今日は学校の授業でなんと、調理実習があるんですよ、お嬢さん!!もう何ていうか楽しみですね!!私としては悲しい事に食べる担当なんで作る事を手伝うなんてことはしないのです。なので、ここは同じグループの親友のりりんとお友達Aの千種くんとお友達Gの田中くんに頼ろうと思います。あと、私、将来絶対お料理の上手い男の子と結婚してやろうと思います。だって、だって、やっぱり最近は女の子が料理するっていう決まりはないんですもん!!いや、別に私がお料理できないからって言い訳じゃないですよ?まったくもって、先に言っておきますが言い訳じゃないですよ!!
「で、あんたは料理が出来ないってことがよく分かったわ」
「違う、違う。出来ないんじゃなくてする気がないだけ」
「余計、性質が悪いじゃない」
やっとこさ来た、調理実習もあの3人に任しておけばすぐに終わった。まったくもって、私本当に食べるだけの担当になっちゃったじゃないか・・・!!本当に料理ができないってわけじゃないのにね。って言うかね、千種くんの手際があまりに良すぎて私が出る幕なんて一ミクロンもなかったんだよね!!そして、私の目の前には今日の調理実習で作ったカップケーキが2つ。まってくもってよだれモノだよ。
「で、あんたはそれどうするの?」
「食べるに決まってるじゃん」
「・・・即答ね。普通、好きな人に渡すとかしないわけ?」
「いやいや、こんな美味しいそうなもの好きな人に渡すなんて馬鹿みたいじゃない」
「あんたのその考えが馬鹿なのよ」
「それに、これ作ったのほぼ千種くんだし」
「それもそうね。まぁ、だからこそあんたの場合安心して相手に渡せるんじゃないの?」
「りりん、私だって怒る時は怒るからね?」
はぁ、と息を吐きつつ私は甘い香りの残る教室を後にした。廊下ではカップケーキをもった女子が、可愛らしく男子を捜している状態が目立つ。中には、獲物を探しているような目の女の子もいたけど。私は軽快なステップを踏みながら屋上への階段を上った。まだまだ時間は5時間目が始まるまで十分あるし、せっかく美味しいおやつがあるのだからこういうときは屋上にくるのも良いものだろう。ガシャンと屋上のドアを勢いよくあける。
「あー、風が気持ちいい!!」
「・・・?」
名前を呼ばれたことに驚きつつ、辺りを見渡せばちょうど、入り口からは死角になっているところに声の主はいた。眼鏡に帽子。私が今、手に持っているカップケーキを作った張本人だ。
「あれ、何してるの千種くん?」
「・・・授業めんどい」
「いやいや、お前、頭良いからってムカつくな!!」
授業が面倒くさいからサボるなんて今頃お母さん泣いちゃってるよ?うちの子に限って、とか言いながらハンカチ握り締めてるんじゃないのとか思いながら千種くんの方に近寄れば、その手には何個かのカップケーキが握られていた。・・・こんなに、カップケーキ作ってないよね。うん、だって一人2個ずつで作ったし、現に私の手には2個のカップケーキしかないわけだし。ははーん、なるほど。
「千種くんはやっぱりモテるんだね」
私はニヤニヤしながら千種くんのほうを見た。確かに、千種くんは口数はすくないけど顔は良いからモテる。それだから、女の子から貰わないわけはないだろう。こういう時、男子は得だよなと思う。まぁ、この千種くんの顔を見る限り喜ばしい事の様には思っていないようだけど、私としてはうらやましいものがある。
「別にこんなのもらっても嬉しくないから」
「あー駄目だよ、そんな事言ったら、六道くんみたいに胡散臭い笑顔を浮かべてお礼を言わないと」
「(・・・骸様)」
少しだけげんなりとした顔をする千種くんの右隣に座る。教室じゃ、隣の席だけどわたしは左側だから何だか新鮮な気分だ。
「そう言えば、私千種くんの右側に座るの初めてだね」
「・・・・」
「あれ、かるく無視?」
思えばこんなに千種くんと仲良くなれるなんて思わなかったな(これで仲が良いって言っても良いのか不安だけど)隣の席になったからには、仲良くなろうと話しかけやっと名前で呼ぶようになって、少しは他の女子よりも仲良くなったつもりだ。今思えば、私なんであんなに頑張ったのかな?もしかして、私そんなに千種くんと友達になりたかったのか・・・!!
「で、はなにしにきたの?」
「千種くん手作りのカップケーキを食べに!!やっぱり屋上で食べるのは気持ちよいからね」
「そう、じゃあこれも食べる?」
そう言って差し出されたのは他の女子から千種くんが貰ったと考えられるカップケーキ達。さすがにこれは食べるのは申し訳ないと思いつつも、自然と手が伸びる。
「(ごめんなさい、ごめんなさい)」
千種くんから頂いたほかの女子によるカップケーキを食べる。
「あ、普通だよ。普通」
「調理実習で作ったんだから、当たり前じゃないの」
「いや、それでもほら千種くんを自分のものにしたいとか思っている女子が黙って爪の先とか髪の毛とかいれてるかもしれないじゃん」
「・・・・・」
少しだけ顔の青くなった千種くんに同情を覚えつつ、私は本来の目的である千種くんのカップケーキに手を伸ばす。他の見た目は変わらない。だけど、他のよりもおいしそうに見えるから不思議だ。
「じゃあ、いただきます」
「・・・どうぞ」
照れくさそうな顔をする千種くんに少しだけドキっとしながら、カップケーキを一口、口に入れる。
「お、美味しい!!千種くん、料理すっごい上手だね!!」
「調理実習なんだから、どれも味なんて変わらないと思うんだけど」
「いやいや、千種くんのは格別美味しいよ!!うわー、私千種くんと同じ班で良かった」
興奮する私を、驚いた様子で見ている千種くん。千種くんがここまで表情を崩すのってすごく珍しい事だ。それにしてもここまで料理が上手いと本当羨ましい。これからも調理実習の時は千種くんの班が良いな。
「今、私本当に千種くんのことお嫁に欲しいかも」
「俺、そんな趣味ない」
「私の嫁が嫌って訳か・・・クソッ、千種くんをお嫁にする人がうらやましい!!」
「・・・・・」
「あ、ごめんただの冗談だからそんな目で見るのはやめて」
千種くんがあまりに私を可哀想な目で見てきたからこれ以上言うのはやめて置こうと思う。私だって千種くんがお嫁さんになれないことぐらい知ってる。千種くんが男の子ってことは知ってる。じゃなちゃ、今私がこんなにドキドキしているわけがないじゃないか。
「そろそろチャイムがなる」
そういうと、ゆっくりと千種くんは立ち上がった。
「あれ、サボるんじゃなかったの?」
「・・・は教室もどるんだろ」
「そりゃ、勉強ついていけなくなったら困るし」
真面目な顔で私が言えば、千種くんはため息を吐きつつ、踵を返して屋上へのドアの方へと向った。私もそれに続いていくかのように、千種くんを追いかけ隣に立つ。屋上のドアをくぐり、階段をおりながら立ち止まって千種くんを呼べば、千種くんは数段降りたところから私の方を振り返った。
「千種くん、私のために毎朝味噌汁作らない?」
「は?」
「私ね、お料理の上手い男の子と結婚するのが夢なんだよね」
「俺じゃなくても良いじゃないの」
「ううん。お料理の上手な千種くんと結婚するのが夢になっちゃったみたい」
プロポーズ大作戦?!
「・・・・の為なら作ってあげても良いよ」
静かに呟いた千種くんに思いっきり抱きついたら、丁度チャイムがなって5時間目はやっぱりサボる事になりました!!
→SFTサマリクエストで、キャラとの関係は「友達」で、出来れば甘で甘が難しければギャグで・・・・どっちも出来てないじゃん★すみません、千種は大好きなんですけどキャラは全然つかめてません(激汗)いつものように苦情は拍手から受け付けております。もう、千種ファンの方全てに謝ります。ごめんなさい・・・
(2007・08・24)
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