Huta

年の差というのは時に残酷なもので、その差はいつも僕と姉との距離を表しているように感じられる。あれだけあった身長の差は、もうない(むしろ、僕は姉の身長を追い越したのに、)
なのに、年の差はいつまで経ってもなくなるものじゃない。

好き、と言う気持ちで年の差が無くなってしまえば良いのに

きっと、姉の好きな人ランキングでもしたら、この気持ちがすっきりするのかもしれないけど、だけど、それは恐くて出来るわけがない。
いつも子供扱いされて、異性として見て欲しいと思うのに。


(でも、僕は、)


子供である自分を、利用している。姉に甘えて、僕は姉と一緒にいようとしている。子ども扱いされるのは嫌なはずなのに、それを利用しているなんて。

姉は、どんな風に思うのかな……)
僕が好きだと言ったら、本気で受け取ってくれるのかな。それとも、冗談だと思われるのかな。

―――姉のことだから、冗談だと思うんだろうね。


年の差がなければ、僕の告白も子供の戯言なんて思われることはない、と思う。姉を思うこの想いが本気だと受け取ってもらえるはず、と思う。
だけど、どんなに願ったとしてもこの年の差が埋まるわけではない

なら、どんなに願ったとしても年の差が埋まるわけではないのなら、僕は僕なりに姉につりあうような男になってみせるよ。ツナ兄みたいに、頼りある男にはまだなれないかもしれないけど、姉よりも全然子供な僕であるけど、だけど、

姉を思う気持ちなら、ランキングで見なくても一番だと言い切ることができる、から



いつか、貴女に追いついてみせる






Mukuro

巡り巡る輪廻の中で貴女と会えた事は、僕にとっての奇跡だと思えた。いや、そう思いたかったのかもしれない。そう思うことで、僕は君との出会いを運命だと感じる事ができて、僕は君と出会うべく出会った存在だと思えたから。

「好きです、」

伝えられるなら、この世界の中で伝えたい。来世でまた出会える確証なんてどこにもないのだから。好き、と貴女に伝えたら貴女はどんな反応を返してくれるのだろうかと思えば、クフフ、と自嘲地味に笑いが零れた。

来世なんて、
輪廻なんて、


貴女とまた会えるなんてことが分からない世界

(そんな世界、僕にとっては、)

そんな世界の何が楽しいのだろう、と思う。僕にとって貴女のいない世界なんて、今やとても考えられない世界。
だからこそ、今、この世界で君にこの思いを伝えたい。そして、僕はこの世界で君にずっと僕の傍にいてほしいと願う。


あぁ、今より大切なものなんてないのかもしれませんね


来世で君に会えるかどうかも分からなくて、次があるかどうかさえもわからない、この世界。なら、今を、君と過ごせる、この今を大切にしましょう。そして、この世界に生きる君を大切にしましょう。




巡り巡る輪廻の中、君と会えた、この現実が僕にとってはかけがえのないものの一つ。


もしかしたら奇跡、なんて一言ですまされないぐらい、君と出会えたことができたのは僕にとって幸運なことかもしれませんね、なんて。僕らしくも無いけれど、それでも、君と会えたことはそれだけ僕にとって、大きな僕の運命を変えてしまうくらいの、ことだったんですよ?



君もどうか大切だとは思ってはくれませんか?


(僕と過ごすことができる、今、を)







Kyoya

僕が、君を好きだということは偽りのない事実。しかし、どんなに偽りのない事実であってもこの言葉を口にしてしまえば君はもしかしたら僕から離れてしまうかもしれない。そう思うと、僕は、何も言えなくなってしまう。


(好きだ、好きだ、好きだ)


心の中で何度も反芻してこの言葉を言っても、目の前にいる君に伝わるわけではない。この想いがなくなる訳でもない。だけどこの行き場のない想いはいつも、時間が経てば経つほど大きくなって、とてもじゃないけど僕の心だけでは抱えきれなくなって、

(いっその事、この関係を壊してでも伝えてしまおうかと思うんだ、)

風紀の仕事だと言って、君を縛り付けてしまっているのではないかと不安になることもある。
だけど、君はいつでも笑顔で僕の近くにいてくれるから期待してしまう。そんな自分がどれだけ愚かで、どれだけ馬鹿なのかは自覚している。


「君が、」


好きだ、と言う言葉。その言葉は今は飲み込むことにしよう。今はまだ臆病な僕だから、この甘んじた関係を続けよう、風紀委員長と風紀委員と言う関係を。

でも、君が他の誰かのものになる前に絶対に伝えてみせる。



僕は、君が好きだ


僕が言ったとはとても考えられない、しかし偽りのない言葉。君はこの言葉を聞いて、何を想う。






Tunayosi

好きになってから、それが愛にかわるまで大した時間はいらなかった。いや、どこからが恋でどこからが愛なんて俺には区別ができない。だけど、俺は君をいつからか守りたいと思うようになっていた。


「ツナ」

ただ、この俺を呼んでくれている凛とした声が守りたい。ただ、この俺に微笑んでくれる笑顔を守りたい。君のすべてを守りたいと思っていた。でも、俺はボンゴレのボスだから、君だけを守るなんて言えるわけがなくて、

「どうしたの、?」

(ボスとしてしか、君を守ることができない)


いや、ただそれはただの言い訳であって、俺がボンゴレのボスと言う理由だけでなく君を守りたいと思っても、俺はその気持ちを君に伝える勇気がないだけ。
本当は、

ボンゴレのボスとしてではなく、沢田綱吉として君を守りたい。


その思いは、君にとってはただの重みになってしまうのだろうか。それとも、他の誰かに守ってもらっているのだろうか。臆病な俺は、そんな事聞くこともできずに、ただ君に微笑むことしかできない。

(いつか、この想いを伝えられたら)

もしも、君が俺と同じ気持ちだったとしら、俺は沢田綱吉として君を守るために戦おう。もしも、君の気持ちが俺と違ったとしても、ボンゴレのボスとして君を守ろう。

――君の気持ちがどうであっても、俺が君を守ることにかわりはないから


だから、いつまでも俺の好きな笑顔でいて欲しい。それが、俺の為の笑顔じゃなくても、その笑顔は君を守る力となって俺を強くしてくれるから。



好きだよ、君をずっと守っていきたいんだ









Byakuran

どうして、君はボンゴレなんだろうね。いつも、そう思うよ。
始めはただの気まぐれだった。近づいて何かボンゴレの情報でも聞き出せないかと思ってただけだった。

(なのに、まさかこんな気持ちになるなんて)

何も知らないで微笑む君の姿を見るのがこんなに胸が痛くなるとは思いもしなかった。 君はボクが何の目的で君に近付いたのかは知らない。

だから、そんな笑顔をボクに向けるんでしょ?
ボクがミルフィオーレだと知ったら、君はボクを軽蔑するような目で見るんでしょ?

「白蘭さん?」

「やぁ、チャン」


好きだ、と伝えるわけにはいかない。きっと、この思いを口にしたらボクは、君を泣かせたくないと思ってしまうから。君を泣かせるようなことはしたくないと思ってしまうから。
君はボンゴレを潰したら、泣くんでしょ?


(ボクが考えていたいた以上に君はボンゴレを、大切に思っていた)
だったら、ボクは君にこの思いを伝えることはできないよ。だって、ボクにはボンゴレを殲滅するという使命があるから。


チャンと話すのは本当に楽しいね」


もう少しだけ、この時間を楽しませて。ボクはいずれ、君のボスを殺す。その時に、君はボクの正体を知ることになるだろう。ボクの正体を知ってしまえば、君は、もう、

ボクには微笑んでくれなくなるだろう、ね



(それがとても悲しいよ)

だから、その時までは、ボクは偽りの仮面をかぶって君に接するよ。ミルフィオーレやボンゴレなんて関係なく、ただ一人の男として。そして、ボクは君がボクに微笑んでくれなくなるその瞬間まで、



この時間を楽しむこととしよう


(好きだ、という気持ちを押し込めて)





(2008・11・01)