クリスマスなんて、私にはさほど気にするものではなく私はいつもどおりスーパーへとやって来ていた。スーパーはスーパーなりにクリスマスを意識しているのか、かかっている音楽がジングルベルだったり、クリスマスツリーがあったり、特売品はクリスマス関係だったり、した。そして、その中にたまに見かける正月の商品が少しだけ私を悲しい思いにした(まだ、クリスマス終わってないのに、ね?)今日の晩御飯は一体何にしようかなぁなんて考えつつ様々な食材に目を通していく












「(ここは、ブリの照り焼きとかにしとくか?)」









まったくもって、クリスマスなんて気にしてないなー。なんて自分でも感じる。いや、だけどさ、私にとってクリスマスなんて正直関係なくない?ハハッ、まぁ、開き直りといわれれば開き直りだけどさ!どうせ、クリスマスに一緒に過ごすような相手(男)なんているわけ無いさ!なんだよ、悪いかよ!!別に良いだろ、一人でクリスマス過ごしたって・・・・・・!(なんだか、涙がでてきたかも、)少し、気分が滅入ったかもしれない。なんで、私、こんな日にスーパーで主婦みたいに晩御飯の買い物しちゃってるわけ?私、女子中学生なんだよ?











「・・・・・ハァ」




?」





「ち、ち、千種くん?!えっ、えっ?!(なんで、こんな所に?!)」




「驚きすぎ。買い物にきたら、が見えたから」








そう言って、千種くんが見せてくれたのは買い物かご。本当に千種くんって、将来良い主夫になると思うよ。私、千種くんは美形だけど、千種くんなら結婚したいと思うもん(まぁ、千種くんにはもっと可愛い女の子がお似合いだけどね!)それにしても、千種くんなんてやる気はないけど、モテそうだからクリスマスなんて女の子からのお誘いコールとか一杯ありそうなのに、なんでこんな所にいるんだろう。スーパーで晩御飯の買い物している女子中学生よりも、男子中学生の方が変だよね!よし、私は変じゃない(と、まるで、自己暗示のように自分に言い聞かせた)







「・・・(まぁ、だけど千種くんは女の子とクリスマス一緒に過ごすようなキャラじゃないか・・・・)」




「何?」





「えっ、いや、なんでもないよ!今日はクリスマスだなって思ってただけ!」




「クリスマスか、また面倒くさいことになりそう・・・」





「(あぁ、骸さんと犬くん、か)」














千種くんのたった一言でなんとくなく予想ができてしまうところが悲しい。いや、だけど、なんとなーく、予想できるんだよね、骸さんと犬くんがクリスマスってだけで盛り上がってそうなところが(いやぁ、だけど男二人で盛り上がるのが女二人で盛り上がるのより、可哀想に思えるのはなんでなんだろうね!)あぁ、千種くん可哀想だなー。まぁ、だけど、私には関係ないし、ごめんね、千種くん!!だけど、あの2人は私でもとめられないからね。と心の中で応援しつつ、私はその場を後にしようとした。













「そっか、千種くんも、大変だね。
・・・・・じゃっ!





「じゃっ、じゃないから。俺一人じゃ大変だし、」









バシッと、つかまれる腕。あれ、これってさ、ちょっと、千種くん、も、も、もしかして私も巻き込もうとしてる?いや、分かるよ、分かる。千種くんがこれからどんなつらい目にあうかなんて。だからって、それに私を巻き込まなくたって良くない?それに、今日クリスマスなんだよ?(なんて、さっきまでクリスマスなんて気にしないって言ってた人の言葉とは思えないかもしれないけどさ!)イヤダァァ、と反抗して千種くんの手をブンブン振り回すけど、千種くんの手は私の腕から離されることなく、私達はスーパーを後にした。私は、結局何も買わないままスーパーを出たけれど、千種くんはちゃっかりとお会計をしていた。うわっ、本当、なんか今日の千種くんはムカつくね・・・・・!だけど、私もさっき千種くんを見捨てようとしたから何も言えないけど!













「千種くん、ほら、私、無理だよ!!今から、吾郎の御飯を作ったりしないといけないからさ・・・・!(自分で言っててちょっと悲しくなったけど)」





「・・・・・」









無言のまま引っぱっていく千種くんに、私はなすすべなくただついて行くことしかできない。あぁぁぁぁ、嫌だぁぁぁぁ!!心の中では必死でどうやって逃げようかを考えている。でも、千種くんをほっておけるのか?と言う、気持ちにも段々となって来て、(だって、千種くんって数少ないツッコミ担当なんだもん)もう、これは覚悟を決めて、骸さんと犬くんの相手をしなければいけないのか、と思えば、千種くんが止まった。一体、どうしたんだろうと思い、千種くんのほうを見れば、千種くんは一言だけ言葉を発した。






「めんどい」





いや、何がめんどいんだよ。何が。確かにこの言葉が君の口癖だと言う事は十分分かっている。しかし、だ。このタイミングで言うのはなんとも可笑しいのではないのか?いや、だってさ、人を急に引っぱってさ!私は買い物の途中だったのに、結局何も買わずにスーパーを出たんだよ。それで、渋々千種くんについていってたっていうのに、何がめんどいなんだ!意味が分からない、と思いながら千種くんを見れば、千種くんはハァと深い息を吐いた。
















「このまま、骸様と犬のところに行くの・・・・・めんどい」













ボソッとまた呟いた。どうせ、行くといっても帰る場所はそこなんだろう、とも思ったけれど私は何も言わなかった。と言うか、呆れた。千種くんは、帰ることまで面倒くさいと思ってしまったのかと。まぁ、確かにあの骸さんと犬くんがいる家に帰るのは足が重いことは間違いないと思うけど、そこにしか帰る場所がないのだから、それを面相くさいと思っては駄目だろ。私だって、とてもうざったい兄がいるが、家に帰るのを面倒くさいなんて今まで一度も思ってことはないぞ?














「(だけど、このまま道のど真ん中に立っておくのもなぁ・・・・)じゃあ、千種くん、近くの公園にでも行く?」




「・・・・・」








私が聞けば、千種くんは何も言わずにゆっくりと頷いた。なんとも、クリスマスに愚痴大会とは切なさを覚えるものがあるけれど、これはこれで楽しいから好きだ。それに、愚痴なんて千種くんや、ツナにしかいえない。他の人に言っても、きっと私の苦しみなんてわかって貰えないだろう(あぁ、それとスクアーロさんも分かってくれると思うよ!)苦労人にしか分からない。だからこそ、千種くんといる時の雰囲気は私は好きなんだ。心地よくて、ゆっくりと時間が流れて、本当に千種くんは
癒し系だよね!




寒い公園の中、私と千種くんは愚痴を言い合った。あぁ、分かるよ、千種くん!と同感するものも多数。骸さんと犬くんに囲まれての生活は私が考えている以上に大変らしい。ごめん、千種くん。と思わずにはいられないぐらいのものだ。今度、骸さんが千種くんに何か言ったら殴る事にしよう。犬くんは・・・・・その時の状況によって、殴る。あの子は可愛いから、殴るに殴れないんだよ。














「それにしても、クリスマスにまでこんな愚痴大会だなんて、ねー」




は、嫌だったの?」








千種くんが私に聞く「まさか、そんな。私は千種くんといる時間好きだから、クリスマスに千種くんと一緒にいれてよかったと思うよ」本当、クリスマスまで骸さんや犬くんの相手なんて大変そうだし、千種くんと一緒にいれるなんて、サンタからの贈り物と言っても良いぐらいだ。そのぐらい、私は千種くんと一緒にいるのは好きだと思っているし、千種くんにもそう思って貰いたいとも思う「じゃあ、千種くんは嫌だった?」と聞けば、千種くんは首を僅かに横に降った。










「俺も、と一緒にいれて楽しいから」







千種くんの言葉に私の頬は緩んだ。とても、とても嬉しかった。まさか、千種くんからこんな事を言って貰えるなんて。サンタさん、最高のクリスマスプレゼントですよ「クフフ、僕もと一緒にいられるなんて嬉しいですよ」あれ、幻聴かな?今、骸さんの声がしたような気がしたんですけど「俺らって、うれしいびょん」・・・・・・どうやら、幻聴じゃなかったらしい。おい、サンタ。なんてことしてくれたんだよ。私は千種くんからあんな風に言って貰えて嬉しいとは言ったけど、他の人から言われて嬉しいなんて思ってないぞ?いや、まぁ、犬くんからの一言はすごく嬉しかったのだけど(だって、犬くん、可愛いからさ・・・・!)











「千種くん、私今、幻聴が聞こえたかもしれない」





「多分、それ、幻聴じゃないよ」




「やっぱり?」








隣を見ればコクリと千種くんは頷いた。声のした方を考えれば、きっとうしろにいるはずだろう。なんとも振り返りたくない。すごく振り返りたくない。もう、このまま帰っちゃおうかな。と思えばガシッ腕を掴む感触。えっ、ちょっと、千種くん、なんで私の腕掴んでるわけ?君なら、今の私の気持ち嫌ってほど分かってるよね。あぁ、だからか!だからなのか?!だから、私が今逃げ出そうとしたのがバレてしまったのか?!と思いながら恨めしそうに千種くんを睨めば、千種くんは私から視線を外した。ひ、酷ぇ!












「それでは、みんなでクリスマスパーティーを過ごしましょうか」




「・・・・(あぁ、逃げられないのか)」








こんなクリスマス望んでいなかったのに。と嘆きつつ、まぁ、千種くん一人に可哀想な思いをさせるのも酷な話だと思い直して、私は覚悟を決めた。千種くんにつかまれた腕は、寒い風の中も暖かかった。しょうがない、さっきの言葉で勘弁してあげるよ、千種くん。千種くんが私と一緒にいれて楽しいと言うのなら、一緒にいてあげましょう。しかし、このお返しはいつかどこかでするから忘れないでね、と思いながら千種くんを見れば「・・・ごめん」と耳を澄まさなければ聞こえないほど、小さな声で言った。やっぱり、千種くんは良い人なんだよね。そんな人に仕返しなんて私、出来るわけがないから・・・・・!













、ほら行くびょん!」




「犬、そんなにはしゃぐな」




「うるへー!柿ピーのくせに!」





「こらこら、千種も犬もこんな日に喧嘩をしないでください」









なんとも微笑ましい雰囲気。そんな中に私も入って良いのだろうか、と言う疑問を覚える。いや、今はそんな事を考えるのはやめよう。千種くんが私と一緒にいて楽しいといったのも事実。そして、私が彼らと一緒に過ごしたいと思ったのも事実。さて、今年のクリスマス。とても、にぎわしい楽しいものへとなりそうだ。とりあえず、千種くん。君に感謝するよ。君がいなければ、私はストレスでどうにかなってたに間違いないから(もうね、胃潰瘍とかなっても可笑しくなかったよ)もう一度、楽しそうな三人を見る。それを見ながら私は、どうかサンタさん彼らに何かプレゼントをあげてください、と心の中でひっそりと願った。







君たちはどんなプレゼントを所望しますか?


(私は君たちと一緒にいられるのならプレゼントなんていらないと思えるよ)

















(2007・12・25)
千種と黒曜組でクリスマス。めざせ、ほのぼの

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