彼女の事情 彼氏の事情 恋人達の事情 「大好きだよ!!」
「僕ものことが好きだよ」
私の彼氏はなんと恐れ多きもあの雲雀恭弥くんだったりします。ずっと前から憧れていたので告白した時は咬み殺される覚悟だったのに、まさかお付き合い頂けるとは思ってもみませんでした。そして、
今日はなんと雲雀くんの家にお呼ばれしてしまったのです。わ、わ、私、頑張ってみせます!!(とは言っても、何を頑張れば良いんだろう・・・)
ピンポーン
「あ、さん。どうぞ入って」
「お、お邪魔します!!」
遂に敵地である雲雀くんの家へと侵入する事ができました。実はあのインターフォン押すまで5分以上かかってしまいました。道行く人からはあきらかに不審者を見るような目で見られ、さすがに頑張ら
ないと思い勇気を出して押しました。これで私の勇気1年分ぐらい使い切ってしまったかもしれません(あぁ、どうしよう!!)それにしても、ただ今私、目の前の雲雀くんを直視できなかったりしてます。だ
って、雲雀くんの私服姿を見たのはこれが初めてなんですよ。そりゃ、休日だから私服姿を想像してたりしましたけど、ここまで破壊力があるとは思っても見ませんでした。私、本当にこの人の彼女で良いんですか?今さら、夢でしたなんて言われたら、私、死ねる自信があります。
「ここが僕の部屋」
「うわぁ、綺麗だね(私の部屋とは比べものにならない!!)」
「そんな事無いけど。僕、紅茶入れてくるからそこらへんにでも座ってて」
「う、うん」
その場に一人残された私。とりあえず座っては見るものの全然落ち着かない。だって、この部屋綺麗過ぎるんだもの。私の部屋も汚いってほどじゃないけど、物が散らかってて良くお母さんに片付けなさ
いって言われる。だけど、雲雀くんの部屋は物が散かる事も無く、塵一つなさそうだ。わ、私の部屋に雲雀くんを呼ぶのは当分やめておこうと思う(懸命な判断だよ、自分)それに、私の家に呼んだりした らお母さんが煩いだろうな・・・お母さん、かっこ良い子好きだから。いや、その前に雲雀くんが私の彼氏だって言っても信用してもらえないかもしれないな。あれ、なんだかすごく悲しくなってきたかも?!
ガチャリ
「砂糖は二つで良いんだよね?」
「あ、ありがとう!!」
雲雀くんはもうしっかりと私の好みを把握してくれてるみたいです。私って愛されてる?!って、ごめんなさい、調子にのりすぎました。雲雀くんは頭が良いから砂糖の数覚えるぐらいどうってこと無いよね 。分かってるよ、そのぐらい。だけど嬉しくなっちゃうのが恋する乙女★なんだからしょうがないじゃない!!なんて心の中で盛り上がっている私の隣に雲雀くんが座った。あぁぁ、近い・・!!応接室だったら ソファーのお向かい同士で座るけど、こんな隣に座るなんて初めてだ。クラスでだって隣の席になったことなんてないし、第一クラスの席は離れているから、こんなに近くになることなんて無い。やばい、
心臓がやばい!!落ち着け、心臓。鳴り止まない心臓の音が雲雀くんに聞こえない事を切実に願います。
最近告白された子はずっと好きな子だった。まさか、相手が自分と同じ気持ちだったとは思わなくて思わず心の中でガッツポーズを決めた。僕は群れるのが嫌いだから、初デートは僕の家に来てもらうことにした。「僕の家に来る?」そう聞いた時のさんの喜んだ顔はすごく嬉しそうで、抱きしめてしまいそうで危なかった。正直、大切すぎて何も出来ない僕は臆病者なのかもしれない。
今日はさんが家に来る。普段から片付けている部屋だけど、いつも以上に綺麗に掃除したつもりだ。あのコロコロ(名前なんだっけ?)でカーペットについたホコリや塵もすべて取ったし、これならさんを部屋に呼んでも大丈夫だろう・・・・って、部屋に呼ぶの?べ、べ、別に部屋に呼ぶからって深い意味はないんだからね!!慌てる自分にそう言い聞かせながら、カーテンの隙間から外をみれば 門の前で可愛い私服姿に身を包んださんがいた。その姿を見つけた瞬間、階段を駆け下りている自分に少しだけ恥ずかしくなった。
「あ、さん。どうぞ入って」
「お、お邪魔します!!」
目の前のさんの私服姿が可愛すぎて直視できない僕はもう本当、変態かもしれない。だけど、これはさんが可愛すぎるのにも原因があると思う。どうしてこんな良い子が僕なんかに告白してくれたんだろうか。もしかして、あの日のことは夢なんてことありえないよね。あぁ、もしも夢だったりしたら僕、学校に行かなくなってしまうかもしれない。あんなに好きな学校だけど、僕にとってはさんの方が好きだ(は、恥ずかしい・・・)
「ここが僕の部屋(汚くはないよね?)」
「うわぁ、綺麗だね」
「そんな事無いよ。僕、紅茶入れてくるからそこらへんにでも座ってて」
「う、うん」
さんをその場に残して僕は一階へと行き、今日のために買っておいた紅茶と沸かしておいたお湯を準備する。その間もずっとさんのことを考えている僕。さんに告白されて彼女の事がもっと好きになった。知れば知るほど好きになるし、好きになってもらいたいと思う。人間って欲深い生き物だ。あれ、そういえば、さんはほとんど僕の顔を見て話す事がないような気がする。告白してくたってことは僕の事を好きだと思うけど、あそこまで目があわないのはさすがの僕でも寂しい。あぁ、僕が人間みたいな事を言ってる・・・!!
紅茶の準備をし終わり、それを2階の僕の部屋にいるさんのために持っていく。もちろん砂糖2つも忘れない。以前、応接室で紅茶を出したとき、さんは砂糖2つを僕に頼んだ。そんな些細な事でも僕はさんのことはしっかりと覚えている。・・・って、僕、本当に変態みたいじゃないか。
ガチャリ
「砂糖は二つで良いんだよね?」
「あ、ありがとう!!」
さんに紅茶と砂糖を2つ渡せば、すごい笑顔で微笑んでくれた。あぁ、僕は一番さんのこの顔が好きなんだと改めて思う。初めて見たときも、この笑顔に惹かれたんだっけ。なんて、少し思い出に浸りながら僕はさんの隣に座った。べ、べ、別に深い意味はないよ?遠くに座るのもおかしな話だし、こういう時って隣に座るものだろうと思うだけであって。だけど、ただとなりに座っただけなのに僕の心臓はとてもじゃないけど鳴り止みそうにない。どんどん早く鳴っていく。どうしよう、もしさんにこんな緊張してるなんて思われたら僕、かっこ悪いじゃないか!!
「ひ、雲雀くんはどうして私と付き合ってくれたの?」
私はあまりに唐突だったけど、いままで疑問だった事を雲雀くんにぶつけた。だって、私、雲雀くんと付き合いだしてから好きなんて一言も言われたことないんだ。雲雀くんの傍に居れれば良いって思うようにはしてるんだけど、好きって聞いて安心したいと思っていたわけで。だけど、どうしよう、こんな質問する女面倒くさいなんて思われて振られたりしたら・・・やっぱり聞かなければ良かった。後悔してももう遅い。
「どうしてって、好きだからに決まってるじゃないか」
さんが聞いた瞬間は恥ずかしそうにしていたのに、だんだんと泣きそうな顔に変わっていった。なんで、君はこんな泣きそうな顔してるんだよ、誰だよ、さんを悲しませたのはと思ったら、それは誰でもない僕だった。だって、ここにいるのはさんと僕だけなのに、僕以外の人がいま、彼女をこんな顔にすることは不可能だ。だけど、泣きそうな顔も可愛いなんて思った僕(最低だ)
「ほ、本当に?嘘じゃないの?」
「僕はこんなつまらない嘘はつかないよ。さんは僕が嘘をつくとでも思ってるの?」
「そ、そんな事は無いけど、雲雀くんの口から好きって聞いた事なかったから不安で」
「(か、可愛すぎる)・・・それを言うなら、さんは僕の目を見て話そうとしないじゃないか。僕だって不安になるんだけど」
「(うわぁぁぁ、雲雀くんが近い!!)だって、雲雀くんがかっこよすぎて、目を見て話すのは恥ずかしいんだよ!!」
「・・・・(ヤバイ、抱きしめたい)」
「・・・・(言っちゃった!!)」
「(我慢、我慢)あと、告白された日から一度も君の口から好きって言われてないんだけど」
「あっ、確かに・・・・いや、でも、」
「僕には言わせておいて、自分は言わないつもりなんだ?」
「そんなつもりはないよ!!え、えっと、」
「・・・・・言ってくれないと、僕ももう言わないからね」
「えぇ?!雲雀くん、それは卑怯だよ!!」
「卑怯でも良いよ。それだけ、僕はさんの口から聞きたいってことなんだけど」
「(かっこ良すぎる・・・!!)う、ひ、雲雀くん!!」
「何?」
「・・・!!(こんな時に名前でよぶなんて卑怯だ!!)」