Hiyosi

今日は俺の誕生日、朝から先輩達や鳳が煩くてとてもうざったくて仕方がない。

俺の誕生日だからって、別に大したことはないだろう、と思いながら教室に行けば、俺の机の上にはプレゼントらしきものがたくさん。正直、知らない奴らから貰ったものなんて、恐くて使えるわけがない。

しかし、捨てるわけにもいかず、俺はその机を見て静かにため息を吐いた。


(俺の誕生日なんて、普段と変わらない日に変わりはないのに)


自分でも冷めていると思うけれど、誕生日なんて俺にとっては特別な日でもなんでもない。ただ、家族が用意してくれたケーキを食べて、そしていつものように宿題をして、眠りにつけばいつの間にか終わっている誕生日。
そんないつもと変わらない日に、何を喜べと、何を期待しろと、俺に言うんだ。

「だけど、私は日吉が生まれてきてくれて嬉しいと思うよ」

目の前で微笑む、お前に、俺の心は少しだけ、熱くなった。そんな風に言われたら、自分の誕生日が、いつもと変わらない日だと思えなくなってしまうじゃないか。
思わず、頬が緩む。

だけど、お前の一言でそんな風になるなんて少しだけ自分が許せなくて、俺はなんとか頬が緩むのを止めた(ただの、クラスメートでマネージャーの言葉で一喜一憂するなんて、)


「おめでとう、日吉」


あぁ、止めるまもなく、自分らしくもなく俺の頬は緩んだ。
ただの、クラスメートでマネージャーの一言ならこんな風になるわけがないのに。やっぱり、好きな奴から言われると、嬉しい、と思う。

自分も単純だな、と自嘲地味になって、目の前のお前を見れば、とても愛おしくて感じてたまらなくなった。






Ositari


好きなんや、って直接言わなこの気持ちは君に届かないんやろうか。
こんなに近くにいる、君。気付いて欲しいと思う気持ちと、気付いて欲しくないという気持ちが交差して、結局、意気地が無い俺は何もできん

マネージャーとして君が近くにいることを素直に嬉しいと思う。

やけど、跡部と仲良く話す姿は見たくないと思う。岳人やジローとじゃれあっている姿を見たくないと思う。他の、俺以外の男と話して欲しくないと思う。


嫉妬深い自分の気持ち。

(こないな気持ち、ちゃんには知って欲しくないなぁ)


もしちゃんが、こないな俺を知ってしまったら俺に失望してしまうんやろうか。なんて、考えたらこの気持ちも伝えられへん。俺の傍にいて、微笑む君。

(あかんって。そんな可愛い顔せんといて)
そないな顔されたら、抑えられるものも抑えられんくなってしまう。


―――なぁ、俺

君が誰かと話しとるだけで嫉妬するほど、君のことが好きなんやで?





(2008・11・01)