私も同じ気持ちです
(先生と一緒にいたいんです)
猿飛先生の相談室も終わり教室へと鞄を取りに行く。放課後教室を出るときいつものように真田先生は狼たちにかこまれていた。困り顔でわたわたとしていた真田先生はまさいく哀れな子羊だった(まぁ、どちらかといえば犬っぽいけど)あの中を助けにはいれるほど勇敢ではなく、そりゃ狼たちだって悪い子じゃないのは知っているけれど、見捨ててしまった私をどうか許してもらいたい。
がらり、とドアあけながらため息を一つ。最近どんどん幸せが逃げて言っている気がするのはこのため息の数かもしれないなぁ、と思えば教室の、それも私の席に真田が座って窓の外に視線をやっていた。
思ってもみなかったことに思いっきり心臓がはねる。さすがにもうちょっと覚悟を決める時間がほしかった!こちらを振り向いた真田先生はゆっくりと、うれしそうに(私から見てだけど笑って私の名前を読んだ。
……なんだか今、心臓がものすごくはねた。一瞬自分死んじゃうんじゃないかって思えた。
もちろん自分でもなぜそうなっているかなんてことは分かっていて、私は恥ずかしくて真田先生から視線をずらしドアの前で突っ立ったまま声にならないような声を紡いだ。落ち着け、落ち着くんだと言い聞かせるもなかなかうまく行かない。それに急な展開に頭もついていかない。ぐるぐるとなっている頭の中を整理させるすべをしらず、だけど何か言わなくてはいけないことはわかっていたので覚悟を決めて顔をあげた。
「って、うわ!」
ドキドキ。というよりはバクバク。
気配もなくいつの間にか私の前に経っていた真田先生に、驚きの声をあげた。急に人の前に立たないで頂きたい!!あまりの私の驚きっぷりに真田先生も驚いたみたいだけど、私はそれ以上に驚いていた。
先ほどとは違った驚き的な意味で心臓がとまるかと思った。
「す、すまない」
「いえ、私もすみません」
二人してオロオロする姿は周りからいたら滑稽だろう。しかし、しょうがない。普段こうやって話す機会なんてほとんどなく、いきなり甘い空気になれるわけがない(ぜ、前回は別!)
「殿!」
「はい!」
力強く呼ばれた名前に顔をあげる。それと同時に両手を真田先生に握られた。角張った手は私の手を包み込むような大きさで、真田先生の熱がこちらまで伝わってくる。
真田先生の顔は耳まで真っ赤。私の顔は見なくても分かる。間違いなく真田先生と一緒で真っ赤だ。
どんどん上がってくる体温に手に汗をかかないかがちょっとした心配だった。
でも、そんな心配なんてすぐに消えた。
「某は教師、だ。そして、殿は…某の生徒だ」
「はい」
「でも、もっと 殿と話したい。もっと、一緒にいたいんだ」
某と殿が同じ気持ちなのはうれしい。それはもう信じられないくらいに、だ。もちろん自分の立場は理解している。
しかし、それさえも気にしてられないくらいにがいとおしい。
そんなうれしいことを言われて、私はどうすれば良いのだろうか。私の瞳にはもう真剣な表情の真田先生しか見えない。耳まで真っ赤にさせて、こちらをまっすぐに見つめる真田先生の表情からはいつものあの狼たちに囲まれている先生とは思えないほど、かっこいい表情だった。
とりあえず猿飛先生のアドバイス通りに私も真田先生にずっと言いたかった言葉を紡いだ。
(2010・04・25)
突発的に書きたくなって我慢できませんでした。前回更新後も感想をちらほらともらい調子にのってしまいましたが…書くのは凄く楽しかったです。しかし、今回もこれと言って進展がないという。私の小説の悪いところだと思います。それでも、楽しんで頂ける方が一人でもいらっしゃれば嬉しいです!
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