公園へと行く途中、ふと見えた金髪に私の足はとまった。金髪なんて、最近じゃ珍しくも無いけれどその金色の髪はキラキラと光っていて、とても染めたような髪の毛には見えなかった(き、きれいだ・・・・・!)あまりの綺麗さに目を奪われた私は、少しの間その金色の髪の毛を見つめていた。しかし、そろそろ友達が待っているから公園に行かないと、と思い私は足を踏み出した。その瞬間、金色の髪の少年が、思いっきりこけた。
「(えぇー、これってどうすればよいのー?!)」
それもその青年は、見事に私の近くでこけてくれて、さすがに無視をするわけにはいかない状態(やっぱりこれって、声をかけたほうが良いんだよね?!)そろりそろりと金髪の少年に近付いていく「あ、あの、だいじょうぶですか?」私が声をかければ少年は驚いた様子でこちらを見て、服についた汚れをはらいながら立ちあがる。
「あぁ、大丈夫だ!」
キラキラと光る髪と同じようにキラキラと輝く笑顔(ま、まぶすぎるんですけど!)なんだ、この少年は!無駄に光輝いているような気がするのは私だけじゃないだろう、と思いながら少年を見つめた。そしてよくよく見てみれば、少年の顔や手にはところどころに絆創膏が貼ってあって、たくさんの怪我をしているようだった。どうやったら、こんなに怪我ができるものなんだろうか。もしかして、痛いのが嬉しいタイプなのか・・・・・・・って、それはないよねー。って言うか、小学生でこんなこと思ったりしたら普通駄目だよねー(あぁ、私としたことが!小学生失格だ!)
自分の考えたことに後悔を覚えながら、少年をもう一度見つめれば、血が出ている所を見つけた。きっと、さっきこけた時につけたんだろうな、と見ていればその少年もその傷に気付いた様子で、苦笑しながら、私を見た。
「さっき、怪我したみてぇだな」
「えっと、あのよかったらばんそうこうもってるんで、どうぞ」
「Grazie!」
・・・・・・・・え、これって何って言ってるんだ?新しい日本語?と思い、頭をかしげれば目の前の少年が「あっ、えっと、ジャッポーネじゃ、ありがとう、だったっけ」と少しだけアタフタしながら言う。どうやらこの少年、日本人じゃなかったらしい。いや、まぁ、見た目で違うとは思っていたんだけどあまりに日本語が上手だから、ずっと日本に住んでいる人かと思ったらそうでもないらしい。とりあえず、そんな事より早く絆創膏を出したほうが良いなと思い(だって、笑ってる少年の顔から血がダラダラ流れてるのって一種のホラーなんだよね!!)持っていた鞄の中から絆創膏をとりだして、少年に渡した。
「助かったぜ。本当にありがとな!」
「いえ、あんまりきにしないでください(やっぱりにほんごじょうずだなー)」
「俺、ディーノって言うんだ。お前は?」
「・・・・・です」
名前を伝えれば、ディーノ、さ、んはあのきらきらの笑顔をつくり「か!よろしくな!」と言った。本当にこの少年眩しいな!少し、目がかすみそうだぜ・・・・・・!と思いながら、「じゃあ、わたしはこのへんで、」と言って公園へと向おうとすれば「」と言われて呼び止められる。あれ、なんだか嫌な予感がするなー、なんて思いながら見ていれば「駅前のホテルってどう行ったら良いか分かるか?」と聞かれた。
「(このひと、まいごだー!!)」
「別に迷ったわけじゃねぇんだけどさ、いつの間にか知らない場所に来ててさ!」
「(それをまよったっていうんですけどー!!)」
あぁ、この少年。どうやらキラキラ輝き天然系らしい(自分で言っておいてなんだけど、何それ!)だけど、見捨てるわけにはいかない。なんでって、そりゃ、この少年のくりくりした瞳がすっごい見てきて、ほっておけないって感じが凄く感じるんだよ!クソッ、友達との約束があったのに!遅れたりしたら、絶対りりんに怒られるのに!でも、困っている人は助けてあげないといけないって先生も言ってたし、ここはこの少年を優先する事にしよう。ごめんね、りりん。呪ったりしないでね!
「えっと、えきまえのホテルまであんないしましょうか?」
「本当か?!」
「はい、(みちおしえても、またまいごになりそうだし・・・・・)」
「おぉっ、ありがとな!」
「いえ(ほんとう、まぶしいな!)」
駅前のホテルに行くまでディーノさんはたくさんのことを話してくれた。なんと、ディーノさんは今回イタリアから日本に遊びに来ていたらしい(イタリアってとおいんだよね?!)ディーノさんの話はとても現実から離れているような話ばかり。いや、だって、途中マフィアとか言う単語がでてきたんだよ。確か、マフィアって、ほら、外国のなんか悪い人たちだったような気がするんだけど。だけど、ディーノさんはとても悪い人には見えなくて、それにディーノさんとの話は楽しかった。
「うわっ!」
「ぎゃっ、ディーノさん!」
まぁ、何回もこけてたけどね・・・・・・!ホテルに行くまでの道でディーノさんは何回もつまづき、こけた。体中の怪我の理由が分かった気がする。この人、壊滅的なぐらいドジだ!、と。さすがにここまでドジな人を見たのは初めてだよ。ごめんなさい、痛いのが嬉しいんじゃないかと考えてた私を許してください。違うんですよね、ディーノさんは本当はこけたくないけど、壊滅的なぐらいドジだからこけちゃうんですよね(ホテルに行くまでに、ディーノさんが死なないかすごく不安だよ!)
しばらく歩けば駅が見えてきて、それと同時にホテルも見えてきた。隣で、まだ何とか生きてる(むしろピンピンしてるけど、)ディーノさんを見れば「ここだよ!ここ!」とここまで来れたことに嬉しそうにしていた。でも、気付いてください、ディーノさん。ここまで来るのに複雑な道なんてなかったことを。ほぼ直線道路を歩いてきたという事を!!だけど、嬉しそうにしているディーノさんにそんなことを言えるわけも無く、私はただただ、「よかったです、ね」と言うしかなかった。
「本当のおかげで助かったぜ!!」
「いやぁ、そんなことは、」
「いや、あるって!」
力一杯にいうディーノさんに何だか照れてしまった。人助けってほどのことでもないかもしれないけど、誰かの役に立つっていうのは悪くないかもな。
「ぼっちゃん!」
「あっ、ロマーリオ」
ぼっちゃん、と言う言葉に私は驚いた(い、今時、ぼっちゃんとか言うかな・・・・・!言わないよね!)それも、もっと驚いたのはそのぼっちゃんがディーノさんだったことだ。この人、良いとこのボンボンだったのか?!うわー、凄いなー、と思いつつ見ていれば渋いおじ様がディーノさんの方へと走り寄って来た。だ、ダンディーなおじ様だ!と感動していれば(別におじ様が好きとか、そんな趣味無いよ!)そのダンディーなおじ様が私の方を見ているのに気付いた。
「・・・・・・ぼっちゃん。こんな小さい嬢ちゃんに手をだしたら「だしてねぇよ!」」
「(ツッコミはやいなー!)」
「その、道が分かんなくなっちまって、ここまで連れてきてもらったんだよ」
「ぼっちゃん、それって迷子「迷子じゃねぇ!」」
いやいや、それを迷子って言うんですよー、と思いながら二人のやり取りを見ていれば、ダンディーなおじ様が「嬢ちゃん、ぼっちゃんが世話になったな」と言ってポケットから飴玉をとりだして、私の手に置いた。うあぁぁ、この人すっごく良い人なんですけど!とか、思いながら知らない人から物を貰ったら駄目だという先生の話を思いだした(まぁ、良い人そうだから良いか!)まったく自分の単純さには呆れるものがあるけど、それでもダンディーなおじ様は悪い人には見えなかった。むしろ、良い人に見えて仕方がないくらいだ!
「あ、ありがとうございます!」
「・・・・ったく、ボスになろうって人が迷子って他の奴らに知られたら笑われますよ、ぼっちゃん?」
「俺はボスにならねぇって言ってんだろ!じゃあ、、本当ありがとな!俺、明日にはイタリアには帰るけど、またジャッポーネに来たらお前に一番に会いにくるな!」
「あはは、(べつにいちばんにあいにこなくてもよいのにな・・・・!)」
「ぼっちゃん、やっぱりこんな嬢ちゃんに「うるせぇ!」」
手を振るディーノさんと、ダンディーなおじ様にお別れを言って、私は友達の待っているであろう公園へと走り出した(もしかしたら、怒って帰っちゃったかもな!)だけど、ディーノさんは絶対に天然のタラシだ!あんな笑顔で一番に会いにくるなんて言うなんて、絶対にタラシに決まってるよ!まったく、ディーノさんってば、恐ろしい子・・・・・!そう思いながら、また会えたときにはディーノさんのドジも少しは治っている事を願った。いずれ他の人を巻き込んで事故でも起こしそうだし。まぁ、ボスって言う言葉が少し気になったけど、それは多分、今度会うときに分かる様な気がした。いつ、ディーノさんに会っても良いように、絆創膏はいつも持っておくことにしよう!そう、誓ったのはもう、遠い昔の事だ。
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