのぉぉぉぉ?!普通、他校生が学校内に入っちゃ駄目だろ!!そんな常識も知らないのか、と考えれば実際私は並中に何回も出入りしたことがあるからそんな事言えた立場じゃない。いや、だけどあれは雲雀さんが風紀の仕事を私に押し付けるから仕方がないんだよ!私だって、本当は並中になんて行きたくないんだよ。と、少し涙がでそうになりながらも、私は裏門を走り抜けた。まだ後ろからは追ってきている声がする。どうにかして、まかないと、これでは厄介なことには巻き込まれてしまう。ごめんね、ツナ(ツナには何だか悪いことしてしまっているような罪悪感が募るよ・・・・・)











ー!」




「(ツ、ツナ)」







後ろから、ツナの声が聞こえる。その声の必死さに思わず足を止めたくなるけど、私はそれを我慢した。だって、ツナの前を走る山本と獄寺の姿が恐すぎるんだよ!なんで、追っかけて来るんだよ!!と考えれば、見えてきた曲がり角に、私は何かをひらめいた。よし、あそこで勝負にでよう!見えてきた曲がり角に私は勝負にでることにした。ここで、絶対にまいてみせる、と心に決めて、曲がり角を曲がる。曲がり角を曲がった瞬間に私は一気にスピードをあげて、狭い道へと入り込んで足を止める。乱れる息を必死にとめ、タタッ、と走っていく音を聞いて、私はやっと息を吐くことができた。











「(逃げ切った・・・・・)」








乱れる息を、整えつつ、私はホッと息をはいた。やった、やったよ、私。あいつらから誰の力も借りずに逃げ切ったよ!!と心の中で感激しながら、狭い道から顔をだして、辺りの様子を伺う。とりあえず、何人か人はいるけれど、その中にツナ達の姿は見えない。その事に、心のそこから安心する事ができて、体の力がフッとぬけた。あぁ、なんで私こんな目にあってんだろう!!一体何の目的で私を追いかけてくるんだ?!今日は折角のクリスマスなんだから、彼女の一人ぐらい作って過ごせばよいのに!もう、私のことほっておいてよ・・・・!














「(でも、あいつらに彼女ねぇ・・・・)」















一番可能性が高いのは山本だけど、山本は超天然だし、今は野球一筋みたいだしなぁ。女の子が告白してるのに、その事すらに気付きそうにないのってどうよ?(考えたら女の子が可哀想になってきた!)獄寺は獄寺で、ツナ一筋だしね。あはは、何だかちょっと鳥肌たってきちゃったよ・・・・!いや、でもそういう好きではない、と思いたい、って言うか今はそう思うことにしとこう。そして、ツナはなぁ。京子ちゃんが好きなんだろうけど、告白できるかは微妙だよ、ね。










ッ!」





「えっ、誰、誰?!って、ツナァァァ?!」




「み、見つけた・・・・!」







名前を呼ばれたと思ったのはつい先ほどまいた、と思っていたツナ。かなり走ったのか、呼吸が落ち着いてきた私に反してツナの呼吸はこれでもかと言うほど乱れている。そして、ツナの周りには山本と獄寺の姿は見えない。これは、一体どういうことなんだと思いながらツナを見る
「もう、逃がさないから」なんとも、この状況でなければ私の心臓は確実に早鐘を打ちつつ、ときめき、というものを覚えたかもしれないけど、この状況で言われても、なんとも言いようが無い。だって、私はツナから逃げ切る自信があるし、ツナの呼吸はまだかなり乱れている。そして逃げ切らなければ、私の今後は危ういのだから。










「ごめん、ツナ!何しに来たかはしらないけど、無理!!」





「えぇぇ?!何も知らないのに逃げてたの?!(俺、てっきり知ってて逃げてると思ってたのに)





「だって、普通他校生が学校の門で待ってること自体あんまりないし、それに嫌な予感がしたんだよ!」












そういって、私は再びツナから逃げ出そうと足に力をいれる。家まで帰れれば、どうにかその後は居留守を使うとかすれば、大丈夫だろう。ごめんね、ツナ。心の中でツナに謝る。










「ちょっと、待って・・・・!」









走り出そうとした瞬間にツナが叫んだ。私は、その声があまりに必死に聞こえてきて、思わず足を止めてしまった。だけど、ツナがこんなに必死に叫んだりすることってあんまりないし、それにツナは何だかんだ言ってよい奴だから、私はどうしてもないがしろに扱う事はできない。なんとも、いつも断りきれないで後悔する自分の性格をこの時もかなり後悔した(クッソ、ツナの奴絶対私がそんな性格だと分かって、叫んだんだな・・・・・!)








「何?」





「・・・・今日ね、みんなでクリスマスパーティーするからそれでの学校に行ったんだ」





「(クリスマスパーティーか)そうなんだ。だけど、私行けない」





「な、なんで?!」




「だって、私が絶対苦労するのって分かりきってる・・・・・!」





「でも、京子ちゃんも、ハルもが来るの楽しみにしてたよ」













その言葉に一気に私は自分の気持ちが揺らいだ。ツナや獄寺や、山本達とパーティーなんてしたら自分が苦労する事は分かりきっている事だ。だからこそ、ツナのお誘いを聞いた瞬間に私は断りの言葉をツナに伝えた。しかし、京子ちゃんとハルちゃんがくるなら話が別になってくる(自分の今後の為に言っておくけど、別に女の子を好きっていう趣味はまったくもってこれっぽっちもない)だって、あんな可愛い子達とクリスマス一緒に過ごせるなんて、最高じゃないか!ちょっと、この台詞、シャマルさんみたいだとか思ったけど、最高じゃん!




ツナは私が何に弱いのかもう分かりきっているのかもしれない。コイツ、なかなかやるなと思いつつキッとツナを睨みつける。だって、京子ちゃんとハルちゃんの名前を出されたら行かなければならないと思ってしまうじゃないか!ちくしょー、自分で苦労すると分かりきっているのに行くといってしまいそうな自分がいて、少し自分の意思の弱さに泣きそうになった(で、でもさ、京子ちゃんとハルちゃんって可愛いしさ!!)








「それに、」




「・・・・・(それに?)」





「俺も始めはクリスマスパーティーなんて乗り気じゃなかったんだけどさ、」










乗り気じゃなかったということは、既にツナの中では過去形なわけ?!じゃあ、今は結構乗り気でクリスマスパーティーをしても良いと思っているの?!ひ、酷い!ツナの事仲間だと思っていたのに、と思えば、ツナは苦笑いしながら私の目を見て言った。まるで、時間が止まったような感覚が私を襲う










「俺もとクリスマスパーティーしたいと思ったんだ」






真面目な顔のツナ。いつになく真剣な顔に、私の胸は高まった。クリスマスということで、きっとうわついていたんだろう。だから、これは違う。ツナの顔を見て、胸が高まったんじゃない。と自分に言い聞かせても、ツナの言葉、ツナの真剣な顔で、私の胸が高まったのはまぎれもない事実だった。いつもの頼りないツナからは想像できないぐらい、かっこ良くて、そう、まるでボスのような顔だった。優しさの中に確かにある、決意。











「みんなで、クリスマスパーティーなんて今までしたことがなかったし、何だかんだ言って俺もみんなといるの楽しいから好きなんだ、
と思う







「(おいおい、最後思うって付け足しているよ!)」








だけど、ツナの気持ちは本物なんだろうと思った。だって、私もツナの気持ちが分からないわけではない。それに、私とクリスマスを一緒に過ごしたいと思ってくれる人がいることはとても嬉しいと、素直に感じられる。私も、嫌いじゃない。ただ、苦労が多いけど、みんなと一緒にいるのは何だかんだ言って楽しいと思う。それに、その時間がずっと続けば良いとまで思うときがある(まさか、こんな気持ちになるなんてなぁ)考えられない自分に自嘲。だけど、まぁ、騒がしいクリスマスというものもありなのかもしれない。












「・・・・分かったよ、ツナ。私もクリスマスパーティーに参加させてもらうよ」



「良かったー!」




「それに、どうせ私が参加しないとツナも大変だと思うしね」







といえば、ツナはあはは、と少し疲れきった様子で笑っていた。多分、あそこでツナが私と一緒にしたいといわなければ私はツナ達とクリスマスを過ごしたいと思わなかったし、きっとこんなに胸が高まる事はなかっただろう「私も、ツナと一緒にクリスマス過ごしたいよ」普段の私じゃ言わないような言葉に、ツナは一瞬驚いた顔をして笑った。私もそれにつられたように笑う。ツナの顔が赤いのも、きっと赤くなっているだろう私の顔もすべては、この夕日のせいだ、よ。












「・・・・・じゃあ、みんなのところに行こっか?」




「はぁ、獄寺がうるさいんだろうなぁ」










ため息混じりに言えば、獄寺と山本がこちらにやってくるのが見えた。獄寺がかなり怒っているのが、遠いこの場所からでも分かる(あいつ、本当ムカつくよな・・・・・!)ツナの方を見れば、やっぱり苦笑いといった感じで笑っていた。ツナは私の視線を感じてかこちらを振り返る。やっぱり、その顔はいつものどこか頼りない顔で、私は自然と微笑が零れた。京子ちゃんと、ハルちゃんがいるなんて楽しみだな!なんて、本当はみんなと過ごせる事が一番楽しみだと思っているのは、今は誰にも言わない。








でも、いつか伝えるよ


(ボンゴレファミリーに入れて良かったよ、ボス)
















(2007・12・25)
ツナとボンゴレでクリスマス。

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