「キスしたい」
「・・・・・は?」
ただ今、応接室で雲雀の仕事を絶賛手伝い中、だった。だけど、私は雲雀のあまりに突然の言葉に手がとまる。え、ちょ、ちょ、ちょっと、今、この男なんて言った。キ、キ、キ、キスしたいなんて、まさか言ってないよね!!そ、そ、そんな並盛最強の男がそんな事言う分けないよねー!そうだよね、うん、そうだよ。まさか、そんな雲雀がそんな事いうなんて考えるわけないもん。はは、私も聞き間違いだなんて耳鼻科にでも行ったほうが良いのかなー!よーし、じゃあ、そうと決まれば早速耳鼻科に行ってこようとするかな。雲雀からキスしたいなんて聞こえたなんて、絶対幻聴だと思うしね!
「あ、あぁ、雲雀、私ちょっと耳鼻科に行って来る!!今なんか、雲雀の口から変な言葉が聞こえた!」
「変な言葉って、キスしたいってこと?」
「あ、うん、それそれ!・・・・・・って、えぇぇ?!」
どうやら、雲雀がキスしたいと言ったのは私の聞き間違いじゃなかったらしい。そんな、まさか本当に雲雀の口からキスしたいなんて言葉が出てきたなんて、私納得できないよ!だって、雲雀だよ?あの雲雀だよ?キスしたい何て言うと思う?そ、そ、そ、そんな事言うわけ無いよ!!
「、煩い」
「だって、だって、雲雀が、変なこと言うから!そ、そ、そ、そんな、キ、キ、キスしたいだなんて!」
「キスしたいんだから、キスしたいって言っただけじゃないか」
さも、当たり前の様に言う雲雀。どうした、コイツ今日熱があるんじゃないか、と思う「別にそこまで変なこと言った覚えはないけど」って、言ってるからー!変なこと言ってるからー!並盛中の生徒100人に聞いたら100人全員が雲雀が変なこと言ってるー!って思うからー!!そう思いながら恐る恐る雲雀を見ていれば雲雀は椅子から立ち上がり、こちらへと歩いてこようとする。その動作に私は身の危険を一気に感じて、どうにか雲雀をこちらにこさせまいと身を強張らせた。
「ちょ、雲雀。キープアウトー!!そこからこっちに来たら駄目だから!ってか、来んな!」
「ワオ、普通彼氏に言う台詞がそれかい?」
「って、そう言いながら近寄って来ないでー!!キープアウト!立ち入り禁止ー!!」
「それと発音が悪いね。正しくはKEEP・OUTだよ」
「(わー、無駄に発音良いー!って、感動してる場合じゃないから!)」
私の訴えも虚しく段々と雲雀は私の方へと近寄ってくる。ああぁぁ、ちょっと、本当に今日の雲雀熱でもあるんじゃないのー?!だって、普通いきなりキスしたいなんて言いますか?!言わないよね?!ど、どうしようー!と思いながらも、雲雀が止まることなく私のほうへと歩いてくるので私も必然的に後ろへとジリジリとさがる。もちろん、ドアのほうに歩く事は忘れない。よし、よし、いい感じだ、隊員。このまま雲雀から、逃げ切ってやるぞ!
「ね、。僕、キスしたいんだけど」
「(ちょ、ちょ、なんでそんなかっこよい顔で言っちゃうんだよー!思わず頷いちゃいそうになるだろ!!)」
「は、僕と、キスしたくないわけ?」
いやいや、したくないってわけじゃないよ。だ、だけど、さ、恥ずかしいって思うじゃないですかー!それにさ、まさか、雲雀からこんな事言ってくるなんて驚きなんだよ!じりじりと二人との距離が縮まってくる。わー、なんか一気に雲雀の顔が不機嫌になったような気がするんだけど、これって私の勘違い「ふーん、そんなに僕とキスするのが嫌なの」・・・・・って、カナリ不機嫌だー!!ワオ、これはやばいね!(私が雲雀の口癖を言う時はかなり焦ってるときだよ!)雲雀って機嫌を損ねると、面倒くさいから大変なんだよ!機嫌戻るまでに時間かかかるし、だからってキスなんて恥ずかしいし、私は一体どうすれば良いんだー!もう、これもすべて雲雀がキスしたい何て言うから悪いんだー!!
「べ、べ、別に嫌って訳じゃないんだよ!だ、だ、だ、だけどさ、」
「だけど何?」
「(ギャー、MAXで不機嫌だー!)」
もうね、これね、雲雀の機嫌戻る事はないよ。あー、もうなんか考えるのも面倒くさいし、逃げちゃうことにしようかな。丁度よいことに後ろにはドアがあるし、よし、逃げちゃえ★後が恐いけど、明日にでもまた出直してくることにしよう。ほら、その時までにキスする覚悟もしておけば良いし、(好きな人とキスするのに覚悟なんて必要なのかな?)うん、そうだ、じゃあね、雲雀。私は今日のところは退散させて貰うねー!と思い、ドアノブに手を伸ばした瞬間に、ドアノブには私より先にもっと大きな綺麗な手が。そして、反対側の手は私の顔の横に。目の前には、それはそれは整った雲雀の顔。あれー、これってヤバイと思うんですけどー!
「ひ、ひ、雲雀ー!ちょっと、キープアウトー!近い、近すぎますよ!!」
「煩い」
「(ギャー!!)」
段々と近付いてくる、雲雀の顔に、私は思わずグッと目を瞑る(ど、ど、どうしようー!!)どうしようなんて思っても、結局私はどうすることもできずに、いた。自分の唇に何かが重なる。きっと、雲雀の唇なんだろうと思うと、一気に恥ずかしくなって、唇が重なってるにも関わらず「ひ、ばり」と声を出した。そうすれば、離れていく唇。目を開ければ、ニヤッと嫌な笑いをうかべる雲雀の顔(確かにかっこ良いんだけどさ!)
「・・・・今はこれで許してあげるよ」
「え、えぇ?!(今はってどういうことですかー!!)」
雲雀の言葉が気になるけど、恥ずかしくなって雲雀の顔を見れずに私は視線を下へと移した。うぅー、この男!彼女が嫌がることをするなんて!なんて思いつつ、実はあまり嫌じゃなくて、むしろ嬉しかった(そ、そりゃ、好きな人とだからね!)今度からは絶対雲雀がキスしたいなんて言い出した瞬間に逃げ出してやる!と思いつつ、キッと雲雀を睨みつければ「そんな顔されたら、またキスしたくなるよ」との一言。じゃあ、どんな顔しろって言うんだ!
「まぁ、とならいつでもキスしたいって思ってるんだけどね」
「な、な、何言って・・・・!」
「好きなんだから、当たり前じゃないの?」
そんな、私だって雲雀のこと好きだからそう思うよ!・・・・・・今は多分恥ずかしくて無理だから、今度絶対に言ってやろうと思う。いつか、いつか、絶対に雲雀に仕返ししてやるんだから!と私は心に決めて、今一度目の前の男をにらみつけた。ちくしょー、なんでこんなかっこ良い男が私の彼氏なんだよ!
KEEP OUT!
(ここから先は立ち入り禁止!なんでって、そりゃ、ここから先は二人だけの秘密だから!)
(2007・12・29)
さりげなくリクエスト作品でキスを迫る雲雀。私は、一体何処で雲雀のキャラを見失ったのか。
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