普段は素直な事なんて絶対に言えない俺だけど、たまには素直になって、この思いをお前に伝えおうか。
――好きだ
誕生日なんて、俺にとっては普段と変わらない日だけど、お前が祝ってくれるならどんな日よりも尊くて、大切な日へとなるんだ、と。
今、少し後悔するのは詐欺師と呼ばれるようになったこと。普段の日常生活や、テニスでは大いに役立つこの称号も好きな奴の目の前じゃ、役に立つどころか自分の言ってることが信じてもらえなくて逆に困る。
「好きなんじゃけど」
ほら、また。お前はこの言葉を信じやしない。
笑顔で、俺の気持ちを否定して、俺の心をかき乱して、あぁ、どうやったらお前にこの想いが届くんだろうと、思う。
まさか、詐欺師の俺が本気で誰かを好きになるなんて、俺自身戸惑っているのは確かだが、この気持ちに嘘なんて一つもない。
俺はお前を愛しとうよ・・・・?
また、君の耳元で囁く。この想いが君に届くよう。好きだ、愛しているという気持ちが伝わるように。また信じようとせずに背中を向ける君に、俺の肩は落胆。
次はどうやって、君にこの気持ちを伝えようかと考えれば、見えたのは真っ赤になった君の耳。
これは期待しても良いのか、それとも
(まさか、詐欺師の俺が相手の罠に引っかかるわけには行かんぜよ)
少しだけ詐欺師の血が騒ぐのは俺の悪い癖か。だけど、少しくらい期待しても良いんじゃろ?
真っ赤になった君の耳に、俺の口端は僅かにあがる。思わず零れそうになる笑いを抑え、もう一度、君の耳元で囁こう。
世界で一番好きじゃ
(さて、真っ赤になったその顔に自惚れても良いものなのか)
(2008・11・01)
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