私の目の前にはいかにも頭が悪そうな男達が数人立っていた。何やら、こいつらは雲雀恭弥に恨みがあるらしく関係も無い私に言いがかりをつけてくると言ったあまりに馬鹿げた事をしてくれている。いや、私は確かに恭弥とは幼馴染だけど、なんで私がこいつ等の相手をしないといけなくなるわけ?本当に、こういうことが起きるたびにあいつの幼馴染な自分が可哀想で仕方がなくなる。どうせなら、あの爽やか少年な山本君とか、優しい沢田君とか、少し乱暴だけど実は良い子な獄寺君とかが幼馴染だったら良かったのに。そしたら漫画みたいに淡い恋だって期待できたかもしれないのにな・・・て、いけない、いけない。今は目の前のこの下種野郎達に集中しないと。
「お前がヒバリの女か」
「いえ、違います。幼馴染と言う名のまったくの他人であります」
「そうか、なら一緒に来てもらおうか」
「(こいつら、私の話まったく無視だし・・・!!)」
他人だという、私の訴えも虚しくどうやら私はこの男達に連れて行かれるらしい。あー、恐いよー(棒読み)なんて、別に恐くなんてない。今までだって、こんな経験悲しいけどたくさんあったし。いや、こんな経験たくさんあっただけだったら、私は恐いと思ったかもしれない。だけど、本当に恐いと思わないとは、毎回・・・ガンッ!!
何かの金属音がその場に響いたと思ったら、男の一人が悲鳴をあげながら倒れた。いつもながらタイミングの良い登場に思わず拍手をおくりたくなる。
「何やってるわけ?」
「お、恭弥だー」
ご自慢のトンファーと黒い学ランを羽織った男の登場に、その場にいた男達がどんどん倒されていく。何回見ても気持ちがすっきりする登場だ。私はと言えば特に何をするということもなく、ただただ男達が倒されていくのを見ていた。ちょっと飽きてきたなぁと欠伸を一つすれば、いつの間にかその場には私と恭弥しか立っていなかった。そう、恭弥は毎回、私が危ない目のあったらいつでも駆けつけて来てくれるのだ。だからこそ、私はこんな男達に囲まれても恐いなんて思わないし、恭弥の幼馴染でもやっていけるんだと思う。
「恭弥、お疲れ。って言うか、いい加減、私を巻き込むのをやめて欲しいんだけど」
「僕に言われても、困るね。この馬鹿達に言ってくれないと」
そういうと、恭弥は倒れていた男の頭を靴で蹴った。しかし、この馬鹿にどんなに言っても私が恭弥の近くにいる限り、この男達ような奴らは後を絶たないとおもう。近くいる関係が幼馴染であっても、恋人であって、この男達には関係のない事なんだろう。群れる事を嫌う、恭弥が唯一群れるのが私でいるかぎり。
「恭弥が他に彼女の一つでもつくってくれれば良いとおもうんだけど」
「何言ってるの?僕は恋人ができたら、こんな目に合わせる前にこの男達みたいな奴は咬み殺すよ」
「(えぇー、そんなのありですか?!)」
この男どれだけ自分勝手なんだ!!私が恭弥の幼馴染で好きでなっていると思っているのか。それに、ようするに私のことは恋人じゃないから守ってやらないと遠まわしに言っているようなものじゃないか。・・・・そう思うと、急に泣きそうな気分になった。だって、私がどんなに恐い目にあっても恭弥の近くにいるのはどんな目に合っても恭弥が助けてくれるからと言うわけではなく(だって、絶対に助けてもらえるなんて確証なんてないし)、恭弥のことが男の子として大好きだからだ。何だかんだ言いつつ私が危ない目にあえば助けてくれると思っていたけれど、恭弥にとって私なんか本当にただの幼馴染らしい。最悪だ。こんな所で失恋決定だなんて思っても、もう遅い。
「じゃあ、早くそんな彼女を作ってよ。私だって幼馴染だからってこんな目にあうのはもう嫌だ」
泣かない。そう決めてはいるけれど、今の私はすごく不細工になっているだろう。目の前の恭弥は特に何も言わずに、少しだけ驚いた顔で私を見ていた。うんうん、恭弥のこんな顔珍しいなぁ。と無理やり関係のない事を考え、私は泣くのをグッとこらえる。
「じゃあ、とは幼馴染をやめる」
「え?」
今、泣くのを我慢しようと関係のない事を考え始めたばかりだと言うのに、恭弥の言葉に私は更に泣きそうになった。だって、幼馴染をやめられたら私は恭弥の近くにいることができなくなってしまうじゃないか。恭弥が私のことを好きになってもらえないと分かっていても、恭弥に彼女ができるまでは一緒にいたいと思った私の気持ちはどうなる。この気持ちはそんな簡単に消せるほど、小さくないのに。
「がこんな目に合いたくないって言うなら幼馴染をやめるよ」
「・・・別に、そこまで言ってない」
「だったら選ばせてあげる」
一体、何と何を選ばせてくれると言うんだろう。これからも危ない目にあっても良いなら幼馴染を続けさせてあげるとか?それが嫌ならもう一切、僕の傍に近寄らないで他人になれとか?そうだとしたら、私は即座に幼馴染でいることを選ぶだろうな。
「僕の彼女になるか、幼馴染のままが良いか」
前言撤回。幼馴染のままの関係なんて嫌だ。
「まぁ、の答えは分かってるんだけど」
「なんで?!」
「だって、いつも何だかんだ言いつつ結局は僕の傍にいるじゃないか」
「いや、それは、ね」
「本当はもう少し先になって言おうと思ってたけど、あんな可愛い顔されたら僕だって鬼じゃないしね」
「(いや、あんたは鬼だ・・・・!!!)」
「ほら、どっちが言いわけ?」
「(さっき、答えは分かってるって言ったじゃん!!)」
「僕の彼女になるか、幼馴染のままが良いか。早く言わないと幼馴染のままだよ」
「あ、えっと・・・恭弥の彼女にしてください」
私が言えば、恭弥はゆっくりと微笑んだ。こんな奴の幼馴染も今日から卒業で、どうやら彼女に昇格できたみたいです。だけど、その後、恭弥が耳元で呟いた言葉に私は思わず顔を真っ赤に赤らめてしまい、恭弥から笑われたお返しはいつか絶対してやりたいと思います。
「君には僕の彼女になる他に
道はないんだけどね」
→久遠サマリクエストの幼馴染で甘い感じ・・・・これのどこが?(激笑顔)書けば書くほど、雲雀さんのキャラが違ってくるという、悲しい事実です。本当すみません。世界中の人に謝ります。だけど、私こんなものしか書けないんです・・・!!泣きたい気持ちを抑え、頑張ります。久遠サマ、各位関係者の方々に謝罪申し上げます。
(2007・08・10)
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