今日はクリスマスらしい。らしいというのは私とはあまり関係のないことだから、そんなまるで他人事のような言い方になってしまったのだと思う。だって、クリスマスって言うのはあれでしょ?カップルの為の行事でしょ?それか、家族の為の行事でしょ?お母さんもお父さんも、今年は残念な事ながら海外出張から帰ってこない。だから、私にとって今年のクリスマスはいつもと変わらない一日となってしまった(そして、私なんかに彼氏なんかがいるわけじゃない)まぁ、別にゆっくり過ごせるならそれでも良いかな、なんて思いながら私は人もまばらになった学校から家へと帰るべく校門へと向っていた。
学校外へと一歩足を踏み出せば、見えてくるのは女子の塊。この光景を私は以前も一回見たことがある。そう、あれは確かハロウィンの日だったはず(急に悪寒がしだしたのは気のせいだよ、ね?)ゾクッと背中に、嫌なものが来る。私はそれを見ないようにと思い、足早に女子の塊の前を通り過ぎようとした。「!」はい、きたー!この声は、と思い女子の塊の中を見ればそこにはやっぱり骸さんがいた。はい、嫌な予感は大当たり!なんて少し現実逃避をしつつ、私は私の名前を呼んだのが骸さんだと確認した瞬間走り出していた。
「えぇ、ちょっと?!なんで逃げるんですかぁぁ?!」
「すいません、私って人じゃないんでぇぇ!」
必殺、知らない人大作戦。後ろでは骸さんの声が聞こえているけれど、私はハロウィンのような事はもう二度とおかしたくない。あの時、骸さんの周りにいた女子が私を睨む目は一生のトラウマになるといっても過言ではないほど、きついものだった(もう、ね、泣きそうだったんだよ・・・・・!)ここまでくれば大丈夫だろうと思い、はぁっと乱れた呼吸を整えて、後ろを振り返る。よし、誰も来ている様子は無い。ははっ、折角のクリスマス(さっき、私には関係ないって言ったばかりだけど)骸さんみたいな変態な人と過ごす趣味なんて、私には「」・・・・・?
「(あれ、今、骸さんの声がしたような)」
まぁ、そんな後ろからは誰も来ている様子は無いのだから、そんな事はありえないか、と思い前を向く。そこには、息一つ乱れていない、青と赤のオッドアイの瞳を持つ顔だけ見れば綺麗な少年が微笑んで立っていた「」再び、私の名前をつむぐ。いや、ちょっと、待ってよ。そんな、まさか、ね。あるわけないよね。だって、私、結構頑張って走ったんだよ?男女に力の差はあるとは思うけど、それでもかなり早く走ったんだよ?それなのに、なんで、
「む、骸さん(なんで、この人はここにいるんだ?!)」
「クフフ、がいきなり走り出すから驚いたじゃないですか」
「・・・・(私はおっかけてきた、あんたに驚いてるよ!)」
「それに、嘘はいけません、ね?」
ニッコリと微笑む骸さん。すいません、目が笑ってないのって私の勘違いですかね?いや、でも、あそこで私が自分のことをって認めてたら、あの骸さんを囲む女子達に明日血祭りにされていたこと間違いナシなんですよ。本当、骸さんって見た目だけは良いですから(それに、紳士的だからね)あぁぁ、もう明日あの女子達に何かされたらどうしてくれるんだ!と思いながらキッと、睨みつければ骸さんは何を勘違いしたのか「そんなに見つめないで下さい」なんて言いやがった。あの女子達に明日、何かされたら言ってやろう。人間大切なのは中身だって。
「それで、骸さんは今日も嫌がらせをしにきたんですか?」
「今日もってどういうことですか!」
そりゃ、いつも骸さんが会いに来た日って大体悪いことが起きますからね。いつも一緒にいる千種くん(あと、ついでに犬くん)の苦労は大きいものだと思うよ。周りをとおりすぎていく、カップル達。とても幸せそうで、うらやましかった。なんで、クリスマスに私はこんな変態と一緒にいるんだ。自分が可哀想すぎて涙がでてきそうだよ。
「はぁ・・・・」
「目の前でそんなため息疲れるとさすがに僕だって傷つくんですけどね!」
「いや、だけど、なんでクリスマスに骸さんといるんだろうと思うと、」
「クフッ、そんな事言って!今の僕たちは周りから見れば、クリスマスデートでもしているカップルにしか見えませんよ!」
「えぇ、そんなのいや過ぎるんですけど・・・・!」
「・・・・(そこまで、嫌がること無いじゃないですか!)」
だって、骸さんとカップルに見られるなんてそんなの、嫌すぎる。それに、私が骸さんみたいな(見た目だけは)かっこ良い人と、カップルに見られるはずがない。せいぜい、よく見てお友達くらいだろう。かっこ良い人には、可愛い彼女。これが世の常というものじゃないかと思う。確かに、骸さんは変態だし、中身も可笑しいけど、世の中では美形に分類されるような人だし(とても、とても不本意ではあるけど)私みたいな普通な女の子と付き合っていると周りが勘違いする事は無いに決まっている。
「あっ、それで、何か欲しいものはありませんか?」
「(この人はまた突然、)何でですか?まぁ、欲しいといえば平穏が欲しいですけど」
「そんなもの準備できません!・・・・なんでって、そりゃ今日がクリスマスだから、ですかね」
「クリスマス、だからって」
「良い子にはサンタからプレゼントが届くんですよ」
む、む、骸さんがサンタなんて信じてるなんて、恐すぎる!と思って見ていれば「別にサンタを信じているわけじゃないですからね」と言われた。あれ、私が思ってること筒抜け?なんて思ったりもしたけど、骸さんだからツッコむ気にもなれなくて、私は、ただ引きつった笑みをうかべるしかできなかった。骸さんをまともに相手にしてたら、どんなに時間があっても無駄に決まってるか。と思い、私はまともに考えることをやめた。どうせ、骸さん相手なんだ。本気で話しても意味がない
「別にこれといって、欲しいものはないですよ」
「そうですか・・・・じゃあ、」
満面の笑みで骸さんがこちらを見る。あぁ、本当に顔だけはかっこ良いのにね。周りの彼氏持ちの彼女さんも、骸さんのこの笑みに何人かおちたように見えた(彼氏が可哀想で仕方がないよ・・・・!)私だけでも、この笑顔に騙されてたまるか!と気合を入れなおして、骸さんを見つめる。じゃあ、の先に一体どんな言葉が続いているのだろうか。変な言葉じゃないと、良いんだけどな!
「(じゃあ、何・・・?)」
「僕がプレゼントなんてどうです?」
「ありきたりな展開過ぎて、涙がでそうですよ」
本当、何このありきたりな展開!骸さんが相手って時点で何となくこんな言葉も予測できなかったわけじゃないけど、まさかこんなありきたりな事本当に言ってくるとは誰だって思わないでしょ。それも、こんな満面の笑みでさぁ!周りの女の子達は今の言葉が聞こえなかったみたいで、まだポワーンと恋する★瞳で骸さんのこと見てるけどさ、この言葉聞いたら絶対ひくって!絶対、そんな目で見なくなって、むしろ冷たい目で見るようになるって。と、思いつつ、骸さんのほうを冷たい目で見ていれば、骸さんはいきなりハッとした目で私の方を見た。
「も、も、もしかして・・・・」
「もしかして?」
「もう、他の男にこんな言葉を言われたんじゃ「そんな事、あってたまるか」」
そんな骸さんみたいに変なこと言う人が私の周りにいたとしたら、もう私生きていけませんから・・・・!変態なんて骸さん一人で十分ですから!(いや、変態なんて自分の周りにいること自体嫌なことではあるんだけど、だけど、骸さんの変態ってもう治しようがないから)はぁ、と思わずため息が零れる。それに、私にこんな事言う人なんて、いるはずがない。自他共に認めるような平凡少女。そんな女を好きになってくれる人なんて、いるはずがないんだよ。それに、いても困る・・・・私の周りって自分で言うのもなんだけど、美形が多いから。私、付き合うなら普通の人って決めてるから!
「そうですか、それなら良かったです」
「(何が良いんだろう。もう、帰っても良いかな・・・・・・?)」
「では、。本当のプレゼントはこちらですよ」
「えっ?」
骸さんに腕を引っぱられて歩く。一体、何をプレゼントしてくれるつもりなんだ、と思いながら歩けば、そこは大きなクリスマスツリーが飾られている場所(綺麗・・・・)イルミネーションされた、それはとても綺麗で、骸さんにしたらまともなプレゼントだ、と思いながら骸さんを横目で見たら、ゆっくりと微笑んだ。本当、何も言わないで立っておけば普通にかっこ良いのに。いや、まぁ、髪型がパイナップルだから普通に、と言われるとそうじゃないかもしれないけど、さ!
「どうです、気に入りましたか?」
「あ、はい。とても、綺麗、です」
「クフフ、そうですか。それは良かった」
本当に嬉しそうに微笑む骸さん。何だか、ありがとうございます、と素直に骸さんに言うのは恥ずかしくて、(って言うか、何だか癪で)私は心の中でお礼を言った。再び骸さんから視線を移し、クリスマスツリーを見た。何だか、必殺、知らない人大作戦なんてして、悪かったかなぁなんて、私にしては珍しく骸さんに対して悪気を感じた。本当に珍しくてしょうがない。だけど、そう思えるぐらいクリスマスツリーは、見れて良かったと思えた「、プレゼントはこれだけじゃないんですよ?」隣から聞こえてきた声に、私は骸さんのほうを見た。
「どういう、意味ですか?」
「こういう意味です」
パチンッ、と骸さんが指を鳴らす。一体、何をしたんだろうと、少しの間不思議そうに見ていれば、目の前に落ちてきたのは真っ白な、冷たい雪。そんなまさか、と思い骸さんを見れば、意味深に微笑んだ(この雪、もしかして、)空を見上げれば、雪が降りてくるのが、目に入る。「」骸さんが私の名前を呼ぶ。
「これが、僕のクリスマスプレゼントです」
こんなクリスマスプレゼント貰ったのなんて始めて。いや、クリスマスなんて関係なく、雪をプレゼントとして貰ったのなんか始めてに決まっている。骸さんが、本当に人間なのか気になるところではあるけれど、今はそんな事より、このプレゼントがとても嬉しくて、そんな事を考える事事態馬鹿げていると思えた。雪なんて、地面に落ちてしまえば消えてしまうものだけど、それでも、私の心の中には骸さんがプレゼントしてくれたこの雪たちはしっかりと残った。
「ありがとうございます、骸さん」
「クフフ、どういたしまして」
あぁ、なんて見た目だけは良い男なんだろう(そして、この見た目に騙される)サンタからのプレゼントなんて、貰えないけれど、骸さんから貰ったプレゼントは、とても素敵なものだった。骸さんが、サンタなんて考えるだけで笑ってしまうけれど、それでも少し、そう思えた「お礼は、との一日デートで良いですよ」あー、私は何も聞いてないよー。折角、見直したと思ったらすぐにこれだ。だけど、一日デートしても良いかななんて思える自分もいて、頭が痛くなった(十分、骸さんに騙されてるじゃん)
ホワイトクリスマスなんてベタすぎですかね?
(骸さんらしいと言えば骸さんらしい、とても素敵なプレゼントですよ)
(2007・12・25)
骸とクリスマス。当サイトの骸はいつもどこかで変態です
最後の台詞はさり気なく、骸さんの話題のあの曲から引用。実はずっと使いたかった言葉なんです。
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