「恭弥くん、恭弥くん」










私が呼べば、彼は嫌な顔をひとつもせずにとても綺麗な顔で私の方を振り返った。恭弥くんは小さい頃から綺麗な顔をしていたけど、夕焼けの中、今の顔はさらに綺麗な顔に見えた。2人きりで帰る、帰り道。ただ私と恭弥くんの家が近いと言う理由だけで、恭弥くんは今日も私と一緒に帰ってくれる。恭弥くんにだって用事があったりするはずなのに、本当に優しい人だ。みんなは恭弥くんの事を、恐いって言うけど全然そんな事ない。多分、私以外じゃ草壁さんぐらいだ。恭弥くんが優しいってことを知っているのは。他の、どんなに恭弥くんと同じ風紀委員の人でも恭弥くんが本当は優しいって知らないだろう。








「何、?」






「恭弥くんは優しいなぁって思って」








「・・・何言ってるの?」











恭弥くんの眉間に少しだけ皺がよった。だって、そうでしょう?ただの幼馴染である私と一緒に帰ってくれて、他にも恭弥くんの優しいところを私は知っているんだもの。この前、私が英語の宿題が分からない時は家に来てまで教えてくれたし、私が転んだ時は治療までしてくれた。そう考えると、私は恭弥くんに迷惑ばかりかけている。それも記憶をたどれば、小さい頃からだ。いつも私を助けてくれる優しい恭弥くん。小さく頃から恭弥くんは私のヒーローだったんだよ。それは今でも変わらない。














「いや、ただ単にそう思っただけなんだけどね」








「・・・僕が優しいなんて、の目は節穴だね」









「自分が優しいってことに気付いてないなんて、恭弥くんの目は節穴だね」












私が恭弥くんが言った事をまねして言えば、恭弥くんは一瞬だけ目を丸くして、すぐにもとの顔にもどすと呆れたようにはぁと息を吐いた。だけど、自分の優しさが本当に分かっていないとしたら恭弥君の目は節穴だ。馬鹿な私でさえ分かっているのに、頭のよい恭弥くんが分からないなんて。













には一本とられたね。だけど、僕は本当に優しくないよ」






「そんな事ない」






「・・・の言っている事は大概、間違ってる事が多いからいってるんだけどね」








「ちょ、ちょっと酷いよ、恭弥くん!!私だってたまには正解を言い当てるんだから!」













酷い恭弥くんの一言に反論するように言えば、恭弥くんはうっすらと笑みをうかべて「自分でもたまにって言ってるじゃないの」なんて人の揚げ足を取るようなことを言ってきた。まぁ、自慢じゃないけど確かに私の言うことに正解は少ない。でも、恭弥くんが優しいってことはたまに言う正解の方でいつもの不正解の方じゃない。これだけは自信満々で言う事ができる。私が一体何年、恭弥くんの幼馴染をやってきたと思ってるの?私の中で、こんなに何年も一緒にいたのはお母さんやお父さん以外では恭弥くんしかいないんだから。











「それでは何で急にそんな事言い出したんだい?」





「特に理由はないよ。恭弥くんが優しいから優しいって言ったまでだし」





「嘘だ」




「嘘じゃないって!!」









「嘘だよ。の顔を見れば分かる」













やっぱり恭弥くんに隠し事なんて出来ない。これも私が彼と何年も一緒にいたように、彼も同じように私と何年も一緒にいたせいだろうか。いつだって、私は恭弥くんにだけは隠し事ができない。確かに私は顔にでやすいらしく友達にも隠し事なんてできないタイプ(らしい。私は認めていないけど)で、だけどそんな私でも本当に隠していたいことがあるときは顔にでることなんてないのに。それでも恭弥くんはズバリと私のことを言い当てる。私には恭弥くんの隠し事は分からないのに、恭弥くんには私の隠し事がわかってしまうなんて、こんなのフェアじゃない。そう、結局は幼馴染といっても私は恭弥くんの隠し事なんて一つもしらない。












「今日ね、リボーンちゃんに会ったの」






「それで?」







「そしたら、恭弥くんはもうすぐイタリアに行っちゃうって教えてもらった」












私が恭弥くんの方をみて、ゆっくりと微笑むように言えば恭弥くんは少しだけ目を見開いて驚いている様子だった。今まで、恭弥くんと一番一緒にいるのは私だと思っていたのに、そんな私が知らないことをリボーンちゃんは知っていた。だけど、何で恭弥くんがこのことを私に言わなかった理由なんてもう既に分かっている。恭弥くんが優しいからだ。私がこのことを聞けば、恭弥くんは私が悲しむと言う事を分かっていたんだろう。だから、恭弥くんは私に隠し事をした(そして、それに私は気付かなかっただけの事)















「私が悲しまない為に恭弥くんは言わなかったんでしょ?だから、恭弥くんは優しいんだよ」






、それは違うよ」











まるで、自分に言い聞かせるかのような恭弥くんの声。恭弥くんの顔を見れば、まるで相手を射落とすかのような黒い瞳に、サラサラと風になびく黒い髪。これもあと少しで見られなくなると思うと、私は悲しくて悲しくてたまらなくなった。初めから、わかってたことじゃないか。所詮、幼馴染なんてものはどこかで別れが来てしまうもので、その時期が自分が思っていたよりも早く来てしまっただけのこと。大丈夫だと自分に言い聞かせながら私は、恭弥くんが次につむぐ言葉を待った。










「僕がの悲しむ顔を見たくなかっただけだ」







「恭弥く、ん」








「絶対、を守れるくらい強くなって迎えにくる。だから、その時まで待ってて」














恭弥くんからのお願いだなんて、これが初めてだった。だって、いつもは私がお願いをする側で、いつも恭弥くんは快く聞いてくれてたのだから。そんな恭弥くんの初めてのお願いを、今までお願いを聞いてもらってしかなかった私がきかないわけにはいかない。それに、これは幼馴染に言う言葉じゃないんだよね?ただの幼馴染こんなこと言ったりしないよね?本当は聞きたいことがたくさんあるのに、私は聞きたいことを聞くことも出来ずに自分の瞳から流れてくる涙を必死に拭う(だって、拭わなければ。恭弥くんは私の悲しむ顔は見たくないと言ったのだから)












「恭、弥くん。代わりに私のお願いも聞いて」







「なんだい?」












私ってつくづく図々しい性格をしているらしい。いつもお願いを聞いてもらっているのに、恭弥くんのお願いにさらにお願いで返すなんて。あぁ、そう思うと本当に恭弥くんは優しかったんだ。だって、私のお願いしに対して恭弥くんは今の私みたいに見返りなんて一回も求めた事が無かった。それに、今も私のお願いを聞いてくれようとしている。甘いよ、恭弥くん。だから私は恭弥くんがいなければ何もできない女の子になってしまったんだよ(・・・これはただの責任転嫁だ)













「今日だけで良いから手をつないで帰りたい」












私がそう言えば、恭弥くんは何も言わず、ゆっくりと微笑みながらこちらに手を差し出してきた。恭弥くん、恭弥くん。心の中で何度も呟く。夕日にうつって影となった恭弥くんと私の手をつないだ姿は、まるで子供のときを思い出させた。今まで、何年も一緒にいたのに恭弥くんがいなくなって私は大丈夫だろうか。だけど、恭弥くんが私の悲しむ顔を見たくないというのなら、恭弥くんがイタリアに行くまでの間は絶対に笑顔でいよう。もしも泣きたくなったとしても恭弥くんがイタリアに行くまでガマンしよう。














優しい君に笑顔で別れを
























・・・告げたのは確か1週間前のことだったはずなのに、イタリアへと行った恭弥くんは1週間もせずに、私のことを迎えに来てくれた(え、ちょっと早すぎない?)
「僕を誰だと思ってるの?」・・・あ、うん私の幼馴染の恭弥くんです。だけどね、こんなに早いはさすがに思ってなかったんだけど。いや、そりゃ嬉しいよ?嬉しいけどさ、さすがに早すぎると思うんだけど。は僕がいないと何もできないだろう」「・・・(反論できない!)」恭弥くんの言葉に私は反論も何もできないよ。確かに、学校へは休まずに行ってたけどやっぱり恭弥くんがいない事は私にとっては寂しすぎて、恭弥くんがイタリアへと行ってから泣かない夜なんて無かったんだ。










「まぁ、僕が会いたかっただけなんだけどね」











後日、恭弥くんと一緒にイタリアへと向った私はリボーンちゃんにこれまた恭弥くんの秘密を聞いた
「アイツ、あの1週間ろくに寝もせずにお前を迎えに行く為だけに強くなってたんだぞ」そんな、すごく嬉しすぎるんだけど。こんな事、思ったなんて恭弥くんにバレたら咬み殺されちゃうかもしれないけど、もしかしたら私が恭弥くんがいないと何も出来ないように、恭弥くんも私がいないと何もできないのかな。思うだけなら自由だよね!


































→大好きな大好きな相互サイト様の黒沢サマからのリクエストで雲雀さんで幼馴染甘・・・ワオ、これのどこが甘なんだい?(私が聞きたいよ!)とりあえず、黒沢サマごめんなさぁぁぁぁい!!私は眼鏡な雲雀さんと骸さんと言う素晴らしい頂き物を貰っているのに、せっかくリクエスト頂いたのがこれだなんて(吐血)
本当、気に入らなかったらあと100回くらい普通に書き直させていただくんで!!むしろこれのどこが雲雀さんなんだと思うかもしれないんですけど、本当にすみませんでしたぁぁぁ(土下座)



私が書く小説はどれもリクエストに応えていません。リクエストしてもらった意味が無いじゃないですかぁぁ!!
(死亡




(2007・09・18)